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空如作品 東京へ

来年2020年3月13日から5月10日まで、東京国立博物館 本館特別4室・特別5室で特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」が開催されます。これは、東京五輪・パラリンピックにあわせ政府が主催する「日本博」のプロジェクトの一つです。

この展示では法隆寺金堂壁画の模写や修復の歴史をテーマとし、江戸時代から明治・大正・昭和時代にかけての模写とガラス乾板によるコロタイプ印刷版を展示します。
そのなかで、鈴木空如筆の金堂壁画も展示されることとなりました。空如は、明治から昭和にかけて壁画12面を原寸大(大壁約3m×2.5m、小壁タテ3m×1.5m)で3度模写しました。
今回の展示では、東京国立博物館に寄託されている2作目と、大仙市が所蔵する1・3作目の1・6・10号大壁(6点)のほか、下絵8点の計14点等が展示されます。

10月30日・31日には、この大仙市所蔵の14点について、東京国立博物館へ搬出する作業が行われました。
模写図の1作目は昨年11月に箱根の吉池旅館から大仙市に寄贈されました。今回の展示で初めて一般に公開されます。3作目が搬出されるのは、平成26年の東京藝術大学大学美術館での展示以来2回目とのこと。搬出作業は細やかに厳かに行われていました。なかなか見ることのできない一つ一つの作業に、思わず見入ってしまいました。

模写図を慣れた手つきで丁寧に扱うのは、配送業者の担当の方々、文化財運搬には絵画や仏像など専門とする担当の方がいるそうです。丁寧なのに手早く、作業に無駄がありません。

一枚一枚の点検をされているのは、東京国立博物館の学芸研究部保存修復課保存修復室の瀬谷室長です。作品の現状を点検し、太田地域からの搬出前と搬出後、東京での展示後と帰ってきてからと全部で4回も点検をするそうです。

展示の前後や運搬により作品に変化がないことを確かめることはもちろんですが、この点検により、のりの剥離や保管についてのアドバイスもあり、作品の現状を知る貴重なタイミングともなっていました。
点検を一枚一枚行うのは、相当な気遣いと体力が要ります。この日は肌寒い日でしたが、一枚の点検が終わると汗ばむほど。まさにプロフェッショナルの仕事を見た気がしました。

こうして、空如作品は東京へと旅立ちました。
今年の春、太田文化プラザで「鈴木空如筆法隆寺金堂壁画展」が行われた際には、3作目と1作目のレプリカをじっくりと鑑賞することができました。地元太田を離れている方も、来年春には東京国立博物館で太田から搬出された空如作品もご覧になることができます。空如が生涯で模写した3組の金堂壁画が、一つ屋根の下に揃うのは70数年ぶりだそうですよ。国宝・百済観音も東京では23年ぶりにお出ましになるまたとない機会です。ぜひこの機会にご拝観ください。

特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」の公式サイトはこちらから↓
https://horyujikondo2020.jp/