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鈴木空如模写「法隆寺金堂壁画」の複製が完成

太田地域出身の仏画家・鈴木空如は、東京美術学校(現東京藝術大学)卒業後まもない明治40年(1907)ごろから昭和11年(1936)まで、実に30年にわたり法隆寺の金堂壁画12面を独力で3組模写しました。
空如の模写の方法は、現状模写といわれるもので、壁面のひび割れなどをありのままに描くものでした。
空如の作品は、昭和24年(1949)の法隆寺金堂の火災で壁画が焼損する前に模写されたもので、学術上大変貴重なものとなっています。
この空如模写「法隆寺金堂壁画」は、原寸大(大壁4点タテ3m×ヨコ2.5m、小壁8点タテ3m×ヨコ1.5m)で、現在、次の3組が確認されています。
第一作目 所蔵者:箱根の鈴木家
制作年:大正11年完成(明治末年着手、空如49歳のとき)

第二作目 所蔵者:平木浮世絵財団(東京国立博物館へ寄託)
制作年:昭和7年完成(昭和5年着手、空如59歳のとき)

第三作目 所蔵者:大仙市(生家から寄贈・平成24年3月23日秋田県有形文化財指定)
制作年:昭和11年完成(昭和7年着手、空如63歳のとき)

このうち第一作目の作品12点が「聖尊図像」2,082点とともに、空如の親類である神奈川県箱根町の「吉池旅館」を営む鈴木家から昨年11月大仙市に寄贈されました。
寄贈いただいた金堂壁画を、市民の皆さんにより良く親しんでいただくため、このたび岩手県北上市の業者に委託し、複製(レプリカ)を製作しました。

複製品は、デジタルカメラで作品を撮影し、コンピューターを使って色合いを精密に調整したあと大型印刷機でフランスのルーブル美術館など世界の美術館で採用されている美術品複製専用の洋紙に印刷。先端技術により色彩や質感をほぼ正確に再現し、また拡大や縮小が自由にできます。
今回作成した複製品の大きさは、原寸の1/2サイズ(大壁タテ1.5m×ヨコ1.25m、小壁タテ1.5m×ヨコ0.75m)です。原寸だと作品から少し離れて見なければ作品全体が分りませんが、半分の大きさに縮小したことで、間近に作品全体を見ながら細かな色合いや質感を確認することができます。

平成28年10月開催の空如展の展示準備中の様子。作品の大きさがおわかりいただけると思います。

 

今回作成の複製品は、原寸1/2サイズ。間近に作品全体を見られるサイズです。

 

複製品は、鈴木空如模写「法隆寺金堂壁画」展で5月24日(金)から6月9日(日)まで太田文化プラザ(太田支所隣接)で公開する予定です。
第一作目(複製品)と第三作目(原寸)の微妙な違いや、複製品の精巧さなどをぜひ確かめてみてください。