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秋田県大仙市公式ブログ

「壱本木の種蒔桜」満開に

4月27日、太田町東今泉にある市指定文化財「壱本木の種蒔桜」が満開となっていました。
「桜」と呼ばれていますが、実は桜ではなくコブシの巨木で、遠巻きの一見では桜と勘違いしてしまうほど色や花の付き方が似ているためそう呼ばれています。 また、「種蒔桜」の呼称については、「花が咲いたら水苗代(みずなわしろ)に種もみをまく時期」というように、農事暦の一つとして地域と密接に結びついてきたことに由来しています。☆IMG_9638現在の水稲耕作は、田植え機械による苗の移植となり、土をつめたプラスチック製の育苗箱に種もみをまきます。
太田地域のある農家の農作業日誌によれば、
水苗代の時代の昭和27年は、
4月20日に種まき(風の出ないうちにと、早朝から作業を始める)

田植え機械が急速に普及した昭和56年は、
1回目 4月17日
2回目 18日に種まき(育苗箱に乾もみ200g平均播種後ビニールハウスに積み重ねる)
3回目 4月23日
と記録されています。

今年も育苗箱に土を入れる作業が終わり、種まき作業が始まっています。
その年の雪解け状況や天候により、数日は前後すると思いますが、種まきの時期は昔も今もあまり変わっていないようです。 ☆DSC_1255また、この種蒔桜は、花の付き方や咲き方で、その年の作柄や天候を占うなど、古くから農作業の目安ともなってきました。
隣地に住み、長年この桜を見てきた髙橋昭彦さんは 「今年はたくさん花を付けているこの木も、昨年はたった5輪くらいしか花をつけなかった。だから昨年は不作の一年になるのでないかなと心配していた」 と語ります。
そして、 「今年せっかく満開に咲いた花も、この間からの風雨でだいぶ傷んでしまった」 と続けます。
太田地域では4月17日の夜中から18日の明け方にかけて暴風に見舞われ、太田農業振興情報センターの気象ロボットのデータでは、川口字北千本野地区で最大瞬間風速31mと台風並みの強さを観測しました。 これにより、地域ではビニールハウスの全壊、半壊、ビニール剥離などの被害が発生し、4月21日現在、107戸の農家でビニールハウス129棟の被害が報告されています。
よく見るとこの種蒔桜も、ところどころ暴風に耐え忍んだ痕跡を見ることができます。
しかし、それでも開花を保つその姿が、今年の豊作を予見していると願いたいところです。 ☆IMG_9640☆IMG_9642幹回りは約3.5m、推定樹齢は230年とされています。 今から230年前の日本は、江戸時代後期、天明~寛政の時代であり、 その頃からここに立ち、いつしか人々の農耕の指標とされるようになったのだなぁと、ついついこの木の生い立ちに思いを巡らせてしまいます。
また、10年ほど前は、現在の見た目より2~3倍ほど枝ぶりが大きかったとのことですが、数年前から大きな枝折れ等に見舞われ、現在のこの大きさとなったそうです。
様々な苦難を乗り越えながら、今も力強く花を咲かせる様子は、地域農業の安泰を見守ってくれているかのようです。
私たちも、この種まき桜を見守っていきたいものです。
☆IMG_6088

 

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