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太田地域文化講演会 開催

9月28日、太田文化プラザで太田地域文化講演会が開催されました。この講演会は、太田地域自治組織連絡協議会(長澤信徳会長)と太田地域協議会(水谷英明会長)の共催で、地域住民の教養と文化意識の高揚を目的に毎年開催しているものです。

今年は、北都銀行太田支店からご協力をいただき、北都銀行バドミントン部監督の佐々木翔(ささき しょう)氏に講師をお願いすることできました。「バドミントンで培った経験を人間形成に繋げるために」と題した講演を行い、太田中生徒・地域住民など合わせて約200人が来場しました。

開催にあたり、長澤信徳会長は「秋田をそして太田をスポーツで元気にしたいと思い、今回の講演会を計画した。今日来てくれた太田中学校の生徒さんには、今日の講演を聞いて刺激を受け、将来国際大会等に出場して地域を元気にしてもらいたい」と挨拶しました。IMG_0029

 

佐々木翔先生は、昭和57年生まれで北海道の出身。祖父が大館市の出身だそうです。小学校1年生からバドミントンを始め、ジュニア時代から優秀な成績を残されています。高校進学時、バドミントンを極めたい想いから、親元を離れ東京の関東第一高校に進学されました。学生時代そして社会人となってからもバドミントンでの活躍は華々しく、2007年の秋田わか杉国体では、北都銀行に所属し秋田県チームに団体優勝をもたらしました。2012年のロンドンオリンピックに出場され5位入賞を果たし、さらに2016年リオデジャネイロオリンピックにも出場されました。シングルスの世界ランクは最高で6位、日本ランクでは最高1位と、輝かしい実績をお持ちです。現在は現役を引退され、指導者としてご活躍で、今年7月から北都銀行バドミントン部の監督を務められています。今回は、指導でお忙しい中、合宿の合間をぬって、講演をお引き受けくださいました。

オリンピック出場経験がある方のお話が聞ける機会とあり、集まった太田中学校の全校生徒、地元住民、バドミントン経験者など会場中の全員が、佐々木先生の語る言葉に真剣に耳を傾けていました。 「バドミントンで活躍することで、北海道に帰れる、いい会社に入れると思い込んでいた。地位・名誉のためにバドミントンを利用していた。22歳の時、アテネオリンピックの時は日本ランク3位で、出場枠2人に届かなかった。26歳の時、北京オリンピック時は日本ランク2位だったが出場枠1人のため出場叶わず。その時、評価を気にして中身がなかったのではと気づいた。それからメンタルトレーニングと肉体改造に取り組んだ」と穏やかな口調で語り始めます。静かに、でも力がある言葉に引き込まれます。IMG_0044

「メンタルトレーニングの中で、バドミントンが好きだから続けている、自分がすべきことは何かを考えた。すると『勝ちたい』という気持ちをこえて『勝つために自分のことをもっと知ろう』『相手のことをよく見よう』という考えを持つようになった。自分のすべきことに集中してこなしていくことが、やがて評価となって、ロンドンオリンピックは30歳の時、世界ランク6位そして日本の1位として出場できた」と力強く語ります。オリンピックという私たちとはレベルの違う目標ですが、何かの目標に向かう気持ちは、誰もが部活動や集団の中で味わったことのある自身の経験と重ねることができます。

佐々木先生の講演の中で「バドミントンの神様がいて、上から競技に対する姿勢をみていると思っている。誰に言うわけでもなく、自分で決めた山登りのトレーニングを、雨で景色が見えない時も、雪が太ももの深さまで積もった時も、熊や蛇が出る危険があっても毎日続けていた。気を失いかけ、現実かどうかわからなくなる日もあったが、真摯に続けた。その競技に向かう姿勢を神様はみていてくれたと考えている」と自分のすべきことをやりきった自信からうまれる、力のある言葉が印象的でした。

 

佐々木先生の要望で質疑応答の時間がたっぷりととられました。 太中生から部活動に活かしたい気持ちからか、次々と質問が。にこやかに的確に答えてくれます。IMG_0066

Q これからできるメンタルトレーニングはありますか?
A メンタルが強いというのは、自分をよく知っていること。弱いというのは自分をわかっていないこと。メンタルは鍛えられない。自分をよく知ること。自分をよくわかっていると、次の展開が予測でき、自分で乗り越えられるようになる。

Q 自分でやりたいプレーができない時、どうしたらよいですか?
A 目標が達成できなかったら、今できる範囲でがんばろう。今持っているもので戦おう。IMG_0080

Q ミスを連発するとペアの人に迷惑をかけてしまう。試合の時、前向きでいる秘訣はありますか?
A 練習の時できたことしか試合では発揮できない。ペアだったら、二人でどう乗り切るか話し合うのもよい。

 

大人からも指導者目線での質問が。

Q 北都銀行バドミントン部の指導ということで、大人に指導する難しさや目標を教えてもらいたい。
A アスリートなので勝利を求めるのは当然だが、勝つためのプロセスが大事だと思う。心身ともに健やかであることを目指し指導している。競技で強くなることと、人間形成の成長は比例する。バドミントンはもちろん、秋田県全体を元気にしたいと思い指導にあたっている。秋田県はバドミントンの競技人口ワースト3に入る。そこを改善し、競技人口の拡大を目指したい。

Q 自身が指導を受けたことで、心に残るフレーズや指導法はありますか?
A 関東第一高校の先生、現在は校長先生をされているが、その方の指導が活きている。気持ちの強さが大事と教わった。こうなりたいと思うことの重要さを教えてもらった。その指導があったからこそ、勝つためには自分を知ることだと思えるようになった。

どんな質問も、穏やかに真摯に答えてくださる姿が、とても印象的でした。

講演の最後は、来場者全員で秋田県民歌を歌い、太田の偉人である倉田政嗣を讃えました。

オリンピック出場を果たされた方の講演を、ここ太田で聞ける大変貴重な時間となりました。実績からくる自信、自信からくる重みのある言葉が心に響く講演でした。

現役でスポーツや文化活動に励んでいる中学生にとっては特に、心に響いた講演だったのではと思います。 佐々木先生、貴重なお話をありがとうございました。

Posted under: 太田地域

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