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秋田県大仙市公式ブログ

2月18日は「田ノ尻の火まつり」

2月3日(土)に太田地域の奥羽山荘西側広場で開催された第37回太田の火まつり。
地域の小正月行事が一堂に行われ、会場は多くの人でにぎわいました。

毎年、小正月行事の一つ、雪中田植え行事を披露してくれているのは田ノ尻集落の皆さん。

田ノ尻集落は、集落独自の伝統行事として「田ノ尻の火まつり」を行っています。

今年の「田ノ尻の火まつり」は2月18日(日)の開催、昔から伝わる雪中田植えや紙風船上げ、天筆焼きが行われます。
2月3日の「太田の火まつり」に行けなかった方でも、18日(日)田ノ尻集落の生活改善センターへ立ち寄ると、太田地域に伝わる小正月行事を感じていただけると思います。

田ノ尻集落の活動を、時を少し遡り、紹介したいと思います。
太田の火まつりを1週間前に控えたころ。
田ノ尻集落では、今まで火まつりに使ってきた道具がだいぶ消耗してきたことから、しめ縄をはじめ行事で使う道具の新調することにしました。

作業は田ノ尻集落の三浦里志さん、髙橋登美男さん、藤原信雄さん、水谷仁光さんの4氏の手によって、ほぼ一日がかりで進められました。

この日は朝9時から雪中田植えで使用する、しめ縄、苗かご、絵灯籠の用意を中心に進められました。

こちらは、しめ縄を作る様子。雪中田植えは、水田に見立てた雪の田に束ねた稲ワラと大豆の殻を植えるようにして立て、その年の作占いと同時に豊作を祈願する小正月行事です。年末のすす払いに使った棒を雪の田に立てて、その周りにしめ縄をはり水田に見立てます。縄で田の区域を区別するだけでなく、神聖な場としてしめ縄をはりめぐらせている意味もある気がします。
使われる稲ワラは秋の収穫時から用意していたもので、初めにしべ取り(藁のくず取り)をし、できたものを束にまとめていきます。それができたら横槌で束になったワラを敲き、石の上で柔らかくしていきます。

しべ取り用の道具、稲わらを敲くための横槌など、少し昔であれば各家にあった道具が、調達困難となってしまった今、しべ取りは手で行い、自分たちで作った横槌で作業を進めたのだそうです。
この地道な作業はお昼までかけて行われました。

午後はいよいよ縄を綯って、一本の大きなしめ縄に仕上げていく作業に入ります。
しめ縄と言えば左綯い。
かつてしめ縄を綯っていた集落のお年寄りから作り方を学び、4人で作業方法を模索しながら、天井につるして綯っていく、写真のようなスタイルを編み出しました。こうして作られたしめ縄は、なんと9mもの長さになりました。
最後に飛び出たワラ毛を切って、完成です。

そして、早乙女たちが田植えで使う『苗かご』作りも行われました。
どうせ用意するのであれば本格的なものを作ろう、ということで、角館方面や横手方面まで足を延ばし、ようやく入手したサンプル品から竹の編み方を研究。
製作に至っては、材料の真竹を割るところから始めるという本格さに驚きです。

また、行事の雰囲気を盛り上げようと燈籠も製作されました。

五角柱の一面は扉のように開閉でき、蝋燭の着火点灯が簡単にできるよう、手の込んだ仕様になっていました。

こうして新調された道具は、2月3日に行われた太田の火まつりで初のお披露目。
しめ縄や祭壇、灯籠などが設置されたセットの中で、絣を着た早乙女の皆さんの田植え姿は多くの人の視線を奪いました。

 

集落単位での小正月行事が行われなくなっている今、どうやって継承していくかが課題だと語る水谷仁光さん。
雪中田植えをはじめ「田ノ尻の火まつり」の運営方法を覚書(マニュアル)に記し、若い人たちをどう取り込んでいくか模索している最中とのこと。
「年配者が若い人に教える」のではなく、一緒に楽しく行事を行う雰囲気づくりが大切だと熱を込めて語ります。

2月18日に行われる「田ノ尻の火まつり」。
バケツを使ったミニかまくら作りや、餅つきなど子供が楽しめる催しから、夜には雪中田植えや紙風船上げなどが行われ、例年、集落の大人や子どもを中心に100人近い人が集まります。

今年も盛況に開催されることを祈っています。

Posted under: 太田地域

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