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太田地域文化講演会

11月20日(火)、太田文化プラザで「太田地域文化講演会」が開催されました。この講演会は、太田地域自治組織連絡協議会(長澤信徳会長)の主催で、太田地域にゆかりのある方を講師に迎え、ふるさと太田の良さを再認識するとともに、地域住民の教養と文化意識の高揚を目的に毎年開催しているものです。

今年は、東北大学名誉教授の工藤昭彦氏を講師にお迎えして講演をいただきました。

工藤先生と太田地域のつながりは、旧太田町時代から。当時、秋田県立農業短期大学の助教授であった工藤先生は「太田町農業発展計画」の策定に携わりました。複合経営による所得向上、生産組織の指導育成などの必要性を教示いただき、農業講演会や研修会などでこれからの農業政策について広く啓発をしていただきました。まさしく、太田町農業の進展にご尽力いただいた方です。工藤先生は、農業短大で助教授を務めたのち、東北大学農学部の教授そして平成22年には名誉教授の称号を授与されています。専攻分野は農業経済学ですが、定年退職後は東北大学の教養教育院で特命教授を務められ、「教養」について研究されていました。その経験と、講演会の目的である地域住民の教養の高揚という観点から、この度は『「羅針盤」としての教養について-見抜く力を鍛えるために』と題して講演をしてくださいました。
会場には地域住民のほか、農業短大時代の教え子という方、太田中学校の全校生徒と大曲農業高校太田分校の全校生徒が来場し、会場は満席でした。

工藤先生は講演の冒頭で、中学生・高校生が多いことから、「教養」というテーマだがわかりやすく「部活」に置き換えて聞いて欲しいと進言がありました。工藤先生は「知っている」だけでは力にならない、その知識を「使う」ことで応用ができる。「知る」と「使う」が相互に高め合い、その場にあった知識で応用を繰り返す中で、さらに応用力と知識力が深まり、見抜く「洞察力」が高まり、僕的・私的考えを発信できるようになると語りました。私は私なりに仕事に置き換え「なるほど」と、きっと中学生・高校生は自分の部活動や学習の中の今までの経験に置き換え自分なりの「なるほど」があったことと思います。工藤先生は、大学生への講義でも「考える授業」「参加型授業」「歴史的思考力」「複線型適応力」「レポート提出」に留意したといいます。講演中も、来場者に向けて農業やエネルギーなど様々なジャンルの質問をし、挙手を求めます。講演中でも考えさせたり、参加させたりを意識している気がしました。そして、いろんなジャンルの知識を持ち、いろんな視点で物事を考えることを、身をもって示してくださったように思います。

講演のあとには工藤先生への質問の時間が設けられました。
「国が破綻することはありますか?」という国家規模な質問から「私の家は農家ですが、いい話を聞きません。農業の未来が明るくなる話はありますか?」という身近な問題まで。工藤先生は「農業の未来があると思って従事している人は10%もいない。地域・県・国・国際社会で政策転換を図っていかなければいけない。農家の皆さんは確かに大変だと思うが、うなだれてばかりいても良くない。大変だなと3回うなだれても1回はがんばろうと思うように、そのうち1回うなだれて3回がんばろうと思えるよう変わっていければいい。地域で励まし合えるネットワークをつくっていくのも良いと思う」と丁寧に答えていました。
また中学生から「エネルギー自給率の話がありましたが、太田では水力の他に何かありますか?」という質問も。工藤先生が青森県のバイオマス発電について説明をすると中学生からは「新しいエネルギーに興味をもって、たくさんの知識を得たいです」と力強いコメントもありました。

分校生からは「講演に『基礎ゼミ』や『大講義室授業』がありましたが、高校の授業で取り組めるものはありますか?」と質問がありました。工藤先生は「分校の規模だと、『基礎ゼミ』のような少人数教室がぴったりだと思う。テーマを設定してお互いに意見交換をするのも良い。授業時間でできない場合でも、自主的にサークルでやるというのも良い」とアドバイスがありました。

講演会の最後は、毎年恒例となりました秋田県民歌の斉唱がありました。

工藤先生の豊富な知識と経験から語られた言葉により、中学生も高校生も大人も刺激を受ける講演会となりました。いろんな分野のお話があり、一人ひとりに響くポイントが違ったと思います。「教養」というテーマでしたが、工藤先生の豊富な話題からもやはり「教養」って大事だと改めて感じました。
毎年開催されている「文化講演会」は、昨年は「スポーツ」一昨年は「アーカイブズ」その前は「初等教育」、テーマは様々ですが太田地域に「文化的視点」を刺激してくれる良い機会となっています。私の個人的な思いとしては、質問タイムで地域の中学生や高校生の感性に触れることができることも、一つの魅力です。
今年来られなかった方も、ぜひ来年はご来場ください。何だか賢くなった気がしますよ♪