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東部地区若手就農者合同研修会を開催しました

12月21日(金)中仙農村環境改善センターで「平成30年度東部地区若手就農者合同研修会」が開催されました。この研修会は、若手就農者が高い技術と優れた経営感覚を身に付け、安定的な農業経営ができるよう、平成30年度から中仙地域、仙北地域、太田地域の東部3地域が合同で開催を始めたものです。

研修会は「稲作、野菜、施設栽培」と「畜産」の2つの部門の会場に分けて研修を実施しました。
「稲作、野菜、施設栽培」部門の最初の講演は、大仙市花館地域の認定農業者で、平成29年度の大仙農業元気賞を受賞された佐々木徳胤さん(49歳)より、就農してからの様々な体験や苦労を語ってもらいました。

 

 

 

(H29に大仙農業元気賞を受賞された佐々木夫妻)

佐々木さんは自衛隊に務めた後、地元のリース会社に勤めていましたが、41歳の時に大仙市新規就農者研修施設で野菜や花きの栽培方法を学び、実家の農業を継いで複合経営を実践してきました。
はじめは水稲、アスパラ、花きの3部門で経営を行なっていましたが、家族だけでは負担も大きく、徹夜して選別作業を行い出荷することも少なくなかったそうです。また、忙しい時には意見がぶつかることもあったとのことでした。
このままでは経営の継続は難しいと感じたため、水稲と花きの2部門に絞り、佐々木さんは水稲を、妻のこずえさんは花きと、部門ごとに担当を分けることで、負担が少なくするよう対策してきました。今では夫婦で相談し合い、互いにレベルアップを図りながら作業できるようになったそうです。
佐々木さんがこれまで多くの苦労を経験したにも関わらずにこやかに話す姿を見て、若手就農者のみなさんも元気づけられたのではないかと思います。また、会場には妻のこずえさんも来てくださっており、佐々木さんが講演の中で感謝の意を伝えた際、笑みを浮かべていたのが印象的でした。

その後、仙北地域振興局農業振興普及課の平良木副主幹から、これまで新規就農者の担当として感じた点を、また、楽しんで農業を行うことや、他の農業者や異業種の人とのつながりを大切にすることなど、農業経営を行なっていくうえでの心構えや注意点をわかりやすく教えていただきました。

 

 

 

 

 

 

「畜産」部門では、仙北地域振興局農業振興普及課の石井副主幹と、大仙市農業振興課の今野主査から講演していただきました。 参加者は乳用牛と肉用牛繁殖農家の方たちだけのため、より専門的な話題が中心となりました。
はじめに、石井副主幹から仙北管内における畜産の概況と県の補助制度について、その後、今野主査からは市の補助制度の説明をしていただきました。講演後には様々な質問が出たため、休憩時間も利用しての活発な質疑応答となりました。
仙北地域の肉用牛の頭数が近年再上昇の傾向にあるとの話もありましたが、参加した若手の方々には規模拡大を志向する方も多く、補助制度については特に関心を持って聞いているようでした。

 

 

 

 

 

 

 

最後は全体研修として2部門が合流し、仙北地域振興局農林部の舛谷部長より、都市や旅行客、学校との交流・連携と地域活性化の関わりについて講演していただきました。
舛谷部長は、外国人観光客による農村体験活動の人気ぶりや、他県での農村交流の成功例などを交えながら、主に学校との連携事例を取り上げ話してくださいました。
地元中仙地域の園芸メガ団地における、秋田県立大学生の就農体験についても紹介され、農村交流を実施するためには地域の強みを伸ばすことが大切であるほか、受け入れる側が一体となって取り組むことで地域活性化へとつながるといったメリットについても話されました。農村交流事業は地域住民と行政職員が連携して取り組むことが必要であり、これから地域の一翼を担う若手就農者にとって、大変参考になる講演であったと感じました

その後、会場を移し、交流会(親睦会)を開催したところ、多数の参加があり、他品目で経営する若手就農者間や行政職員とで楽しい交流となりました。

早春を告げる「ひろっこ」

新しい年が始まりました。今年も地域の話題を伝えるためがんばっていきます。どうぞ、よろしくお願いします。

新しい年の1回目の投稿は、早春を告げる太田産の「ひろっこ」を紹介します。

太田町斉内の門脇一男さんは、30年以上「ひろっこ」栽培に取り組んでいます。
取材に伺いたいと電話すると一男さんは「地味だど~。インスタ映えしないぞ~」と念を押します(笑)
ご心配いただきましたが、ブログでは「良い写真」を紹介したいのではなくて、「太田の良いところ」を紹介したいので、充分映えましたよ♪

「ひろっこ」は「アサツキ」の若芽です。にんにくやネギなどは食べるとヒリっとすることから、古語で「蒜(ひる)」と言われたそうです。そして、秋田県の方言では、小さくてかわいいものの語尾に「こ」をつけることがあるので、「ひるっこ」→「ひろっこ」となったのではないかと言われています。
私の中で「ひろっこ」は、春を告げる野菜、そしてちょっと値が張る高級野菜というイメージがあります。一男さんの「ひろっこ」は、今シーズンは12月10日が初出荷で、3月いっぱい出荷されるそうです。県内では湯沢が有名な産地ですが、一男さんの「ひろっこ」は他地域より早く出荷を開始しています。他地域では畑の土の中から「ひろっこ」を掘り起こしますが、一男さんの「ひろっこ」はもみがらの発酵熱を利用した栽培方法をとっているため、一足早い出荷が可能です。雪が降る直前から、夏に種を蒔いておいた箱(水稲の育苗箱のような感じの箱です)を、畑から掘り起こしてきます。その箱をビニールハウス内に移し、1メートルほど敷き詰めたもみがらの上に並べます。水と肥料をかけ、ハウス内で一週間ほど加温すると芽が出るそうです。それを毎日出荷できるように、3月まで繰り返します。

このもみがらの発酵熱で、「ひろっこ」に春になったと思わせているとのこと。ビニールハウス一面の1メートルの厚さのもみがらは、およそ田んぼ30町歩分、近所の農家さんからいただいてこれだけの量を集めているそうです。

加温に電熱を使用したことがあるそうですが、もみがら加温の発芽力には敵わなく、この方法を続けているそうです。もみがらからは、発酵の熱だけでなく発芽に必要な酵素や二酸化炭素などさまざまなプラスの要因が発せられているのだろうと一男さんは分析しています。さらに、このもみがらは再利用され、お盆過ぎに箱に種を蒔きますが、種を蒔いた箱を畑に並べる時にもみがらをたっぷりかけるそうです。すると草が生えず、たい肥にもなり、除草剤と肥料の削減になるとのこと、エコな資材でさらにリサイクルとは驚きです。

発芽した「ひろっこ」は洗い場で箱ごとザブザブするうちに、土が洗い流されて姿を現してきます。

こちらを今度はベテランお母さんたちのところに運び、根っこを切り落としてもらいます。

この風景も30年来ずっと変わりません。ちなみに1993年2月の「広報おおた」の表紙にもなりましたが、その時の表紙はこちら。

変わらない風景ですね。あえて違いを探すとしたら、足を長めての作業になったことぐらいですかね。「前の時だば、オラなまだ生まれてなかった~(笑)」などと冗談を言いながら和気あいあいと作業を続けます。根っこを切り落とした「ひろっこ」はこの後、もう一度水洗いをしてパック詰めとなるそうです。
この手間のかかる行程を知り、少し値が張っても今度からはどんどん「ひろっこ」を食べようと思ったところです。

一男さんの「ひろっこ」の出荷先は、県内と県外(東京・名古屋・石川金沢)の市場出荷となっています。地元では、タカヤナギ系列のお店で「門脇さん家のひろっこ」として販売されています。ぜひ手に取ってご賞味ください。一男さんから、「子どもには、オムレツにいれると簡単で良く食べるよ」とおススメしてもらいました。ついつい大人のための「ひろっこ」料理にしがちですが、子どもにも地域の伝統野菜を食べさせたいですよね。いいアドバイスをもらいました。
「ひろっこ」は春になったと思ってそのおいしい姿を現す、私たちはそれを口にして春になったと感じる。太田産の「ひろっこ」を食べて、皆さんもいち早く春を感じてみてはいかがでしょうか。

秋田県文化功労者受賞記念講演会が開催されました

平成30年10月26日、黒澤三郎様(福田在住)並びに冨樫泰時様(高梨出身)が秋田県文化功労者表彰を受賞されました。秋田県文化功労者表彰とは本県文化の向上発展に卓越した功績のある個人又は団体の事績を讃え、表彰するものです。

受賞されたお二方の活動や体験談を拝聴することで、仙北地域の歴史的・文化的地域資源について、より深く知っていただけるものと、平成30年12月9日(日)午後2時から、仙北ふれあい文化センターイベントホールにて、受賞記念講演会が行われました。

お二人のご経歴を紹介しますと、

【黒澤三郎氏】

黒澤様は昭和2年に現秋田県大仙市の上福田にお生まれになり、家業の農業に従事しながら俳句や郷土史の研究をされ、昭和44年には「仙北村史談会」を結成、以降49年の長きにわたり、東北最大級の国指定史跡「払田柵跡」の発掘調査への協力や、遮光器土偶「星宮遺跡」の発掘の端緒を開かれました。
また古文書の整理・継承の必要性を訴え、東北初となる大仙市アーカイブズの開設に大きく貢献されました。
旧仙北町文化財保護審議会会長、大仙市文化財保護審議会副会長、大仙市公文書館設置懇話会委員なども歴任され、また、秋田県民俗学・日本民俗学会員・秋田県文化財保護協会員として、全県的な史料の研究活動にもご尽力されたことで、秋田県文化財保護協会表彰を受賞されております。

【冨樫泰時氏】

冨樫様は、昭和16年に現秋田県大仙市高梨でお生まれになり、國學院大学文学部史学科をご卒業され、秋田県埋蔵文化財センター所長、秋田県立博物館長、秋田県立図書館長などを歴任されました。現在も、秋田県文化財保護審議会会長、旧池田氏庭園保存整備審議会会長、払田柵跡環境整備審議会副会長、大仙市文化財保護審議会委員とご活躍されてます。
また、著書は『秋田の博物館』、「集落遺跡に視る土器文化の受容について―男鹿市大畑台遺跡の検討から―」『あきた史記 歴史論集6』など多数出版されてます。

黒澤様からは、「90年を振り返って」と題して、ご講演いただきました。

冨樫様からは、「私の考古学への想い」と題して、ご講演いただきました。

お二方からは、これまでの活動の歩みと体験談をお話しいただきました。

黒澤様、冨樫様、このたびはご講演いただきありがとうございました。お二方の今後のさらなるご活躍をお祈りしております。