「コミュニティバス」に乗ってみました。
バスの中から見える「風景」を伝えたい、乗ってこそわかる「現状」を伝えたい、そんな思いをもって11月8日、太田地域を運行する「コミュニティバス」長信田線に乗り込みました。
大仙市では、太田地域、西仙北地域、南外地域で「コミュニティバス」を運行しています。各地域を結ぶ基幹路線として、大仙市と羽後交通株式会社との共同実施により、定時定路線のバスを運行しているものです。
太田地域の地域交通を支える政策は2つ。太田町内で買い物や受診、温泉利用などに利用できる「乗合タクシー」の制度、もう一つは太田から大曲へアクセスできる「コミュニティバス」の運行です。地域内外での生活を支えるために、実証運行などを経て確立された政策です。
太田地域を走る「コミュニティバス」長信田線は、大曲バスターミナル⇔奥羽山荘を運行しており、一日に大曲発が6便、奥羽山荘発が6便あります。仙北支所前など仙北を経由し、中里温泉前も通ります。運賃は片道200円~700円。
地域の大事な公共交通である「コミュニティバス」ですが、乗客数はいつもまばらです。
これからの地域公共交通対策はどのようにあるべきか、市ではアンケートを実施したり、地域協議会で議論をしたりと、今後について検討を重ねています。
そんな背景もあるため、「バス」に乗ってみることで伝えられるものがあるのではないかと思っています。
8:50奥羽山荘前発。始発から乗ったのは私一人でした。バスに乗ってすぐに気づいたことは、運転が優しいことと、目線が高く車窓からの風景が良いこと。いつも見ている風景も少し上から目線(笑)で見えます。
道路脇の木々が近くてキレイなことにもびっくりでした。
「次は○○~」と車内アナウンスが鳴る度に、誰か乗ってくれないかなと期待します。太田地域内の停留所でやっと私以外の乗客が乗り込みました。何となく落ち着きました。仙北地域に入ると三つの停留所で一人ずつ乗り込み、乗客は全部で五人となりました。普段はわりと物おじせずに話しかけるタイプなのですが、この日私は乗客の誰にも話しかけませんでした。バスを使う目的や、利用回数など聞きたいことはたくさんありましたが、この一緒のバスに乗りあわせた偶然だけで、乗客の皆さんの日常に踏み込んだり邪魔したりしてはいけない気がしました。車内の穏やかでゆっくりとした平和を乱したくない気持ちからです。きっと利用する人にとってはごくごく日常の中にある「バス」なんだと気づきました。実際に乗るまでは病院受診の人が多いのかなと思っていましたが、わりとみんな明るく乗り込みますし、病院から遠いバス停で足取り軽く降車する姿をみるとサークル活動かな?お友達との約束かな?などと思わずにいられません。終点の大曲バスターミナルに到着し運転手さんと「乗客が私だけじゃなくて安心しました」という話をしながら「次の大曲発は乗るかな~。大曲発の朝一番の便は、太田分校生が5人使っているよ」と教えてもらいました。なるほど、通学にもっと使用してもらえたらと感じました。太田から大曲の高校へ、大曲から太田の高校へ。私が高校生の頃は電車通学やバス通学は普通で、一緒に乗る友達もたくさんいました。保護者による学校前までの送迎は時間も経費も便利かもしれませんが、駅やバス停から歩くことでの体力増進、時間に合わせて行動する時間管理能力など、電車やバスを使うことにも将来役立つことがあるのではと思ったりしました。より一層通学に利用してもらうためには、毎日の通学に利用しやすい運賃設定も重要な気がします。