「ヴァンヴェール(倉田伸治店長)」では、体に安心な材料を使用して、生地はもちろんのこと、あんこやクリームなどの中身も一つ一つ丁寧に作っています。発酵促進剤や防腐剤を使用せず、自然な味わいとふわふわ感が特徴のパンです。また、地元の素材を使用していることも注目ポイント、取材時には、地元産のカボチャを使用した「日替わりパン」や、地元産のゴボウを使用したパンが「本日おすすめ」として並んでいました。
取材中も、ひっきりなしに来客があります。
地元太田の方はもちろん、千畑の方、仕事の途中だという方などが次々と訪れます。どなたもリピーターのようで「今日は○○ありませんか?」と、お目当てのパンがあるようでした。何人で食べるのだろうと思うぐらいたくさん買っていきますが、気持ちはわかります。パンが並んでいる時間に来店できた幸運を思えば、たくさん買わないともったいない気がしてしまいますからね。
倉田店長は毎朝3時に起きて10時の開店にむけて作業にかかるそうです。パンは平均で一日に200個ほど焼くとのこと、パンはもともと寒い地域の食べ物のため、寒い時期の方が少し多めに焼くそうです。人気は「あんぱん」や「クリームパン」、この地域には昔まんじゅう屋さんが8軒ほどあったようで、「甘い物」を受け入れる気質があるようです。スーパーができ自由に買い物はできるようになったが、手の込んだもの・質の良いものを食べたいという思いから、パン屋さんはやっていけるとお話しされます。パンはただの食糧ではなくて、「喜び」「楽しみ」だと語ってくださいました。
「ヴァンヴェール」情報
太田の「家庭教育学級」
太田ではおなじみの「家庭教育学級」、私は太田出身ではないため実はなじみのない言葉でした。現在大仙市内を見渡しても教育委員会が主催となり開催されている「家庭教育学級」は、この太田の取り組みのみです。
「家庭教育学級」は、保護者が家庭教育の重要性を認識し、自らの役割や責任を自覚するよう、教育行政において保護者の家庭教育を支援するとともに学校や地域と連携して家庭教育を充実させる方策として、昭和39年頃から全国で開設が相次ぎました。太田では昭和39年に県内でもさきがけ的に「家庭教育学級」を開設、昭和50年には幼稚園児を持つ保護者を対象とした「家庭教育学級」が開設され、以来、家庭の教育力向上をめざし長きにわたり継続して事業が続けられています。
今年度は、おおたわんぱくランドの保育参観日に合わせて全3回講座が開催され、4月は幼児教育カウンセラーの坂本昌さんの子育て講話、7月に音楽教室の佐藤香純さんの「リトミック」、そして最終回の1月には、大森山動物園の園長小松守さんの子育て講話が行われました。
かねてより聞きたいと思っていた小松園長の講話、取材というより勉強のつもりで聞いてきました。小松園長の講話は「動物の子育てに教育の原点を探る」というものでした。
小松園長は、太田は自然が多く、農業が盛んで同居世帯が多い、スーパー・園・病院・老人ホーム・郵便局などが一カ所に集約されコンパクトにまとまっており、子育て環境としてとても良いと認めてくださいました。ご自身の息子さんと大台スキー場にも来ていたとお話しされ、とても親近感がわきます。
大学卒業後から大森山動物園に勤務され、動物園勤務は43年にも及ぶそうです。動物園は「文化資産」だと考えているとお話しされました。動物に言葉は伝わらなくても気持ちは伝わる、自分の気持ちを伝えることで動物と心が通った気持ちになる、心が通う体験が心を豊かにするということから、「動物と語らう森」とキャッチフレーズを掲げているそうです。自然や動物との関わりを大事にして欲しい、子どもの気持ちが育ってくると語ります。冬期間、大森山動物園は土日のみ開園、「冬の動物園」として営業しています。冬ならではの動物の様子が見られるそうです。

43年の動物園生活の中で、動物の子育てそして人の子育てにも関心を寄せてきたという小松園長、子育てとは①「いのち」をつなぐ営みであり、種を超えた普遍的なものである②親と子のつながりの中で行われる、自然がつくった巧妙な仕掛け(絆)である③子どもの「豊かなこころ」を育む教育の原点であると語りました。わかるような、ちょっと難しいようなと思って聞いていましたが、動物園での実際のエピソードを紹介されるとなるほどと納得。一つ目のエピソードは、小松園長が飼育員として勤務されていた時のこと、母親に育児放棄されたチンパンジーの赤ちゃん「しのぶちゃん」がいたそうです。母親に替わり飼育員が毎日時間を決めて抱っこをしながらミルクをあげ、さみしくないように人形をそばにおいたりと工夫をしながら育てていました。少し大きくなると、ミルクを飲んだ後も抱っこをせがむようになったそうですが、他の動物の飼育もあることからお世話が終わるとすぐに離れるしかなかったそうです。そうして体は大きくなった「しのぶちゃん」ですが、大きな音が苦手だったり、同じくらい年のチンパンジーにもおびえ仲良くできなかったりというのがあり、3歳になる前に亡くなってしまいました。小松園長は、「しのぶちゃん」の悲劇から「からだの栄養だけでは育たない。心の栄養も必要だ」ということに気づいたそうです。
そしてもう一つのエピソードも披露。育児放棄されて飼育員に育てられた虎のミドリ、ミドリが産んだ子「ラン」もまた育児放棄されました。母親に育てられた経験のないミドリは、子育てということを知らないため育児を放棄しました。小松園長は「ラン」もまた育児放棄をする母親にならないよう、動物園に住み着いたお腹の大きい野良犬・ノラに子育てをしてもらおう考えたそうです。ちょうどノラが赤ちゃんを産んだ次の日、「ラン」が産まれました。ノラは、自分の子と同じように虎の子「ラン」をなめてあげ、お乳を飲ませ、時には叱り3ヶ月ほど一緒にいたそうです。ノラが「ラン」にしたことは、一緒にいて「ふれあって」あげたことだけ、けんめいにふれあい育てることで母の愛を伝えました。そして、「ラン」は大きくなり自分も母親になりました。1度目2度目の出産時「ラン」は育児を放棄しましたが、3度目の出産時「ラン」は自分の子どもを育てたそうです。聞いた瞬間に、自らの子育てを振り返ってしまいました。まだ間に合うなら、できるだけ子どもにふれあって親である姿を見せなきゃと強く感じます。
小松園長が講話の中で繰り返し語ってくれた言葉に「絆」があります。親と子の絆は、「親の愛」と「子の求め」の両者でつくるものだそうです。「親の愛」を伝えていくことが「いのち」を伝えていくこと、動物の子育てのエピソードで、理論と現実が結びつき、ズシンと響きました。動物の子育てと人間の子育てはイコールではないけれど、動物の子育てで「いのち」をつないでいくためになくさないようにしている大事なことを、人間の子育てでも忘れてはいけないとお話されました。
最後は、保護者の皆さん・園の先生達にむけて、幼児教育の大事な時期で、今が大変な時期ですが楽しみの多い時期でもあります。子育てを楽しみながら頑張ってほしいと締めくくりました。
小松園長、貴重なお話をありがとうございました。
「家庭教育学級」に、まさしくふさわしい講話でした。
子育てにマニュアルはない、と小松園長もおしゃっています。だからこそ、このような機会があって、いろんな視点から子育てについて考えるきっかけがあれば、心が変わったり視点が変わったりする気がします。
そう言えば、今回気づきましたが、太田の保育参観はお父さん出席率が高い!子育てに対する意識の高さはもしかしたら、長く続く、太田の「家庭教育学級」の成果なのかもしれませんね♪
Music&Snow Live in 大台スキー場
美郷町在住のシンガーソングライター・栗林聡子さんが1月20日(日)大台スキー場のファミリーロッジでライブを行いました。このライブは大台スキー場の主催によるもので、ゲレンデで聡子さんの「君のとなりに」という曲がナイター終了を告げる曲として流されていることがきっかけとなり開催されたものです。
聡子さんは、4歳からピアノを始め、小学生の頃からすでに作詞作曲をしていたそうです。大曲高校3年生の時に大曲で開催されたNHKのど自慢大会で優勝し、チャンピオン大会にも出場、その経験をきっかけに本格的に音楽活動を始めました。仕事と子育ての傍ら、シンガーソングライターとして活動しています。キーボードを弾きながら、抜群の歌唱力で伸びやかに歌う姿が印象的です。太田では、2年前の夏まつりにもゲストとして出演してくださっています。
ライブ当日のお天気はあいにくの雨雪でしたが、ゲレンデはスキー教室や親子連れで大賑わい、スキー場には770名程の来場者があったそうです。午後2時半頃でもリフト乗り場にはまだ順番待ちの列ができていました。

聡子さんのライブは食堂もあるファミリーロッジで午後3時から始まりました。聡子さんはライブ前、10時頃から小学校3年生の娘さんとスキーを滑ったそうです。20何か年ぶりに第2コースまで行き、偶然にも雲が晴れて平野を見渡すことができてすごく気持ちよかったと語ります。お昼はロッジの食堂のメニューを食べたそうで、特別な場所で食べるとどれも美味しいと宣伝までしてくださいます。お話を交えながら、この日はオリジナル曲を3曲、カバー曲を3曲披露してくださいました。

1曲目にはセカンドアルバム収録曲の冬の歌「冬のカケラ」を披露、伸びやかな歌声で、たまたま休憩でロッジに入った方も虜にしていました。2曲目はカバー曲でレミオロメンの「粉雪」、スキー場ライブにぴったりな曲を選び、この日のために練習してきたそうです。3曲目はオリジナル曲でCD化されていない曲「このまま」、このライブに来たからこそ聞けた一曲です。4曲目はカバー曲で、スキー場と言えばこれでしょうと、広瀬香美の「ゲレンデがとけるほど恋したい」を披露。高音も気持ちよく伸びます。思わず自分の携帯で動画をとってしまいました。5曲目はオリジナル曲「君のとなりに」。この曲が昨シーズンから大台スキー場でナイター終了を告げる曲としてゲレンデに流れます。しっとりとしたバラードで、確かにゲレンデを離れがたい気持ちにぴったりな曲です。6曲目はカバー曲でglobeの「DEPARTURES」、スキー場でライブをすることが決まり、一番やりたいと思った曲だそうです。初めて披露する曲とおっしゃっていましたが、これもまたかっこよくそして伸びやかに歌い上げます。ママ世代の方々が揃って動画をとっているのが、妙に共感できました。

もっと聞きたいなと私も思っていましたが、やはりアンコールがあり、中島美嘉の「雪の華」をしっとり聞かせてくれました。40分程のライブでしたが、100人以上が聞き惚れた、午後のひとときとなりました。
ゲレンデをバックにスキー場にぴったりな歌を披露してくださった聡子さん、ありがとうございました。
歌手として、歌唱力が素晴らしいことはもちろんですが、このライブにぴったりな選曲をして向かってくださった姿勢、母としての一面など、人として素敵なところが知れて改めてファンになりました。
ぜひまた太田でのライブをお願いしますね☆ありがとうございました。
子育て世代の味方「ほほえみルーム」
太田地域内唯一の医療機関である太田診療所の中に「太田病児・病後児保育園」があります。「ほほえみルーム」と愛称がつけられていますが、この季節は特に子育て世代の心強い味方となっています。
病児・病後児保育園は、病気中や病気の回復期のために登園・登校できない園児・児童を、医療機関に付設した専用スペースで一時的に預かり保育してくれるありがたいところです。この事業は市の子育て支援事業の一つで、太田の「ほほえみルーム」のほかに、大曲(現在は休止中、2月から開設予定)と刈和野にあります。「ほほえみルーム」の昨年度一年間の利用は119日、利用者数は延べ164人にもなっています。太田のみならず、中仙・仙北・大曲・千畑・六郷など広い範囲の方々が利用しています。
インフルエンザの流行を耳にするようになり、「ほほえみルーム」が大活躍かも知れないと、様子を覗いてみました。
1月16日の利用は3人。5歳の女の子と10ヶ月の男の子と6ヶ月の男の子、いずれもインフルエンザA型の子たちが利用していました。利用者の人数や保育の必要度合いから判断し、この日は保育士さんが二人体制で子ども達のお世話をしていました。
お二人とも市内の保育園でお勤めされていた保育のエキスパートです。体調が悪い子ども達ですから、機嫌が良いわけありません。お腹が空いても、眠くても、体調がイマイチでも泣くしかない赤ちゃん達も、「ほほえみルーム」の先生達の手にかかれば、数分で要求を満たしてもらえます。ミルクを飲んでも抱っこされても泣いていた子が、気がつけば頬に涙を伝わせて、ニコニコと遊びだしていました。
5歳の女の子は、前も来たことがあるとお話ししてくれました。先生とかるたで遊んでいましたが、「ほほえみルーム」の遊びで一番好きなのはお人形さんの「ぽぽちゃん」で遊ぶことだそうです。
赤ちゃん達のお世話で先生たちが忙しい間も、自分でおトイレを済ませ好きな遊びを楽しんでいます。安心できる空間だからこそ、体調が悪くても穏やかに過ごせるのだと思います。
この「ほほえみルーム」での子ども達の過ごし方は、先生方が手作りした一人ひとりの連絡帳に事細かく記入されます。
連絡帳の表紙の絵は全て違い、どの絵にも想いがこもっているそうです。一日の過ごし方を、ミルクの量や時間、入眠・目覚め・排尿の時間、そして遊びの種類まで細かく書いてくださいます。また、太田診療所の看護師さんが定期的に症状を見に来てくれることも安心です。
保護者の方にとってどんなに心強く安心な場所か、利用者にリピーターが多いことにも信頼度が表れています。
いろんな症状の子ども達に囲まれる先生方、先生に倒れられたら大変だなと思わず心配になります。「体調管理は予防注射とマスク着用で充分に気を付けているから大丈夫。仕事で大変なことはない、ずっとやってきた仕事だから。体調の悪い子たちに何かあることが一番心配!」こんな優しい先生達が待っていますよ、子どもの看病で困っている子育て世代の皆さん、安心してご利用ください。
子育て世代の心強い味方「ほほえみルーム」の利用対象は生後2ヶ月経過後から小学校6年生までの園児・児童です。病気のため普段通っている園や学校で集団生活ができず、家庭で看護できない場合に利用できます。利用料金は、一人当たり1日1,000円(市外の方は2,000円)、事前に医療機関で受診し、症状がわかってから利用申し込みをしてください。利用できるのは、月~金曜日までが8時から18時、土曜日は8時から13時までです。定員に限りがありますので、利用可能か事前のご連絡をお忘れなく。利用申し込みは太田診療所(大仙市太田町横沢字窪関南505-1・電話0187-88-2233)まで。
太田の火まつり準備着々!
来月2月2日(土)奥羽山荘西側広場で「第38回太田の火まつり」が開催されます。この「火まつり」は太田地域の小正月行事の伝承を目的として毎年開催されているものです。
火まつりのメインイベントの一つに紙風船上げがありますが、現在、太田地域内で紙風船作りが行われています。太田支所でも1月17日に紙風船を作成しました。今年は、大仙市地域おこし協力隊の狩野さん、小川さん、伊藤さん、インターンシップで大仙市に来ている大学生の阿久津さんが駆けつけてくれました。紙風船には毎年様々なイラストを描いていますが、今年は、大仙市のキャラクター「まるびちゃん」と協力隊のみなさんが考えたオリジナルイラストです。
イラストは初めに原画を紙風船用紙に縁取り、その後着色をしていきます。
原画の縁取りでは和気あいあいとした雰囲気でしたが、いざ着色となるとみな真剣になり、黙々と作業していました。
イラストの着色がおわると、用紙を切り貼りし、風船の形を作っていきます。
総勢12名で、1日がかりで仕上げることができました。慣れない作業に苦労した部分もありましたが、こうしたイベントを通じて人と人との交流が生まれ、次世代へと受け継いでいくことで、地域のつながりを強くいつまでも続けていけるのだと感じました。
地域おこし協力隊の小川さん、狩野さん、伊藤さん
紙風船は太田地域の各集落で作られるほか、認定こども園や小学校で作られ、当日は約30基が冬の夜空へと舞い上がります。火まつりでは紙風船上げのほか、雪中田植え、東今泉八幡太鼓、天筆焼き等太田の小正月行事を堪能できます。
協力隊のみなさんの力作披露は当日のお楽しみです。ぜひ会場にいらしてご覧ください!
早春を告げる「ひろっこ」
新しい年が始まりました。今年も地域の話題を伝えるためがんばっていきます。どうぞ、よろしくお願いします。
新しい年の1回目の投稿は、早春を告げる太田産の「ひろっこ」を紹介します。
太田町斉内の門脇一男さんは、30年以上「ひろっこ」栽培に取り組んでいます。
取材に伺いたいと電話すると一男さんは「地味だど~。インスタ映えしないぞ~」と念を押します(笑)
ご心配いただきましたが、ブログでは「良い写真」を紹介したいのではなくて、「太田の良いところ」を紹介したいので、充分映えましたよ♪
「ひろっこ」は「アサツキ」の若芽です。にんにくやネギなどは食べるとヒリっとすることから、古語で「蒜(ひる)」と言われたそうです。そして、秋田県の方言では、小さくてかわいいものの語尾に「こ」をつけることがあるので、「ひるっこ」→「ひろっこ」となったのではないかと言われています。
私の中で「ひろっこ」は、春を告げる野菜、そしてちょっと値が張る高級野菜というイメージがあります。一男さんの「ひろっこ」は、今シーズンは12月10日が初出荷で、3月いっぱい出荷されるそうです。県内では湯沢が有名な産地ですが、一男さんの「ひろっこ」は他地域より早く出荷を開始しています。他地域では畑の土の中から「ひろっこ」を掘り起こしますが、一男さんの「ひろっこ」はもみがらの発酵熱を利用した栽培方法をとっているため、一足早い出荷が可能です。雪が降る直前から、夏に種を蒔いておいた箱(水稲の育苗箱のような感じの箱です)を、畑から掘り起こしてきます。その箱をビニールハウス内に移し、1メートルほど敷き詰めたもみがらの上に並べます。水と肥料をかけ、ハウス内で一週間ほど加温すると芽が出るそうです。それを毎日出荷できるように、3月まで繰り返します。

このもみがらの発酵熱で、「ひろっこ」に春になったと思わせているとのこと。ビニールハウス一面の1メートルの厚さのもみがらは、およそ田んぼ30町歩分、近所の農家さんからいただいてこれだけの量を集めているそうです。
加温に電熱を使用したことがあるそうですが、もみがら加温の発芽力には敵わなく、この方法を続けているそうです。もみがらからは、発酵の熱だけでなく発芽に必要な酵素や二酸化炭素などさまざまなプラスの要因が発せられているのだろうと一男さんは分析しています。さらに、このもみがらは再利用され、お盆過ぎに箱に種を蒔きますが、種を蒔いた箱を畑に並べる時にもみがらをたっぷりかけるそうです。すると草が生えず、たい肥にもなり、除草剤と肥料の削減になるとのこと、エコな資材でさらにリサイクルとは驚きです。
発芽した「ひろっこ」は洗い場で箱ごとザブザブするうちに、土が洗い流されて姿を現してきます。
こちらを今度はベテランお母さんたちのところに運び、根っこを切り落としてもらいます。
この風景も30年来ずっと変わりません。ちなみに1993年2月の「広報おおた」の表紙にもなりましたが、その時の表紙はこちら。
変わらない風景ですね。あえて違いを探すとしたら、足を長めての作業になったことぐらいですかね。「前の時だば、オラなまだ生まれてなかった~(笑)」などと冗談を言いながら和気あいあいと作業を続けます。根っこを切り落とした「ひろっこ」はこの後、もう一度水洗いをしてパック詰めとなるそうです。
この手間のかかる行程を知り、少し値が張っても今度からはどんどん「ひろっこ」を食べようと思ったところです。
一男さんの「ひろっこ」の出荷先は、県内と県外(東京・名古屋・石川金沢)の市場出荷となっています。地元では、タカヤナギ系列のお店で「門脇さん家のひろっこ」として販売されています。ぜひ手に取ってご賞味ください。一男さんから、「子どもには、オムレツにいれると簡単で良く食べるよ」とおススメしてもらいました。ついつい大人のための「ひろっこ」料理にしがちですが、子どもにも地域の伝統野菜を食べさせたいですよね。いいアドバイスをもらいました。
「ひろっこ」は春になったと思ってそのおいしい姿を現す、私たちはそれを口にして春になったと感じる。太田産の「ひろっこ」を食べて、皆さんもいち早く春を感じてみてはいかがでしょうか。
おせワンになりました
平成30年、戌年が終わろうとしています。ブログをいつもみてくださっている皆さん、今年も大変おせワン、いえ、大変お世話になりました。「ブログみてるよ」という言葉に励まされ、平成30年も太田支所一丸となって情報発信に努めてきました。イベント・風景・人・一コマを伝えたいと、チームワークよく頑張ってきました。
太田支所の今年最後のブログは、戌年のラストを飾る意味で、太田地域の秋田犬を紹介します。
大仙市で秋田犬といえば、平昌冬季五輪の女子フィギュアスケート金メダリスト・ロシアのザキトワ選手に贈られた「マサル」が注目を浴びました。太田地域の秋田犬も負けていません。ここ太田にはモデルとして活躍している秋田犬がいるんです。
駒場の加藤友弘さんが育てている秋田犬は全部で6頭、子犬が3頭と成犬が3頭。なんと、その中に秋田県やJR東日本の観光モデルを務めたことのあるワンちゃんがいます。
今回、2017年の夏にモデル撮影した時の写真をお借りすることができました。
赤毛の2ショット、左側が3歳雌の「紅宝姫(べにほうめ)」ちゃん、右側が2歳雄の「紅晃輝(くれないこうき)」くんです。奥羽山荘向かいにあるドッグランで撮影された写真です。
こちらは紅晃輝くんのアップ。
イケメンですね。紅晃輝くんは秋田犬保存会の本部展「幼犬の部(6か月~9か月)」で6位に入賞したことのあるワンちゃんです。
この2枚の写真は、秋田県で作った手さげ紙袋(特別な方におみやげ品を渡すときに使用しているそうです)に表裏でプリントされています。
そして、虎毛の3歳雌の「菊虎姫(きくとらひめ)」ちゃんは、JR東日本の2017年秋田県ガイドブック夏・秋号の表紙になっています。「秋田だ!」というタイトルのガイドブックにお顔のアップで表紙を飾っています。
3頭とも愛くるしい♪まるでアイドルですね。
由緒正しい生まれでしょうが、大事に育てられていることが感じられます。
私の勝手な思い込みで、モデルになるような秋田犬は大館近隣のワンちゃんと決めつけていました。
加藤さんによると、秋田犬保存会から県内の各支部に連絡があり、ワンちゃんを連れて撮影に行ける方がモデルとして協力しているそうです。
体も大きく力も強そうだし、こんなに手入れよく、撮影にも応じられる穏やかなワンちゃんに育て上げるには苦労もあるだろうと予想しますが、加藤さんは「そんなに大変なことはない。秋田犬は育てやすいよ」とさらりと言います。秋田犬は、よく忠誠心の強いワンちゃんとして紹介されますが、それはきっと愛情たっぷりに育てる飼い主がいてこそだと思います。加藤さんとワンちゃんの姿からも、関係性って大事だなと改めて考えさせられました。
秋田犬の人気を太田からも後押していると思うと、嬉しいですよね。干支は間もなく戌から亥へと変わりますが、秋田犬への注目度はますます高くしていこうと思いました。
加藤さん、取材協力ありがとうございました。
皆さん、来年もワンダフルな年になりますように。よいお年をお迎えください。
冬至には太田産のかぼちゃを
今年の冬至は12月22日です。
冬至には、かぼちゃを食べて、ゆず湯に入る風習があります。
かぼちゃは、ビタミンAやカロチンが豊富なので、風邪予防に効果的です。本来、夏が旬のかぼちゃですが、長期保存がきき保存することで甘みや栄養分が増すため、冬に栄養を摂る食材としては、もってこいです。
また、冬至というのは1年で最も日が短いことから、太陽が生まれ変わる日と考えられ、運が上昇してくる日とされています。そして、冬至には「ん」のつくものを食べると「運」が呼び込めるといわれています。それを『運盛り(うんもり)』というそうですが、『運盛り』の中でも『冬至の七種(とうじのななくさ)』と呼ばれるものがあり、なんきん(かぼちゃ)、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)の七種。これらは、二つも「ん」がつくことから、たくさんの「運」が呼び込めると言われています。
かぼちゃ=南瓜(なんきん)を食べることの意義をことさら深く感じ、せっかくなら地物で「栄養」と「運」を取り込みたい!と、野菜直売所であるアンテナショップを訪れてみました。このアンテナショップはJA秋田おばこ太田地区野菜直売部会が運営しています。
冬至直前のためか、かぼちゃのコーナーまでありますが、その多種多様ぶりにびっくりです。私が知っているかぼちゃとは違う!軽いカルチャーショックでした。

店員さんに「これ全部かぼちゃですよね」と確認してしまいました。それから「ほこほこしているのはどれですか?」と聞くと白いタイプをおススメされました。「ほくほく」ではなく、我が家は「ほこほこ」しているのが好きなんです。店員さんによると、かぼちゃもいろいろ種類が出てきて、売り手の方でさえもまだ食べたことがない種類があるようです。核家族や高齢世帯に合うように、食べきり・切りやすさなどから、小さいサイズのものが増えているそうです。
私は、白いかぼちゃとラグビーボールのようなかぼちゃを二つ購入してみました。後で調べたところ、白いかぼちゃは「伯爵南瓜(はくしゃくかぼちゃ)」、ラグビーボールは「ロロンかぼちゃ」という種類でした。
レジに向かうと、またもやびっくり、購入したかぼちゃは直径12~13㎝ほどでしたが、どちらも100円台なんです。地物であることで品質が安心なうえ、価格もまた安心。この安全安心な太田産かぼちゃは、太田町横沢にある農業振興情報センター内のアンテナショップで購入できます。皆さんも冬至に太田産のかぼちゃを、ぜひお試しください。
アンテナショップの詳細についてはこちらから→https://sanchoku55.com/akita/sanchoku/465/
降雪美
「降雪美」という正式な言葉はありませんが、雪が降ったことで美しくなった景色を呼ぶのにぴったりと思いネーミングしてみました。
太田地域の初雪は11月23日、まとまった雪が降り始めたのは12月8日からです。12月8日は12㎝、9日は7㎝、10日は20㎝の降雪があり、3日連続で降った雪により10日の積雪の深さは23㎝をマークしました。こんもりとした新雪が様々な降雪美をつくりあげています。
大台スキー場の雪化粧
太田庁舎前の冬囲い
農協倉庫の軒下
太田球場駐車場のナナカマド
今まで気にしたことのない場所も、降雪により「うつくしく」映ります。
太田庁舎内に、太田地域内の各学校が発行した学校報を掲示していますが、太田東小の「ひまわり通信」に相田みつをさんの言葉が引用されていました。
「うつくしいものを美しいと思えるあなたのこころがうつくしい」
ともすれば厄介者扱いされる雪ですが、見方を変えれば「うつくしい」こともある。そして「うつくしい」と思える自分の心のうつくしさも、たまには肯定してみるのもいいかもしれません。
自分を含めて、何かと否定的な考え方や見方をしがちなこのご時世、努めて「うつくしい」ものを探すことも、心の豊かさになるかも知れませんよ♪
清なる灯り
この時期、あちこちでイルミネーションを見かけます。太田地域のちょっと気になるイルミネーションを紹介します。
太田中学校の校庭の木にイルミネーションが施されています。
撮影技術が未熟で、実物の感じを伝えきれずにすみません。実物はもっと明るく優しく校庭を照らしています。清の字が目を引くこのイルミネーション、「聖なる」と「清なる」をかけてる?と勝手に思い込んだ私には、なんだか清らかなライトアップに見えてきます。
この清の字にはきちんと意味があり、今年の3年生が「清輪」学年であることから、輪っかの中に清の字を書いたものです。3年生全員の高校合格を願い、合格発表までライトアップされる予定とのこと。もちろん、地域を安全に明るく照らすという意味で、灯りをともしていることもあるようですが。灯りそのもの、そして全員合格することで地域を明るくしてくれる、やはり「清なる灯り」で間違いないなと自信を持ってしまいます。
イルミネーションには灯りの温かさと同時に、地域を明るく照らそうという気持ちの温かさがあるように思います。太田中学校には全員合格を応援する温かさが、真木苑のイルミネーションにはお年寄りを敬い感謝する温かさ、わんぱくランドの園庭にあるイルミネーションには子どもを守る温かい想いが灯っているように思います。
真木苑のイルミネーション
わんぱくランドのイルミネーション
飾りつけは、地元の電気屋さんや先生方などの協力がなければ成り立たなく、そこにも相手や地域を想う温かさがあります。各家庭のイルミネーションだって「おかえり」や「気をつけて」の温かさがあります。相手や地域を想う清らかな心からと思うと、どのイルミネーションも「清なる灯り」と言える気がします。
皆さんもイルミネーションを見る時、ありがとうの想いをもって「清なる灯り」を感じてみてはいかがでしょうか。
「オブ山の大杉」の絵がMOA美術館奨励賞受賞
絵に感動をもらった経験はありますか?
私はこの度、一枚の絵に大きな感動をもらいました。
太田南小学校2年の田村愛花(あいか)さんの描いた「オブ山の大杉」の絵です。
11月23日から25日を会期として、大曲交流センターで第30回MOA美術館秋田県南地区児童作品展が開催されました。普段、絵とは縁のない生活をしている私ですが、魁新聞で作品展のことを知り、愛花さんが描いた絵のことを知りました。
愛花さんの「オブ山の大杉」の絵は、絵画の部の最高賞となるMOA美術館奨励賞を受賞しました。このMOA美術館奨励賞というのはつまり一等賞ということなのですが、どのくらいすごい賞かというと、秋田県の代表として全国審査に出展されるぐらいのすごさです。
新聞で作品展のことを知り、第一に「よくぞ、大杉を描いてくださいました」という感謝、そして作品を見たい気持ちが膨らみました。会場に足を運ぶと、見るほどに「よく描けている。特徴が良く出ている!」という絵そのものへの感動が広がります。しかもこの作品展のテーマが、~美しいもの、楽しいものを見つけて笑顔になろう~と知り、なおさら感謝と感動です。
愛花さんは夏休み中、太田公民館主催の「学びぃフィールドワーク編」に参加し、川口渓谷にある「オブ山の大杉」に会いに行きました。「太田地域の一番」を探してもらいたいという思いで開催されたこのフィールドワーク、その体験が愛花さんに響いたこそ、この絵があるのです。
愛花さんは、フィールドワークに参加したきっかけを「大台スキー場には園の時登ったことがあったけど、もっと山みたいなところに登ってみたくて参加した」とお話ししてくれました。帰ってから楽しかったとお父さんとお母さんに報告したそうです。絵を描いたのは、何日か経ってからだと言いますが、特徴をよくとらえてしっかり覚えているなぁと感心しました。絵を描くことは「まぁまぁ好きな方」と愛花さん、今回はクレヨンと絵の具の両方を使って描いたそうです。実物を見たからこそ描ける形とスケール感、そして幹の表面の感じや葉のつき方など丁寧に描いてくれたことがわかりました。

愛花さんはさらに「この絵を見て太田町にこんなすごい木があることを知ってもらえたら嬉しい」と感想を寄せています。
「オブ山の大杉」について、市の職員がたくさんの言葉を並べて宣伝するよりも、愛花さんが丁寧に描いてくれたこの絵と、この絵をどのような気持ちで描いてくれたかを知ってもらうことが一番効果的ではないかなと感じました。
愛花さん、本当にありがとうございます。そして、おめでとうございます。
これからも、太田のいいところをたくさん探してくださいね!
愛花さんが参加した学びぃフィールドワーク編の様子はこちらからご覧になれます。
↓↓↓
太田キッズまなびぃ 初のフィールドワーク
太田地域文化講演会
11月20日(火)、太田文化プラザで「太田地域文化講演会」が開催されました。この講演会は、太田地域自治組織連絡協議会(長澤信徳会長)の主催で、太田地域にゆかりのある方を講師に迎え、ふるさと太田の良さを再認識するとともに、地域住民の教養と文化意識の高揚を目的に毎年開催しているものです。
今年は、東北大学名誉教授の工藤昭彦氏を講師にお迎えして講演をいただきました。
工藤先生と太田地域のつながりは、旧太田町時代から。当時、秋田県立農業短期大学の助教授であった工藤先生は「太田町農業発展計画」の策定に携わりました。複合経営による所得向上、生産組織の指導育成などの必要性を教示いただき、農業講演会や研修会などでこれからの農業政策について広く啓発をしていただきました。まさしく、太田町農業の進展にご尽力いただいた方です。工藤先生は、農業短大で助教授を務めたのち、東北大学農学部の教授そして平成22年には名誉教授の称号を授与されています。専攻分野は農業経済学ですが、定年退職後は東北大学の教養教育院で特命教授を務められ、「教養」について研究されていました。その経験と、講演会の目的である地域住民の教養の高揚という観点から、この度は『「羅針盤」としての教養について-見抜く力を鍛えるために』と題して講演をしてくださいました。
会場には地域住民のほか、農業短大時代の教え子という方、太田中学校の全校生徒と大曲農業高校太田分校の全校生徒が来場し、会場は満席でした。
工藤先生は講演の冒頭で、中学生・高校生が多いことから、「教養」というテーマだがわかりやすく「部活」に置き換えて聞いて欲しいと進言がありました。工藤先生は「知っている」だけでは力にならない、その知識を「使う」ことで応用ができる。「知る」と「使う」が相互に高め合い、その場にあった知識で応用を繰り返す中で、さらに応用力と知識力が深まり、見抜く「洞察力」が高まり、僕的・私的考えを発信できるようになると語りました。私は私なりに仕事に置き換え「なるほど」と、きっと中学生・高校生は自分の部活動や学習の中の今までの経験に置き換え自分なりの「なるほど」があったことと思います。工藤先生は、大学生への講義でも「考える授業」「参加型授業」「歴史的思考力」「複線型適応力」「レポート提出」に留意したといいます。講演中も、来場者に向けて農業やエネルギーなど様々なジャンルの質問をし、挙手を求めます。講演中でも考えさせたり、参加させたりを意識している気がしました。そして、いろんなジャンルの知識を持ち、いろんな視点で物事を考えることを、身をもって示してくださったように思います。

講演のあとには工藤先生への質問の時間が設けられました。
「国が破綻することはありますか?」という国家規模な質問から「私の家は農家ですが、いい話を聞きません。農業の未来が明るくなる話はありますか?」という身近な問題まで。工藤先生は「農業の未来があると思って従事している人は10%もいない。地域・県・国・国際社会で政策転換を図っていかなければいけない。農家の皆さんは確かに大変だと思うが、うなだれてばかりいても良くない。大変だなと3回うなだれても1回はがんばろうと思うように、そのうち1回うなだれて3回がんばろうと思えるよう変わっていければいい。地域で励まし合えるネットワークをつくっていくのも良いと思う」と丁寧に答えていました。
また中学生から「エネルギー自給率の話がありましたが、太田では水力の他に何かありますか?」という質問も。工藤先生が青森県のバイオマス発電について説明をすると中学生からは「新しいエネルギーに興味をもって、たくさんの知識を得たいです」と力強いコメントもありました。

分校生からは「講演に『基礎ゼミ』や『大講義室授業』がありましたが、高校の授業で取り組めるものはありますか?」と質問がありました。工藤先生は「分校の規模だと、『基礎ゼミ』のような少人数教室がぴったりだと思う。テーマを設定してお互いに意見交換をするのも良い。授業時間でできない場合でも、自主的にサークルでやるというのも良い」とアドバイスがありました。
講演会の最後は、毎年恒例となりました秋田県民歌の斉唱がありました。
工藤先生の豊富な知識と経験から語られた言葉により、中学生も高校生も大人も刺激を受ける講演会となりました。いろんな分野のお話があり、一人ひとりに響くポイントが違ったと思います。「教養」というテーマでしたが、工藤先生の豊富な話題からもやはり「教養」って大事だと改めて感じました。
毎年開催されている「文化講演会」は、昨年は「スポーツ」一昨年は「アーカイブズ」その前は「初等教育」、テーマは様々ですが太田地域に「文化的視点」を刺激してくれる良い機会となっています。私の個人的な思いとしては、質問タイムで地域の中学生や高校生の感性に触れることができることも、一つの魅力です。
今年来られなかった方も、ぜひ来年はご来場ください。何だか賢くなった気がしますよ♪
太田の「いぶりがっこ」
秋田の漬物といえば「いぶりがっこ」、テレビで地域の特産として取り上げられたり、グルメ番組でちょっとおしゃれに取り上げられたり、知名度も上がってきました。
ここで生まれた私たちにとっては、小さいころから慣れ親しんだおいしい漬物の一つです。
3世代同居の我が家でも「いぶりがっこ」は大人気です。直売所に行くと、試食もあり製造者一人ひとりの味の違いまで確かめて購入してくることができます。やはり作り手が見えた方が、安心でおいしいですよね。
太田には「いぶりがっこ」の作り手として頑張っている若者がいます。昨年から取材機会をうかがっていましたが、この度お邪魔してきました。
太田町国見の田口悦章(よしあき)さんは、5年前から大根の収穫からいぶし、漬け込み、販売まで行う「いぶりがっこ」製造を営んでいます。そもそも漬物はその家庭の味で保存食として食されていたものですから、漬物を事業化しようとしたのは、大きな決断だったと思います。
悦章さんは漬物を始める前、東京にいた時に手土産として「秋田の味だから」と、市販されている「いぶりがっこ」を買っていき、おいしくなかった体験があるそうです。仲間同士の語り草になるほど、イマイチであった味とその経験があったからこそ、何よりも「量より味」にこだわっているといいます。
悦章さんのいぶし小屋は、いぶし部屋が4つと物置1つが棟続きになっています。
燻煙が窓からもれ、あたり一面いぶしのいい匂いが広がっています。「いぶりがっこ」製造は家族経営、繁忙期にはご近所の方にもお手伝いをいただき、あくまでも量産ではなくできる範囲で良いものを製造しています。
大根畑にも案内してもらいましたが、整然と並ぶ大根にびっくりです。
悦章さんのお父さんも畑作農家で専門は「ネギ」です。大根の作付は、3反7畝ほどで、ネギの収穫後に種をまき、二毛作で大根を収穫しているそうです。機械を使用して土を掘り起し、掘られた大根を手で拾い上げて収穫します。いぶし小屋の1部屋に約千本の大根がつるされ、それが4部屋分、3日~4日程かけていぶす作業を1か月以上続けるそうなので、それに合わせての収穫は想像するだけでも大変です。
悦章さんも、製造工程の中で大根を収穫するときの負担が大きいと語っていました。
いぶし加減については、気温・気候、大根の太さ・つるし方、薪の乾き具合で火の位置や加減を調整する必要があるとのこと、納得のいくいぶし方ができるようになるまで3年かかったそうです。薪は広葉樹を使用しており、最初はナラの木で強めにいぶし、サクラで仕上げてコーティングをするそうです。
取材時はいぶして1日の時。大根の表面がうっすらと茶色になっています。
こちらがいぶし終えて漬物用に出荷される大根です。このぐらいしわが入る程度いぶすのだそうです。
今まさに、いぶし作業の真っ最中で、11月いっぱい続きます。火の管理が夜中に及ぶことも多いそうで「自分は消防団員ですから、特に気を付けてますよ~」と悦章さん、製造へのこだわりと安全へのこだわりを感じます。
12月に入ると漬け込みが始まりますが、こちらも自己流。塩と砂糖しか使わず、最初に教わった漬け込み方から、毎年改良を重ねてあみ出した味わいです。取材時にお土産にいただいて、支所のみんなでごちそうになりました。いぶしの香りが強く、塩気も甘味もちょうどいい。保存料や化学調味料がいっさい入っていないのも嬉しいですし、そのことで大根といぶしの味をひきたてている気がします。
取材中もたくさんお話ししてくださった悦章さん、途中で「こんなに話して、いぶりがっこのことを教えくれた人達に迷惑かからないかな」と心配する場面も。私も一応、控えめに書いているつもりです(笑)
悦章さんは「いぶりがっこをやってみたい人がいれば、秘密にしないで、自分が知っている技術は伝えていきたい。『秋田のいぶりがっこ』を後継していくことが大事」と話してくれました。「自分にとって農業は仕事だけでない、地域や仲間とつながるもの、活性化してくれるものだ」と語ります。素晴らしい考え方だなと感心しました。人柄の良さもありますが、そう言えるのは成功も失敗も含めた経験なんだと思います。それと何よりも地域への愛着を感じます。
「農業を通じて今までつながった人へ恩返ししたい」ともお話ししてくれました。今のありのままの充実した姿・頑張る姿を見せることで、恩返しは充分できているような気がします。
悦章さんの「いぶりがっこ」は、角館のお土産屋さんや、インターネットで購入することができます。
興味のある方は「田口さんちのいぶりがっこ」で検索してみてください。
こんな感じで真空パックされています。
農薬・化学肥料不使用、さらに化学調味料無添加です。安全でおいしい「いぶりがっこ」、おすすめです!
バスの車窓から
「コミュニティバス」に乗ってみました。
バスの中から見える「風景」を伝えたい、乗ってこそわかる「現状」を伝えたい、そんな思いをもって11月8日、太田地域を運行する「コミュニティバス」長信田線に乗り込みました。
大仙市では、太田地域、西仙北地域、南外地域で「コミュニティバス」を運行しています。各地域を結ぶ基幹路線として、大仙市と羽後交通株式会社との共同実施により、定時定路線のバスを運行しているものです。
太田地域の地域交通を支える政策は2つ。太田町内で買い物や受診、温泉利用などに利用できる「乗合タクシー」の制度、もう一つは太田から大曲へアクセスできる「コミュニティバス」の運行です。地域内外での生活を支えるために、実証運行などを経て確立された政策です。
太田地域を走る「コミュニティバス」長信田線は、大曲バスターミナル⇔奥羽山荘を運行しており、一日に大曲発が6便、奥羽山荘発が6便あります。仙北支所前など仙北を経由し、中里温泉前も通ります。運賃は片道200円~700円。
地域の大事な公共交通である「コミュニティバス」ですが、乗客数はいつもまばらです。
これからの地域公共交通対策はどのようにあるべきか、市ではアンケートを実施したり、地域協議会で議論をしたりと、今後について検討を重ねています。
そんな背景もあるため、「バス」に乗ってみることで伝えられるものがあるのではないかと思っています。
8:50奥羽山荘前発。
始発から乗ったのは私一人でした。バスに乗ってすぐに気づいたことは、運転が優しいことと、目線が高く車窓からの風景が良いこと。いつも見ている風景も少し上から目線(笑)で見えます。

道路脇の木々が近くてキレイなことにもびっくりでした。
「次は○○~」と車内アナウンスが鳴る度に、誰か乗ってくれないかなと期待します。太田地域内の停留所でやっと私以外の乗客が乗り込みました。何となく落ち着きました。仙北地域に入ると三つの停留所で一人ずつ乗り込み、乗客は全部で五人となりました。普段はわりと物おじせずに話しかけるタイプなのですが、この日私は乗客の誰にも話しかけませんでした。バスを使う目的や、利用回数など聞きたいことはたくさんありましたが、この一緒のバスに乗りあわせた偶然だけで、乗客の皆さんの日常に踏み込んだり邪魔したりしてはいけない気がしました。車内の穏やかでゆっくりとした平和を乱したくない気持ちからです。きっと利用する人にとってはごくごく日常の中にある「バス」なんだと気づきました。実際に乗るまでは病院受診の人が多いのかなと思っていましたが、わりとみんな明るく乗り込みますし、病院から遠いバス停で足取り軽く降車する姿をみるとサークル活動かな?お友達との約束かな?などと思わずにいられません。
終点の大曲バスターミナルに到着し運転手さんと「乗客が私だけじゃなくて安心しました」という話をしながら「次の大曲発は乗るかな~。大曲発の朝一番の便は、太田分校生が5人使っているよ」と教えてもらいました。なるほど、通学にもっと使用してもらえたらと感じました。太田から大曲の高校へ、大曲から太田の高校へ。私が高校生の頃は電車通学やバス通学は普通で、一緒に乗る友達もたくさんいました。保護者による学校前までの送迎は時間も経費も便利かもしれませんが、駅やバス停から歩くことでの体力増進、時間に合わせて行動する時間管理能力など、電車やバスを使うことにも将来役立つことがあるのではと思ったりしました。より一層通学に利用してもらうためには、毎日の通学に利用しやすい運賃設定も重要な気がします。
そんなことを思いながら今度は折り返しの9:55大曲バスターミナル発に乗り込みます。
始発から乗ったのは予想どおり私一人。でもほどなくスーパーの前の停留所で二人の乗客がありました。こちらのお二人はお友達同士なのかお話をしながらの乗車でした。バスの揺れと心地よい話声でときおり眠くなりながら、車窓から見える「風景」を見逃さないように行きよりも多くシャッターを切りながら戻ってきました。



お友達同士と思っていましたが、一人の方は太田地域内の停留所で降車し、もう一人の方は終点の奥羽山荘まで私と乗り続けました。長信田線が奥羽山荘まで運行するようになったのは29年度からです。この日のこの便では一人だったかもしれませんが、奥羽山荘までの需要は確かにあることを自分の目で確かめることができました。
バスの旅の往復でわかったことは、「コミュニティバス」は生活に必要なものだということ。通学のため、受診のため、買い物のため、趣味の活動のため、市民の活動の範囲を広げてくれる「バス」が「コミュニティバス」であると感じました。太田という小さな「コミュニティ」だけでなく、バスに乗ることで広い「コミュニティ」で活動できる、そんな意味からも「コミュニティバス」なのかなと、今さらに感じました。
地域公共交通対策には、いろいろな考え方や意見があるかもしれません。
そして、バスの車窓から見えるものも、人によりまた季節により違うかもしれません。
ブログを読んで、「コミュニティバス」に関心を持ってもらえたら幸いです。
そして、たまにはバスを利用してみようかなと思っていただければ、なお光栄です(笑)
たまにはいいものですよ♪
冬へ向かう風景
今年の立冬は11月7日でした。「立」には新しい季節になるという意味があり、「立冬」は冬の始まりを表す季節の大きな節目です。今週は天気の良い日もありましたが、朝夕の冷え込みからも冬が近いことを感じさせます。
立冬を過ぎると、いよいよ初霜が降りて冬の佇まいへと変わります。太田の冬へ向かう様子をお知らせします。
色づく葉が次々と落ちています。秋の終わりが近づいています。
真木渓谷の様子(県立自然公園管理員の倉田陽一さん撮影)
太田庁舎の様子
落ち葉は、枝とお別れをしたと思えば少し悲しく、片付のことも思っても悲しくなりますが、それでも天気がいいと彩や踏んだ時のサクッとした音などは趣を感じます。
除雪機の隊列の様子
11月9日の除雪安全祈願祭・出動式のため、除雪機が庁舎駐車場に並びました。今シーズンもお世話になります。
和賀岳の初冠雪の様子(県立自然公園管理員の倉田陽一さん撮影)
標高1440.2mの和賀岳には、11月2日に初冠雪がありました。平野部からは見えませんでしたが、管理員としていつも真木真昼県立自然公園内の登山道やトイレを管理をしてくださっている倉田さんは、初冠雪のタイミングを逃さずに写真に収めてくださいました。貴重なショットですね。
「立冬」も過ぎたことですし、「雪」というワードも飛び交うようになり、いよいよ冬支度の頃合いです。家の冬囲い、車のタイヤ交換、厚手の上着の準備、インフルエンザの予防接種など、自分自身の冬に向かう準備も頃合いですよ。今週末あたりから取りかかって、冬に向かいましょう!
太田分校 全校民謡発表会
民謡や郷土芸能と言うと、特別な知識が必要なイメージから、ちょっと距離を感じていた気がします。
しかし最近、民謡や郷土芸能もいいなぁと思うようになりました。その理由はいくつかあります。
庶民の生活の中から自然に生まれ、口伝によって長い間受け継がれてきた民謡には、素朴な中にも先人の苦労や悲しみ、喜び、あるいは昔の人たちの美意識や生活に潤いを与えるための笑いなどが詠みこまれています。民謡が伝えてきた先人の想いに、年齢とともに魅力を感じるようになりました。
また先日、秋田市の民謡歌手・小野花子さんが、日本民謡協会の「民謡名人位」に選ばれたと報道がありましたが、2年前の平成28年には太田町出身の故佐々木貞勝先生が「民謡名人位」を授与されています。残念ながら佐々木先生が亡くなった後の追贈でしたが、佐々木先生が秋田を離れ、奥さんのみどりさんとともに生涯をかけて首都圏で秋田民謡を広めようと努力され、ついには「民謡界の至宝」と認められるまでのご苦労の一端を知ったことも、民謡に興味を持つきっかけになりました。
そして、大農太田分校の郷土芸能部のフレッシュで力強い歌や踊りにふれるたびに、ますます民謡や郷土芸能もいいなぁと思います。
前置きが長くなりました。
創立70周年を迎えた大農太田分校の学校祭と全校民謡発表会が10月28日に同校で開催されました。太田分校は毎年、午前中は学校祭、午後は全校民謡発表会と1日で2回楽しめる企画となっています。
全校民謡発表会は今年で9回目。地元の民謡同好会と東今泉八幡太鼓の方々が先生となり、歌や踊り、三味線、太鼓、尺八、太鼓から全校生徒49名がそれぞれ好きなパートを選び、5月から月2回の総合的な学習の時間を全校民謡発表会に向けた練習としています。
この日は、来賓の秋田県民謡協会の王藤正蔵理事長から「今日の発表をとても楽しみにしていた。若い世代の民謡離れが深刻な中、こうして高校生から民謡に親しんでいただき、本当にありがたい。全校で民謡に取り組んでいる学校は、全国でも珍しいのでは。若い世代からもっともっと民謡を楽しんでもらい、民謡の良さを伝えていきたい」とあいさつがありました。
発表会では、最初に郷土芸能部の発表が行われ、次に民謡と東今泉八幡太鼓の先生たちによる模範演奏、そして生徒の発表となりました。
太田町民謡同好会の皆さんの模範演奏
東今泉八幡太鼓の皆さんの模範演奏
続いて分校生の発表。東今泉八幡太鼓を選んだのは13名の生徒。「三宅太鼓」という曲を、しなやかに、力強く演奏しました。
民謡を選んだのは尺八7名、三味線6名、唄7名、小太鼓8名、踊り8名の合せて36名の生徒。「盛る盛ると 長者の山盛るナ~」で始まる「長者の山」と、「おらが秋田は 美人の出どこ」で始まる「秋田節」を発表しました。
太鼓、民謡とも5月から合わせて10回の練習で習得したとは思えない完成度の高さで、
どの生徒も真剣な表情の中にも民謡を楽しんでいることが感じられました。
この日は、太田文化プラザで太田地域芸術発表会、中仙市民会館ドンパルで太田北小学校の音楽劇、そして太田分校の全校民謡発表会と3つの発表会が同じ時間帯に重なりましたが、それぞれの会場には多くの来場者があったようです。太田分校の全校民謡発表会も、用意された椅子席は満席で、保護者の方がたは立ち見でした。
FMはなびで全校民謡の情報を得たという大曲の方は「ラジオで全校民謡と聞いてもピンとこなかったが、本当に全校生徒が一丸となって民謡に取り組んでいることに驚いた。今日の発表だけで終わってしまうのが残念なくらい良い発表会だった」と話していました。
太田分校では、特色ある学校づくりとして全校民謡に取り組んでいます。全校生徒が一生懸命発表する姿には、心打たれるものがあります。
同時に、これまで9年間ずっと継続して指導してきた先生役の民謡同好会と東今泉八幡太鼓のみなさんの熱意には、ありきたりの言葉になりますが、深く敬意を表したいと思います。
若い世代が民謡に取り組む姿、地元の方の継続した技術指導、「全校民謡発表会」の取り組みは、民謡王国秋田県を支える先進事例と言える気がします。
披露する側だけでなく、聞くこと・観ることでも民謡や郷土芸能の継承の一役を担えるかもしれませんよ。民謡・郷土芸能の継承のためにも、来年の発表会は今年来れなかった皆さんもぜひ会場へ足をお運びください♪
「あの空に虹を!~友だちの友だちはみんな友だち~」太田北小学校全校音楽
毎年、太田北小学校の全校音楽劇を楽しみにしている方も多いと思います。一度みたら、また見に行きたくなります。そんな私ももちろんリピーター、今年も見に行って良かったなとしみじみ思っています。
今年の太田北小学校全校音楽劇は、10月27日(土)が公開リハーサル、28日(日)が本公演でした。
今年は「あの空に虹を!~友だちの友だちはみんな友だち~」という演目、そしてテーマは「だれでもだれかのヒーロー 夢をかなえよう!~友だちの友だちはみんな友だち~」でした。
脚本はわらび座の齋藤和美さんが、子ども達の想いや意見を聞きながら書き下ろすオリジナル作です。虹・友だち・ヒーロー、文字で並べると子ども達が演じるのにありがちな気もしますが、さすがプロの方の脚本は違います!
「赤ずきん」「3匹のこぶた」「オオカミと七匹の子ヤギ」などでいつも悪役として登場するオオカミ、嫌われ者として名高いオオカミだって、だれかを助けることがあってだれかのヒーローになれるということが盛り込まれています。太田北小学校の全校音楽劇は、年ごとに新作と続編を繰り返しており、今年は続編の年でしたが、動物たちみんなのヒーローである前年の主人公がオオカミを友だちと認め、オオカミの良さを引き出しながら劇が進みます。途中魔法にかかった悪役がもたらした危機さえも「友だちの友だちはみんな友だち」「友だちを助けたい」という強い気持ちで乗り越えます。その危機を乗り越えたことで、前年の主人公そしてオオカミの夢までも叶うというあたたかいストーリーです。
森の収穫祭のため、みんなで芋ほりをします
動物たちの手助けをして、友だちとして認められるオオカミ
バンドの生演奏が音楽劇を盛り上げます
ゴロロ(雷の子ども・前年の主人公)が倒れ、悲しむオオカミ
オオカミの友だちを想う涙で空に虹がかかりました
みんな友だち!収穫祭でサンバを楽しく踊ります
人と人のつながりが希薄になっているこの時代に、そして大仙市内で一番児童数の少ない太田北小学校で「友だちの友だちはみんな友だち」と訴えることの意義は、とても深いような気がします。
そして、私が鑑賞した公開リハーサルの日は土曜日で児童クラブの運営日、指導員さんと運転手さんの引率で児童クラブの皆さんも鑑賞に訪れていました。おおた児童クラブは太田東小、太田南小、太田北小の3校の児童が利用しており、それこそ「友だちの友だち」で「みんな友だち」なはず。児童クラブの皆さんは数年前から行事として音楽劇を鑑賞しています。特に今年は、児童クラブの皆さんにピッタリな演目だったため、音楽劇を鑑賞したことも何だか意義深い!と、妙に感動してしまいました。児童クラブの皆さんには、友だちの活躍はどのように映ったのか、気になるところです。もしかしてこの音楽劇の後からヒーローになった北小の友だちもいるかもしれませんね。
「友だちの友だちはみんな友だち」「だれでもだれかのヒーロー」大人が忘れかけている優しくて強いその気持ちを、北小のみなさんに教えてもらった気がします。素敵な音楽劇をありがとうございました。来年の公演も楽しみにしていますね。
川口渓谷紅葉トレッキング ~オブ山の大杉編~
10月19日(金)、川口渓谷の紅葉を楽しみながらオブ山の大杉へと向かう「川口渓谷紅葉トレッキング ~オブ山の大杉編~」が行われ、参加した12名が秋晴れの空の下で心地よいトレッキングに汗を流しました。
「オブ山の大杉」は、川口渓谷のオブ山にある、幹回り12.4m、樹高34m、樹齢1200年以上とされる巨大な天然杉です。
その幹の太さは秋田県一(東北で三位)で、大仙市の文化財に指定されているほか、国有林内における次世代への財産として健全な形で残していくべき巨樹・巨木として、林野庁が定める「森の巨人たち100選」にも指定されています。
8時30分に川口渓谷遊歩道入口を出発。
秋晴れのベストコンディションの中、遊歩道を進んでいきます。
オブ山への登り口は、この遊歩道を1kmほど進んだところから沢目に下り、川を越えたところにあります。
このところ続いていた好天で、川の水深は浅めです。
各々、用意してきた長靴を履き、慎重に川を越えていきます。 川を越えたら、いよいよオブ山の登り口。
急な取っ付きから山道に入り標高約400mをつづら折りに登っていきます。
途中、幾度となく現れる急登や、落葉に覆われた木の根で滑りやすい箇所もあるため、無理せず慎重に歩みを進めます。
登ることおよそ30分、目の前に大きな杉の木が現れました。
オブ山の大杉です。
ほとんどの参加者は大杉とは初対面だそうで、大杉の全容を頑張って写真に収めようとする方もいれば、近づいて上を見上げ、その大きさに思わず「いやぁ~、すごいなや~!」と嘆息を漏らす方もいました。
ちなみに、オブ山の大杉周辺は、つい先日まで倒木や背の高い雑草に覆われていましたが、この日のためにと、いつもオブ山周辺を整備してくれている門脇茂雄さんがあらかじめ刈払い作業をしてくれていました。
私も幾度かここを訪れていますが、下草が刈られ、根元部分からあらわになったオブ山の大杉を見るのは初めてで、どことなく新鮮な心地で見入っていました。
大きさを充分に味わった後は、参加した全員で、大杉の前に簡単な柵を設置する作業を行いました。
もともとオブ山の大杉の周りには、人が踏み入ることでその根を傷めないように木柵が設置されていましたが、現在は降雨や積雪の影響で倒壊し、柵の機能がなくなっている状態です。
大杉の前で一人一本ずつ杭を支え、等間隔になるよう打ち込んでいきます。打ち込み作業が終わったら、あらかじめ杭に開けておいた穴にロープを通して・・・
あっという間に可愛らしくも立派な柵が完成しました。
柵を設置したことで、オブ山の大杉の神々しさが倍増したような気がします。
完成した柵の前で、オブ山の大杉と記念撮影をしました。
その後は、元来た道を戻って下山します。
途中、ときおりオブ山の木々の合間から紅葉に染まりつつある川口渓谷の風景を垣間見ながらの下山となりました。
川口渓谷遊歩道のゲート前に戻ってきたのは10時30分頃。
スタートから2時間半ほどで往復することができました。
トレッキングを終えてみて、参加者の見澤さん(美郷町)からは
「前から見てみたいと思っていたので、今回参加できたのは良い機会だった。1000年以上生き続けているこの巨木は、我々にとって貴重な存在。これからも一目見ようとオブ山の大杉を訪れる人は多いはず。でもやはりその分、根を踏まれたりして木が消耗してしまってはいけない。オブ山の大杉を守っていくために、柵を設置する作業に協力させてもらったことは良い思い出になった」と感想をいただきました。
オブ山の大杉は、その存在感・生命力から見る者に感動を与えるだけでなく、自然を守ることの大切さをここで静かに訴えているようにも感じます。
柵の設置について、当日の急なお願いだったのにもかかわらず、快く引き受けてくださった皆さん、ありがとうございました。
秋深く、紅葉に染まる川口渓谷。オブ山の大杉は、この写真では、山の稜線のちょうど真ん中あたりに写る三角形です。遠くからでも存在を確認できます。
秋の川口渓谷遊歩道では、渓谷が織りなす色鮮やかな紅葉と美しい滝との共演を望みながら、遊歩道散策を楽しむことができます。散策のついでに、オブ山の大杉にも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
真昼岳紅葉観賞クリーンアップ登山
10月14日(日)、真木真昼県立自然公園を美しくする会が主催する「真昼岳紅葉観賞クリーンアップ登山」が実施され、秋晴れの空のもと、参加した約30名が爽快な登山を楽しみました。
真木真昼県立自然公園を美しくする会は、真木真昼県立自然公園の美しい自然を後世に残していくために、自然公園管理員による巡視活動や登山道の刈払い作業のほか、クリーンアップ登山や各種事業によって自然保護思想の普及・啓蒙活動を行っています。
この紅葉観賞クリーンアップ登山は、平成26年度までは大仙市と美郷町の各圏内で持ち回り交互に実施していましたが、美郷町では近年多発している熊による人身被害の危険性から一時自粛していたため、真昼岳での開催は4年ぶりのこととなりました。
真昼岳では、今年7月に善知鳥口と赤倉登山道とを結ぶ新たな登山ルートが開通したばかりです。この新道開通にあたり、美郷町山岳会の皆さんがボランティアで刈払いや登坂補助ロープの設置などを行い、登山者が利用しやすいようコースの整備を実施しました。
今回の登山では、この新道のPRも兼ねて、赤倉登山口からやせづるルート経由で山頂へ登り、下山時はこの新道を通って善知鳥登山口へ下山するルートが設定されました。
当日は同会の事務局として、美郷町商工観光交流課職員に加え、大仙市太田支所市民サービス課職員もスタッフとして随行してきましたので、その様子をご紹介したいと思います。
午前6時50分、美郷町役場(千畑庁舎)前に集合し、出発式を行いました。この日、登山ガイドを務めてくれるのは、美郷町山岳会の皆さんと、秋田県自然公園管理員の倉田陽一さん。
赤倉登山口の鳥居前で十分な準備体操をした後、いよいよ登山開始。
クリーンアップ登山ということで、各々ゴミ袋を携帯し、清掃活動をしながら進んでいきますが、ほとんどゴミらしきものは見当たりませんでした。
これも登山に訪れる方々のマナーの良さ、そして自然公園管理員の皆さんによる巡視活動のお蔭と、ありがたい気持ちで足を進めます。
しばらく沢目を進むと、陽光が差し込む美しいブナ・白樺の森林帯に到達しました。
始めは肌寒かった秋山の空気も、登り始めて暑くなった体には心地よく感じます。ここを抜けるといよいよ視界が開け、このまま稜線伝いに頂上を目指していきます。
周辺の山麓を見渡すと、上の方では部分的に紅葉が始まっている様子が伺えました。間もなく山頂・・・のように見えますが、本当の頂はその一つ奥。
もうひと踏ん張りです。
そして、やっと山頂(1,059m)に到着!
登山口からおよそ5km、およそ3時間半の道のりでした。
好天に恵まれ、眺望も最高です。
参加者全員で集合写真を撮影しました。
30分ほど昼食休憩の時間をとった後、下山開始です。
来た道を少し戻り、新しくできた新道への分岐を進みます。
まだ整備されたばかりの新道の土はふかふかと柔らかく、下りの膝にはありがたい感触です。途中、面白い形の木に出会いました。
アシウスギ(芦生杉)と呼ばれる杉の木で、雪の重みで湾曲し地についた枝から根が出てもう一本の新しい幹となって成長しています。地上ではなかなか見ることのできない、このような木々と出会えるのも山の魅力の一つです。
新道の後半では、急な下り坂が続きます。
張ってある補助ロープを頼りにしながら、一人ずつ慎重に下ります。
下山開始からおよそ3時間。
全員が無事に新道を下り終え、善知鳥登山口に到着しました。
善知鳥口で待機していたバスに乗り、美郷町役場(千畑庁舎)前へ移動し解散となりました。
クリーンアップをしながら、少し早めの紅葉を探しに行った今回の登山。
参加いただいた皆様にとって、普段の登山とは違い、共に登ったメンバーと達成感を共有しながら、この美しい自然を守ることの大切さを実感できた貴重な時間となったことと思います。
真木真昼県立自然公園では、今まさに紅葉が見ごろを迎えています。
真昼岳をはじめ、大仙市太田地域の川口渓谷や真木渓谷など、まだまだおすすめのスポットがたくさんありますので、是非足をお運びいただき、真木真昼県立公園内の美しい自然に秋を感じてみてはいかがでしょうか。
戊辰戦争と太田
今年は戊辰戦争から150年、そして明治元年から150年です。
太田地域の戊辰戦争にまつわる逸話を3つ紹介します。
その1「国見が原の戦い」
1868年(慶應4)1月3日に京都の鳥羽、伏見において始まった戊辰戦争は、やがて東北にも波及し、旧暦7月(現在の8月中旬)には秋田藩もこの戦火に巻き込まれ、秋田藩の3分の2が戦場となりました。
大仙市でも旧暦8月13日から9月18日(現在の9月28日から11月2日)までの1か月余りにわたり、角間川、花館、南楢岡、刈和野、峰吉川、福部羅、小種、境、国見地区で大激戦となりました。
岩瀬河原戦、生保内口戦と並んで「角館三大戦」の一つ「国見が原の戦い」として語り継がれる激しい戦闘が、太田地域の国見地区でありました。
この時戦死した角館軍監の竹村庫之丞(くらのじょう)の死を悼む供養碑が、県道角館六郷線沿いの桜バス停付近にあります。
庫之丞は角館生まれの秋田藩士であり、角館軍の偵察役として戊辰戦争に参加。戦中、味方に危急を知らせようと国見を走っていた途中、敵兵に取り囲まれて腹部を撃たれ、37才の若さで命を落としました。深い傷を負いながらも敵兵に大刀を振るい、勇ましい最期を遂げたことが語り伝えられています。庫之丞の武功を嘆賞した村人が戦死した地に桜を植え、その武勇を後世に伝えようと供養碑を建てたそうです。
この地は現在「戊辰戦争の史跡(竹村庫之丞戦死の地)」として大仙市指定文化財となっています。
庫之丞の命日は旧暦8月23日、現在の10月8日にあたります。
供養碑には、今も地域の人たちによって花が途切れることなく手向けられています。
その2 「横沢村初代村長・倉田亦五郎」
のちに横沢村初代村長となった倉田亦五郎(またごろう)は戊辰戦争のとき17才。
太田町百年誌には「亦五郎は敵軍に内通したという誤解を受けたが、間違いであったことがわかり一命を救われた。戦禍を逃れるために東山に隠れ、40日間食事に事欠く生活をし、疲労困憊の末帰宅したが、一時『賊軍』とみなされたことから六尺桶数本の酒は飲み尽くされ、全く目もあてられぬ状態であったために、家運の再建には一方ならぬ苦心をしたという」とあります。
この写真は、戊辰戦争から50数年後の大正10年ごろの亦五郎家族です。前列中央にどっしりと構えているのが亦五郎、亦五郎の後に立っているのが養子の政嗣です。
倉田家は豪農で造り酒屋を営み、屋敷は3反歩(約3,000㎡)もあり、広々とした庭に囲まれた立派で大きな家だったそうで、この写真からも裕福な倉田家をかい間見ることができますが、戊辰戦争の大きな被害を受けていました。
その3 「秋田県民歌3番の歌詞」
「秀麗無比なる鳥海山よ~」で始まる秋田県民歌は、亦五郎の養子の倉田政嗣の作詞によるもの。今年は昭和5年10月30日の県民歌制定から88年となります。
戦前戦中の学校では、校歌とともに行事のたびに歌われていた県民歌は、軍国主義をあおる内容が含まれているとみなされ、終戦後、いつしか教育の場から消し去られました。
歌詞3番に「錦旗(きんき)を護(まも)りし戊辰の栄(は)えは 矢留の城頭 花とぞ薫る」とあり、戊辰戦争の際、明治新政府側に秋田藩が錦の御旗(みはた・官軍の旗)を掲げて戦ったことは栄えあることだと表しています。戊辰戦争のとき、秋田県内すべての地域が新政府側(官軍)だったわけではなく、一部の地域は旧幕府側(賊軍)でした。
こうしたこともあり、教育の場や公式の場では歌われなくなりました。
戊辰戦争から100年後の昭和43年、明治100年を記念して作られた「大いなる秋田」の第3楽章「躍進」に秋田県民歌が組み入れられました。「大いなる秋田」初演当時は、軍国主義の復活との批判をおそれ、歌のない演奏のみだったそうですが、やがて演奏とともに県民歌が「大いなる秋田」の中で歌われるようになりました。
戦前世代の県民歌復活の願いと、県民歌は戦争とは関係ない名歌であることが奇跡の復活につながったのです。
ちょうど150年前、そしてちょうど今の時期(旧暦の8月から9月)、戊辰戦争で東北の村々が戦場となっていました。
この「ちょうど」の節目にあたるこの時だからこそ、私たちの地域がこれまでどんな歴史をたどってきたのか、想いを馳せることもよいのでは。
秋の夜長に、町史や百年誌をひもといてみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
オリンピックメダリスト・ワイナイナさんが太田にやって来た
10月6日(土曜日)太田地域で奥羽太田ロードレース大会が、奥羽山荘駐車場を発着とする日本陸上競技連盟公認の特設コースで、市内外から約150人の選手が参加し開催されました。
今回は第20回の記念大会で、ケニア出身のエリック・ワイナイナさんをゲストランナーに迎えました。
ワイナイナさんはオリンピック3大会連続出場されたマラソンランナーです。アトランタオリンピック(1996年)銅メダル、シドニーオリンピック(2000年)銀メダルと2大会連続の偉業を達成、アテネオリンピック(2004年)でも7位入賞を果たしています。マラソンの自己最高記録は2時間8分43秒。
好物はどんぶり物というくらい日本の生活に溶け込み、子どもたちと一緒に写真撮影に応ずるなど、気さくで笑顔がはじける心優しいランナーでした。
レース前には準備体操や、足のけり、腕の振りなど早く走るコツなどを選手に伝授。
その後、子どもたちと一緒に走ってくれました。

秋晴れのこの日は、ぐんぐん気温があがり、5キロ、10キロがスタートするころは30度を超える夏のような暑さになりましたが、日本陸連公認コースを走る選手は、順位に加えて自己タイムを更新するとばかりに一生懸命走っていました。
レース終了後は、FMはなびのエグゼティブプロデューサーの福原尚虎さんが司会し、 ワイナイナさんのトークショーが開かれました。
ワイナイナさんは「子ども時代はサッカーに夢中になり、走ることにはあまり興味がなかったが、走りが早いことを見ていた先生に進められて6キロのロードレースに初めて出場したら、いきなり優勝し、自分は早いんだということがわかった。子ども時代を過ごした地域は電気も水道もなく、片道5キロを走って井戸へ水を汲みに行き、10リットルのバケツの水を両手に持ち帰った。勉強は好きで、でも電気が無かったので夜勉強することができないために、学校で一生懸命勉強した」ことなどが話されました。
ワイナイナさんは、ときどき正月恒例の箱根駅伝でおなじみの日本の大学の留学生に間違われるそうですが、高校卒業後の1993年、19才のときに一人で日本に来てコニカミノルタ陸上競技部に所属し、翌年の北海道マラソンでいきなり初マラソン初優勝を飾り、その後も東京国際マラソン、長野マラソンなどさまざまなマラソン大会で優勝し、オリンピック2大会連続メダリストとなり、現在も100キロマラソン大会などに選手として出場しているそうです。日本に来て最初に指導を受けた監督は、秋田県出身の方だったそうです。
赤道直下のケニア共和国は、とても暑い国だろうと思っていたら、ワイナイナさんが育った地域は標高2,400メートルを超える高地で、真夏でも気温は28度程度と涼しく、また高地のために気圧が低く、現在は世界各国のマラソン選手などが高地トレーニングに訪れるそうです。
生まれながらの環境と井戸へ水を汲みに行った子ども時代の経験、そしてワイナイナさんが好きな言葉である「Never give up(決してあきらめない)」という強い気持ちが、ワイナイナさんをマラソンランナーとして強くしたようです。
「食べ物はどんなことに気をつけていますか」という中学生の質問に「選手はドーピング検査があるために、風邪をひいても薬を飲んだり、また簡単に湿布を貼ったり薬を塗ったりできない。目薬でもドーピングにひっかかるため、常に体調を維持し、ケガをしない丈夫な体を作るためには、食事が非常に重要。好き嫌いなくどんな物も食べています」との答え。また「好きなくだものは何ですか」という質問には「バナナです。バナナは栄養が豊富で、レースの前には必ず食べます」とのこと。
日本に来たときは、全く日本語を話せなかったそうですが、独学で日本語を学び、いまは流暢に日本語を話します。東京での生活が25年となり、日本が第二の故郷となったそうです。
「子どもたちにメッセージを」というお願いに「やればできる。やらなければ何にもできない。ネバーギブアップ、決してあきらめないという気持ちで、いろんなことに挑戦して欲しい」と話してくれました。
収穫!ありさこまち
6月のブログで太田の農業女子として紹介した小松有沙(ありさ)さんの稲刈り作業にお邪魔してきました。
6月太田の農業女子☆ありさの記事はこちらから
18町歩の作付をしている有沙さんの稲刈りは1か月以上続きます。18町歩という広大な作付面積ですから、刈取りに時間がかかるうえに、刈取り後の籾の乾燥も自宅の乾燥機2台をフル活動させて行うため、刈取り量と乾燥量とを調整する必要があり、作業日程の調整も必要です。さらにお天気との調整もあるので、長丁場は避けられません。農業は、体力と忍耐のいるお仕事だとつくづく感じます。
10月10日、今にも雨が落ちてきそうな天気でしたが、「春作業の取材時と同じところを刈るよ~」という連絡があり、秋作業もパチリしたい!と意気込んでお邪魔してきました。
天気がイマイチなのが残念でしたが、曇天でも有沙さんは爽やか。稲わらのチカチカ防止のマスクがうらめしいですが・・・。
この日も、父娘がチームワークよく作業を進めていました。コンバインの操作が難しい田んぼの端の方はお父さんが刈取り、有沙さんは機械の刈り残しを鎌で刈っていきます。
その後、コンバインの操作を交替。機械を操作する時の真剣な表情としぐさは、いつもはキュートな有沙さんのかっこいい部分がでます。

黄金色の稲穂と農業女子と大台スキー場。太田のいいところが並んだショットです。
有沙さんが育て収穫した「ありさこまち」、春に商標登録の申請中とのことでしたが、まだ認定許可はおりないとのこと。残念がる私と対照的に、有沙さんは「時間かかるから、そんなもんでしょ」と冷静です。慣れた様子の有沙さんに、経験値の差を見せられた気がしました(笑)
農業という仕事には、天気を待ったり、作物の生育状況を待ったり、時には各種申請許可を待ったりと忍耐が必要なことを感じます。これも収穫の喜びを際立たせる要素になっているのかもしれません。
有沙さんによると、今年はあまり収量は多くないとのこと。そして、平野部より山際の方が収量が多かったそうです。
ほ場から刈り取られた「ありさこまち」は、これから有沙さん宅の乾燥機で乾燥調整し、籾すり作業をした後、色彩選別機でカメムシ被害米などを取り除き、品質の良い状態で計量・袋詰めをして出荷準備を整えます。「ありさこまち」は、生産者の顔が見える、安心安全そして高品質なお米と言えますね。
「ありさこまち」は、予約販売制です。太田の農業女子を応援したい方、お米にこだわりのある方は、ぜひインターネットで「ありさこまち」と検索してみてください♪
太田流おもてなし
10月8日(月)、太田秋田ライオンズクラブの皆さんが、川口渓谷遊歩道の草刈り作業を行ってくださいました。これは、ライオンズクラブの皆さんが地域に貢献するような活動をしたいということで実施されたものです。
川口渓谷はこれから紅葉の季節を迎え、たくさんの方が訪れることが期待されます。10月19日(金)には、太田支所主催の「川口渓谷紅葉トレッキング~オブ山の大杉編~」が実施されることから、遊歩道をより歩きやすく美しくしたいというおもてなしの心で、この活動を実施してくださいました。
この日活動に参加してくださったのは11人、ライオンズクラブの皆さんですから、メンバーは社長さんや税理士さん、それに信用金庫の支店長さん、郵便局の局長さんなど、普段は草刈りとは無縁そうな方々ばかり。草刈機や大きな鎌を持参し、2時間ほど汗を流しながら作業をしてくださいました。



普段の仕事とはかけ離れた作業にもかかわらず、草刈機の使い方も慣れたものです。遊歩道の路肩の雑草や、歩道にせり出した藪を、歩行に支障がないように刈り取っていきます。
太田流のおもてなしの心意気を見たような気がしました。
同行して写真を撮りながら、ライオンズクラブの皆さんの太田への愛着を強く感じました。太田地域でそれぞれの分野でリーダーとして活躍される皆さんが、「この地域のために」という共通の想いで汗を流してくださったことは、大変ありがたいことと感じました。
リーダーが率先して行動することは、その組織の活性化につながると思います。今回参加された皆さんの活動も、それぞれの職場や組織できっとよい刺激になるのではと期待しています。そして、地域全体が「この地域のために」と盛り上がっていければ、なおさらいいですね。
参加された皆さん、「おもてなし」精神あふれる活動をありがとうございました。皆さんのおかげで、ますます川口渓谷のおススメ度がアップしました。
今度はぜひ、草刈機を持たずにゆっくりと川口渓谷の散策をお楽しみくださいね♪
秋晴れの空の下 子ども達の活動を紹介します!
10月3日、台風一過の秋晴れのこの日、太田では、秋ならではの子どもたちの活動が目白押しでした。その様子をお伝えします。
まずは、「スポーツの秋」にちなんだ活動から。
太田東小学校(菅原潔校長・児童数115名)のマラソン大会にお邪魔しました。菅原校長先生は「今年度の学校行事は全て晴れ、お天気に恵まれています。今日は学校生活の『あいうえお』の中の『う』運動をします。皆さんにお願いです。『にげない』今日はこれを約束してください」と挨拶がありました。
全校児童から「はい!」という元気な返答があり、なんだかそれだけで感動の予感がします。地域の方や保護者の方も応援に駆け付けていました。
走る距離は、1・2年生は1㎞、3・4年生は1.2㎞、5・6年生は1.5㎞です。疾走順は3年生から始まり4年→1年→2年→5年→6年の順番でした。次のレースの学年はフィールド内で待機しますが、それ以外の学年はコース脇で声援をおくります。

走るのも声援をおくるのも、全力!お天気さながらスカッとするようなマラソン大会でした。特に4年生のレースでは、最終ランナーがグラウンドに戻ってくると、走り終わった同級生たちが駆け寄り伴走する姿も。
校長先生の挨拶の「にげない」ことを有言実行したランナーと、それをサポートした仲間に感動を受けました。
次に「秋のフィールドワーク」の様子をお伝えします。
太田地域の奥羽山荘や秋田奥羽グラウンド・ゴルフ場の手前にある体験施設「モリボの里」は「おでかけの秋」にぴったりの場所です。ふれあい動物舎やビオトープ、散策路などがあり、園児の遠足や小学生のフィールドワークに人気のスポットです。
お天気に恵まれたこの日は、四ツ屋保育園の年長さん・年中さん・年少さん、中仙小学校1年生の皆さんが訪れていました。モリボの里の管理人さんは「春もたくさんの人が来てくれたけど、これからが一番いい季節。木の実などもたくさんあり、散策もめいっぱい楽しめる。ここには、市内の西部南外からだって来てくれる。動物園よりも近い位置で牛や馬にも触れ合える。昔は家庭にいた動物でも、今の子ども達は犬や猫しか知らないから、ここで違う命を知ってもらうことは、すごく良い情操教育だと思っている」と話してくれました。拾ったドングリを見せてくれた子や、ウサギを触ったよと教えてくれた子、どの子も満足そうな笑顔、人気の理由も納得でした。


ちなみに、四ツ屋保育園の皆さんにはウサギが一番人気、中仙小学校の1年生にはクジャクが一番人気でした。