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太田の火まつり 継承にかける想い

2月3日(土)、奥羽山荘西側広場において、第37回太田の火まつりが開催されました。
地域に古くから伝わる小正月行事を一堂に行い、その伝承を目的として行われる、太田地域の冬の一大イベントとなっています。
当日は、少し雨混じりの雪に見舞われることもありましたが、天気は次第に回復し、会場は訪れた多くの人々で賑わいました。

今年の火まつりは、開催時期を例年より2週間ほど早めての開催となりました。
近年の気温上昇や積雪量の減少といった、2月下旬の気候変動がイベントに及ぼす影響を考慮して、この度の実行委員会で開催日程繰り上げの判断がされたことによります。

そのため、実行委員はもちろん、各集落や学校などでは、関係者の皆さんが早くから準備にとりかかり、紙風船の製作や天筆への筆入れなどの作業が急ピッチで進められました。

雪中田植えや、紙風船上げ、迫力の天筆焼きなど、見どころたくさんのイベントとなっている太田の火まつり。
今年も、地元の各集落や学校など、多くの人たちの手によって準備され、また、地元の多くの団体の協力で運営され、地元から多くの来場者を迎えて、盛会裏に幕を閉じました。
地域の小正月行事の伝承という目的を十分に果たした火まつりになったと思います。

当日の運営スタッフの活躍を振り返りながら開催の様子を紹介します。

午後5時、開場に合わせて甘酒を振る舞ったのは、市商工会女性部の皆さん。
日が落ち、だいぶ冷え込んできた時間。
飲んで体を温めてもらおうと、温かい甘酒を用意し来場者をおもてなしします。

そして、賑わい出す会場の一角では、関係者出席のもと神事が執り行われました。
厳かな神事の後は、地元ライオンズクラブとJA加工部による餅つきが行われ、温かいつきたての餅がその場にいた皆さんに振る舞われました。

午後6時、主催者を代表して、鷹嘴信行実行委員長よりあいさつ。
昨年11月から集まり、開催に向けて準備をしてきた実行委員の皆さんの想いを開会の宣言に変えました。
同時に、1回目の紙風船上げが行われ、おおたわんぱくランドの皆さんが作った紙風船が2つ、天高く舞い上がりました。

 

雪中田植えを披露したのは、田ノ尻部落の皆さん。
雪中田植えは、「たっこたっこ」または「正月田」とも呼ばれ、水田に見立てた雪上に束ねた稲わらと大豆の殻を植えるようにして立て、その年の作占いと豊作祈願をするものです。
早乙女は、集落から募った女性有志の皆さんです。
上は古風な絣(かすり)に履き物はブーツと、本来の形を損なわない程度に現代風にアレンジされた格好で、順調に作業が進められました。

 

東今泉集落の皆さんは寄せ太鼓の演奏を行います。
この東今泉八幡太鼓の寄せ太鼓は、東今泉集落に伝わる「東今泉神楽」をもとに復興したもので、火まつりが開催されてきたのとほぼ同じくらいの歴史があるそうです。
地域の若い層が顕彰しながら、長年にわたりそのパフォーマンスは受け継がれています。

 

紙風船上げは、ボランティアを含め15人ほどのスタッフで行いました。
今回集まった紙風船は40個、どれも地域の集落や学校で製作されたものです。
紙風船がガスバーナーで温められ膨らんでいくと、施された絵が綺麗に浮かびあがり、周囲の歓声を誘います。
スタッフは膨らませた後、くるくると紙風船を回し、作品をお披露目。
その後、アナウンスに合わせて夜空に解き放っていきます。
こうして次々と後を追うように上がっていく紙風船は、幻想的な光景を作り出しました。

 

天筆焼きでは、稲わらで作られた約8メートルの高さのカマクラに火をつけ、その燃え上がる炎に5色の天筆をかざし、炊きあげます。
この天筆は、地元幼稚園児や小中学生によって書かれたもので、色とりどりの子どもたちの願いが天高く舞う様子を見守る人々の姿がありました。
ちなみに、このカマクラには約20a(2反歩)分の稲わらが使われているそうです。
30年近く、このカマクラ作りと天筆焼きを主導している武藤定志さんによれば、「秋の稲刈りの頃から、既に少しずつ火まつりの準備を始めている」とのこと。

火まつりではその名のとおり、火を使う場面が多く見られます。
そのため、運営には地元消防団の皆さんからの協力が欠かせないものとなっています。
紙風船が上がっている間は、万が一落下した場合に備え、地元消防団員の皆さんが会場の内外に控え、終始紙風船を見守っています。
また、天筆焼きでは、カマクラの周囲をぐるっと囲み、火の粉などで観客に危険が及ばないよう、ロープで安全帯を確保する作業も行っていただきました。
フィナーレには、天筆焼きの残り火と冬花火がコラボレーションを果たしました。

今回の来場者数は約2,000人。
会場の駐車場はほぼ満車状態となり、地元駐在や、交通指導隊員が出動し、寒い中、駐車スペースの確保や沿道の交通整理を実施してくださいました。
おかげで、大きなトラブル等も無く、多くの方にイベントを楽しんでいただくことができました。

太田の火まつりは、昭和57年に太田町公民館と太田町連合青年会が主体となり、「ふるさと火祭り」を開催したことに始まります。
以後、太田の火まつりは地域の人の協力のもと37年の歳月をかけて、今や太田地域最大の冬季イベントとして成長を遂げてきました。
この成長を支えてきたのは、地域の皆さんのたゆみない努力にほかなりません。

今回の火まつりには、インバウンドや移住促進をターゲットにしたプロモーション映像を撮影に来ている関係者の姿もあったようです。
イベントの様子に加えて、伝統行事の継承に汗を流す地域の人々の活躍も、レンズを通じて伝えてもらえたら嬉しいなと思います。

火まつり関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした!!