ふるさとこんにちは

秋田県大仙市公式ブログ

横沢曲がりねぎ 太田南小で定植

太田町横沢特産の「横沢曲がりねぎ」は、柔らかく独特のぬめりと香りがあることが特徴です。普通のネギは1年で収穫されますが、「横沢曲がりねぎ」は途中掘起こして寝かせて土を覆うという手間をかけるため、収穫まで2年余りかかります。横沢の土壌は黒ボクと赤土、この二つの土がほどよく混じりあった土壌で、もともとネギの栽培に適してるのに加え、手間をかけたことにより堅い葉が朽ちて柔らかい新葉が伸び、白根は土中で曲がって風味を増します。柔らかいため青い部分の先の方まで食べられます。生は辛みが強く薬味にも適しており、火を通すと甘味が強いという優れものです。
歴史もあり、江戸時代の紀行家菅江真澄が「月の出羽路」に「ことに横沢ねぶか(ネギ)とて、いと多く産生せり、味あまし」と書いて賞賛しているほどです。
この「横沢曲がりねぎ」は「秋田の伝統野菜」となっています。秋田の伝統野菜とは、昭和30年以前から県内で栽培されていたこと、地名や人名がついているなど秋田県に由来していること、現在でも種子や苗があり手に入ることという要件をすべて満たす野菜です。

6月22日、横沢地域に立地する太田南小学校でこの地域特産の伝統野菜「横沢曲がりねぎ」の定植が行われました。指導役に、太田地域の東部新規就農者研修施設からネギを担当している下田光さんと藤城みどりさんが、そして「横沢曲がりねぎ」に詳しい地元農家の長澤猛さんが訪れ、3年生と一緒に作業を行いました。挨拶や指導役の先生方の自己紹介が終わると、長澤さんから「横沢曲がりねぎ」について説明がされました。「佐竹の殿様が狩りの途中、横沢で宿泊休憩をしたとき、おもてなしがよかったことから、水戸のネギの種をもらったと伝わっています。歴史のある伝統野菜なんですよ。伝統野菜は秋田県では30品目。そのうち大仙市は4品目、亀の助ねぎ・仙北丸なす・石橋ごぼう・横沢曲がりねぎの4つです。地域の大事な伝統野菜を今日はみんなに植えてもらいたいと思います」

説明を聞いて「横沢曲がりねぎ」について知ると、早速作業にはいります。まずは鍬を使って土を掘り起こすところから。鍬を使ったことがある人~?と聞かれると半分ほどの子ども達が手を挙げましたが、やり出すとみんなぎこちない動き。下田さんと藤城さんに教わり、交替しながら2列を掘り起しました。

次に掘り起こしたところに肥料をパラパラと入れていきます。下田さんは「みんなご飯食べるよね。この肥料は野菜にとってのご飯みたいなものだよ」とわかりやすく説明していました。

そしていよいよ定植です。ネギの苗は事前に長澤さんが準備してくださったもの。「苗に土をかける時は、分かれているところより上にかけると成長が止まっちゃうから、気を付けて」と注意事項を下田さん。

苗と苗の間隔について、「5~6㎝ぐらい」と言ってもどれくらい?「指の第2関節ぐらい」さらに?です。担任の先生が「今日見たちょうちょの幼虫ぐらい」と言うと3年生みんなが納得。一斉に植え付けに入りました。皆さん真剣にそして丁寧に次々と植えていきます。分かれ目のところに土がかからないよう、気をつけながら作業していました。定植作業の感想では「初めて植えていろいろ知れてよかった」「うまくできてよかった」「とても楽しかった」「普通のネギはみたことがあったけど、横沢曲がりねぎは初めてだった」という意見がありました。子ども達の感想からも単なる野菜の定植ではなく、「横沢曲がりねぎ」という野菜への関心が確かに感じられました。

今回作業した区画のとなりには成長した2年目の「横沢曲がりねぎ」が。

これは今の4年生が昨年植えたもので、今年収穫予定です。8月末には成長した「横沢曲がりねぎ」を掘り起して土をかけ1か月ほど寝かせてから収穫だそうです。学校では、なべっこの時にちょうどいいと狙いをつけています。

地域の伝統野菜を学校で育てるこの活動をサポートしている長澤さんは、学校が「横沢曲がりねぎ」という地域の宝を引き継ぐ場になることを期待しています。「先人の意思を引き継ぐ活動を、いまこそ学校で!太田南小学校の前身は『横沢小学校』やっぱり『横沢曲がりねぎ』を引き継いでもらいたい」と語ります。
学校で、育てて食べてを毎年繰り返していけば、自然と受け継がれていくのではないかなと思います。
長澤さんの言葉から知識を、活動からは想いが、子ども達に確実に伝わっているように感じました。
秋田の伝統野菜である「横沢曲がりねぎ」、この先も伝統は受け継がれるなと確信した取材でした。

太田南小学校のみなさん、なべっこの時もお邪魔しますよ~。おいしいコメントをお願いしますね~。

Posted under: 太田地域

Comments are closed.