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秋田県大仙市公式ブログ

「この1年間も健康に過ごせますように・・・」病焼きをプレゼント

秋田県南部では、12月8日を病焼き(やまいやき)の日として、各地で病を払う行事が行われています。
ここ太田地域周辺では「悪しきもの(病)を流す」意味合いで、焼き餅(おやき)を真っ黒になるまで焼き川に流すという習わしがありました。
これが現在では、12月8日は焼き餅を食べ、一年間の無病息災を祈る日として定着しつつあります。

この「病焼きの日」に因んで、12月8日、食生活改善推進協議会太田支部の皆さん(ヘルスメイト)が、食育事業の一環として、太田地域の配食サービス利用者とおおた児童クラブの皆さんに、手作りのおやきをプレゼントしました。

今回はもち粉を6升使い、作るおやきは約300個。
300個作るとなると作業もなかなか大変で、下準備は前日の午後から始まりました。
作業を行うのはおおたコミュニティプラザの調理室。

まずは生地づくり。
餅粉にぬるま湯を加え、感触を確かめながら耳たぶくらいの固さになるまでこね上げて行く作業。
餅粉が大きな塊になっていくにつれ、こねるのに力が必要になります。
中に入れるこしあんは一つ一つ分量を量り丸め、トレーに並べて下準備終了です。
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そして当日は、一晩置いた生地で丸めた餡を包み、ホットプレートで両面を焼きあげていくところから作業を行います。
おやきの焼き上がる甘い香りで満たされた調理室で、
「うぢの母親も、こんた風に作ってらもんだった~」
「おらの家も、焼いた餅を西の方さ上げで拝んだもんだったなや」
と、口々におやきの思い出話を語りながらにぎやかに作業が進められます。
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一回目が焼き上がった時点で、一旦作業を止めます。
焼き始め、生地がくっつき少し歪に焼き上がったものを西側の棚に掲げ、「病焼」の風習に倣って全員で手を合わせた後・・・みんなで試食。
出来上がりの美味しさを確認しました。playeat

この後焼き続けること3時間。
焼き上がったおやきは、粗熱を取った後、一つ一つ丁寧に包装し
メッセージを添えて、プレゼント用の袋に詰めていきます。competedoyaki

こうして出来上がったものはまず、配食サービスを実施している社会福祉協議会へ届けられました。
現在、配食サービスを利用しているのは70代~80代の方が多いのだそうです。
昔懐かしい手作りの病焼きが添えられた今夜のお弁当は、今日の利用者にとって少し特別な夜ご飯になったのではないでしょうか。1DSC_2523
続いて向かったのはおおた児童クラブ。
ここではおやきを配る前に、交流を兼ねて、子ども達と野菜を使った「食育ゲーム」を行いました。
そして、小松会長が「病焼き」行事について説明した後、おやきをプレゼント。
まだ少し温みのあるおやきをもらって喜ぶ子ども達に、ヘルスメイトの皆さんも満足げでした。juniorclub

今よりも医療が未発達だった昔、見えぬ病は人にとって脅威そのものだったことでしょう。
そんな中、「みんなが健康に暮らせますように、病が流れて行きますように」と人々が想いを込めて作り上げてきた伝統の一つが、この「病焼き」行事です。
すぐ食べないと固くなってしまうおやきは、当時の人たちにとって特別なおやつだったに違いありません。

それに比べて、スーパーへ行けばいつでも気軽におやきが手に入り、電子レンジなどで温めればいつでも美味しくいただくことができる現代は、「病焼き」の伝統よりも、食べることがメインになってきているような気がします。

食べ物や料理の今昔を通じて、現代に生きる我々に「食」の意味や由来を考えさせるのも食育の一つ・・・おやきを大切に持ち帰る子供たちの姿にその大切さを感じたところです。

お店では買えない手作りならではの美味しさ、私も堪能させていただきました。
ヘルスメイトの皆さん、ありがとうございました!

Posted under: 太田地域

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