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秋田県大仙市公式ブログ

太田分校 全校民謡発表会

民謡や郷土芸能と言うと、特別な知識が必要なイメージから、ちょっと距離を感じていた気がします。
しかし最近、民謡や郷土芸能もいいなぁと思うようになりました。その理由はいくつかあります。

庶民の生活の中から自然に生まれ、口伝によって長い間受け継がれてきた民謡には、素朴な中にも先人の苦労や悲しみ、喜び、あるいは昔の人たちの美意識や生活に潤いを与えるための笑いなどが詠みこまれています。民謡が伝えてきた先人の想いに、年齢とともに魅力を感じるようになりました。
また先日、秋田市の民謡歌手・小野花子さんが、日本民謡協会の「民謡名人位」に選ばれたと報道がありましたが、2年前の平成28年には太田町出身の故佐々木貞勝先生が「民謡名人位」を授与されています。残念ながら佐々木先生が亡くなった後の追贈でしたが、佐々木先生が秋田を離れ、奥さんのみどりさんとともに生涯をかけて首都圏で秋田民謡を広めようと努力され、ついには「民謡界の至宝」と認められるまでのご苦労の一端を知ったことも、民謡に興味を持つきっかけになりました。
そして、大農太田分校の郷土芸能部のフレッシュで力強い歌や踊りにふれるたびに、ますます民謡や郷土芸能もいいなぁと思います。

前置きが長くなりました。
創立70周年を迎えた大農太田分校の学校祭と全校民謡発表会が10月28日に同校で開催されました。太田分校は毎年、午前中は学校祭、午後は全校民謡発表会と1日で2回楽しめる企画となっています。
全校民謡発表会は今年で9回目。地元の民謡同好会と東今泉八幡太鼓の方々が先生となり、歌や踊り、三味線、太鼓、尺八、太鼓から全校生徒49名がそれぞれ好きなパートを選び、5月から月2回の総合的な学習の時間を全校民謡発表会に向けた練習としています。
この日は、来賓の秋田県民謡協会の王藤正蔵理事長から「今日の発表をとても楽しみにしていた。若い世代の民謡離れが深刻な中、こうして高校生から民謡に親しんでいただき、本当にありがたい。全校で民謡に取り組んでいる学校は、全国でも珍しいのでは。若い世代からもっともっと民謡を楽しんでもらい、民謡の良さを伝えていきたい」とあいさつがありました。

発表会では、最初に郷土芸能部の発表が行われ、次に民謡と東今泉八幡太鼓の先生たちによる模範演奏、そして生徒の発表となりました。

太田町民謡同好会の皆さんの模範演奏

 

東今泉八幡太鼓の皆さんの模範演奏

 

続いて分校生の発表。東今泉八幡太鼓を選んだのは13名の生徒。「三宅太鼓」という曲を、しなやかに、力強く演奏しました。

民謡を選んだのは尺八7名、三味線6名、唄7名、小太鼓8名、踊り8名の合せて36名の生徒。「盛る盛ると 長者の山盛るナ~」で始まる「長者の山」と、「おらが秋田は 美人の出どこ」で始まる「秋田節」を発表しました。

太鼓、民謡とも5月から合わせて10回の練習で習得したとは思えない完成度の高さで、
どの生徒も真剣な表情の中にも民謡を楽しんでいることが感じられました。
この日は、太田文化プラザで太田地域芸術発表会、中仙市民会館ドンパルで太田北小学校の音楽劇、そして太田分校の全校民謡発表会と3つの発表会が同じ時間帯に重なりましたが、それぞれの会場には多くの来場者があったようです。太田分校の全校民謡発表会も、用意された椅子席は満席で、保護者の方がたは立ち見でした。

FMはなびで全校民謡の情報を得たという大曲の方は「ラジオで全校民謡と聞いてもピンとこなかったが、本当に全校生徒が一丸となって民謡に取り組んでいることに驚いた。今日の発表だけで終わってしまうのが残念なくらい良い発表会だった」と話していました。

太田分校では、特色ある学校づくりとして全校民謡に取り組んでいます。全校生徒が一生懸命発表する姿には、心打たれるものがあります。
同時に、これまで9年間ずっと継続して指導してきた先生役の民謡同好会と東今泉八幡太鼓のみなさんの熱意には、ありきたりの言葉になりますが、深く敬意を表したいと思います。
若い世代が民謡に取り組む姿、地元の方の継続した技術指導、「全校民謡発表会」の取り組みは、民謡王国秋田県を支える先進事例と言える気がします。
披露する側だけでなく、聞くこと・観ることでも民謡や郷土芸能の継承の一役を担えるかもしれませんよ。民謡・郷土芸能の継承のためにも、来年の発表会は今年来れなかった皆さんもぜひ会場へ足をお運びください♪

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