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第39回太田の火まつり

2月1日(土)、奥羽山荘西側広場において「第39回太田の火まつり」が開催されました。まさに雪不足に悩まされながらの開催でしたが、実行委員会の強い意志のもと、規模を縮小することなく無事に予定通り実施することができました。
太田の火まつり実行委員会も、今年も無事に開催できたことに安堵と達成感を感じています。

実行委員の皆さんは、前年の11月から会議を重ね、資金繰りや当日の運営方法などについて準備作業を進めてきました。
一方で、開催間近の1月中旬になっても雪は一向に積もる気配がなく、まつり内で行われる小正月行事への影響が心配されましたが、実行委員会では「雪が無ければ無いなりに、規模を縮小せず実施する」として、予定通り開催するという判断が下されました。

前回のブログで紹介していますが、開催に向けて、実行委員と支所職員とが協働で、太田地域内の排雪場や公共施設の軒下などに残っている雪をかき集め会場づくりを行いました。

火まつりへの決意

どうしても雪が必要なのが、天筆焼きで使われるカマクラと呼ばれる塔の土台部分、そして、雪中田植えのほ場となる部分でした。
開催4日前、かろうじて会場に必要な雪は用意したものの、その後の天気は、気温が高いうえに雨まで降る始末。せっかく集めた雪が消えてしまわないようにビニールシートをかけたり、固く固めたりと、最後まで気の抜けない、集めた雪を守るための作業が行われました。

そして迎えた当日。
会場には集めた部分以外には全く雪が無く、地表がむき出しになっているという状態でしたが、天筆焼き用のカマクラの塔はしっかりとそびえ、雪中田植えのほ場も何とか持ちこたえているのを確認し、まずは一安心。

 


このような中開催された、太田の火まつりの様子をご紹介します。

午後5時、開場に合わせて、本部前では大仙市商工会婦人部による甘酒が振る舞われました。
温かい甘酒を飲んで温まろうと、早くから集まったお客さんが列を作りました。

小正月行事に先立ち、関係者出席のもと、ふれあい交流館では神事がとり行われました。
周りには静かに神事を見守る観客の皆さんの姿がありました。
厳かな神事の後は、関係者の皆さんによる福分けがあり、神事でお供えしたお菓子が会場にいる子どもたちに配られました。

 

JA加工部による餅振る舞いでは、温かいつきたてのお餅が振る舞われました。
ふれあい交流館で行われた餅つきも、観客の皆さんには大好評。
長身で金髪のひときわ目を引く美人さんも餅つきを体験され、国際色豊かな餅つきとなりました。

午後6時には、鷹觜実行委員長より開会のあいさつがあった後、第一回目の紙風船上げが行われました。
紙風船は普段、ガスバーナーで温めた空気を送り膨らませた後、火種を付けて上げますが、今年は降雪が無いことから、着地した際に延焼する危険を回避する目的で、火玉をつけず紙風船内にためた暖気だけで上げることとしました。
空は晴れ、風もなく、紙風船上げには絶好のコンディション。
例年より気温は高いことから、温度差でちゃんと上がってくれるか不安な面もありましたが、無事成功!
地元の保育園、幼稚園の皆さんが作った紙風船が空高く舞い上がりました。

田の尻集落の皆さんによる、「雪中田植え」の様子です。
雪中田植えは、「たっこたっこ」または「正月田」とも呼ばれ、水田に見立てた雪上に束ねた稲わらと大豆の殻を植えるようにして立て、その年の作占いと豊作祈願をするものです。
新雪を使う例年とは違い、雪を持ってきて作った固雪の田んぼでしたが、田の尻集落の皆さんのアイデアで、先に雪に穴を空けておくことで固い雪へも稲わらを植えられるよう工夫が凝らされていました。

田の尻集落の水谷さんは「せっかく準備してもらった雪。集落の中で固い雪でも植えられるように考えた。」と話してくださいました。

東今泉集落の皆さんからは迫力の太鼓演奏が披露されました。
この「東今泉八幡太鼓の寄せ太鼓」は、東今泉集落に伝わる「東今泉神楽」をもとに再興したもので、集落の幅広い世代で顕彰しながら長年にわたりその技術が受け継がれています。迫力ある演奏とパフォーマンスで集まった観客を魅了していました。

 

そして、本日2回目の紙風船上げが始まりました。
今回、地域、小中学校、大農太田分校、各種団体などで作られた紙風船は38個。
空は依然として穏やかで、大勢の観客に見守られながら、紙風船が一つ、また一つと夜空に放たれていきました。

 

小正月行事を締めくくるのは迫力満点の「天筆焼き」です。
藁で作られた約8メートルのカマクラと呼ばれる塔に火をつけ、その燃え上がる炎に願い事が書かれた5色の天筆をかざし、炊きあげることで願い事の成就を祈るものです。 
このカマクラは、火まつり世話人の武藤定志さんと有志の皆さんの手によって毎年作られています。武藤さんによると、今回は周りに雪が無い事を考慮して、あまり燃えすぎないようにカマクラに使う藁の分量などを調整してくれたのだとか。長年の経験がなせる業です。
また、天筆に願い事を書いてくれたのは、太田地域の小中学生の皆さんです。
地元の消防団員の皆さんが厳重に警戒線を敷く中、燃え盛るカマクラの炎が、天筆に書かれた子どもたちの願いを天高く炊き上げていました。

 

そして、天筆の残り火と冬花火が、イベントのフィナーレを彩りました。

 

こうして大盛況のうちに幕を下ろした39回目の太田の火まつり。
例年にない雪不足は、地域の小正月行事がいかに雪と密接であったかを我々に再確認させるとともに、「雪が無ければ無いなりにやる」という関係者の努力と工夫が試された貴重な一回であったように思います。

来年の太田の火まつりは、いよいよ第40回の大きな節目を迎えることとなります。
雪の無い今年をやりきった達成感と自信から、たとえ雨でも、雪が無くとも「やれる!」...とは思いつつ、やはり適度な雪があればなお良いですね。
来年は適度な雪が積もっていてくれることを願いつつ、無事に開催されることを祈っています。