意見書(第11号~第20号)

公開日 2013年10月21日

更新日 2020年07月30日

意見書第11号 「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)締結反対の意見書」

 長引く景気の悪化による農畜産物価格や需要の低迷に加え、記録的な気象変動により稲作や野菜など多くの作目で減収や品質低下を被り、大仙市農業は厳しい経営を余儀なくされている。

 そうした中、「戸別所得補償制度」の創設は評価されるものの「価格対策」は不十分であり、秋田県でも特に米どころである大仙市では、かつてない低米価にあえいでいる。

 このような時に、国ではEPAの推進や関税撤廃を原則とするTPPへの参加・検討を打ち出しているが、日本がTPPを締結すれば、安い外国農産物の輸入が増大するおそれがあり、また、国が目標としている食料自給率50%の両立とは相容れないものであり、農業対策をいくら講じても農業生産額が大幅に減少する事態は避けられず、大仙市の農業と地域経済にとって大きな影響があると懸念される。

 以上の趣旨から、下記の事項について、地方自治法第99条に基づき意見書を提出します。

  1. 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)締結に参加しないこと。

意見書第12号 「司法修習生の給費制の存続を求める意見書」

 平成16年12月、国会において、司法修習生への給費制を廃止して、国が司法修習生に修習資金を貸与する制度(貸与制)に切り替える旨の改正裁判所法が成立した。同改正に際しては、衆参両院で附帯決議がなされ、政府及び最高裁判所は「改正」法施行に当たり、「統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう、また、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分な協議を行うこと」が明記されている。

 しかしながら、日本弁護士連合会が行った平成21年11月19日のアンケート結果によると、司法修習生の1,528名のうち、奨学金などの債務を負担する者が半数以上(約53%)おり、平均負担額は約318万円で最高負担額は1,200万円であるという実態が明らかになった。

 また、法科大学院入学のための適性試験志願者数は、平成15年度の約59,000人(延人数)から平成22年度には約16,000人(延人数)に減少し、法科大学院への社会人入学者の割合も平成16年度の約48%から平成22年度には約30%まで減少している。

 このような状況下で給費制が廃止されれば、法律家を目指す人がさらに減少し、まさに、上記附帯決議が指摘した弊害「経済的事情から法曹への道を断念する事態」が生じる可能性が大きいと言える。

 医師については平成18年以降国家試験に合格した医師には2年間の臨床研修及び研修専念義務が課される一方、研修医が研修に専念することができるよう、相応の予算措置がなされている。

 期待される役割の公共性・公益性において医師と法律家には共通点が多く、法律家は市民の「権利の守り手」ともいうべき役割を果たしている。「権利の守り手」たる法律家になるために修習専念義務を負う司法修習生についても医師と同様に、給費制を存続すべきである。

 給費制が廃止されてしまうことは、秋田県のような地方における、経済的に恵まれない家庭の子弟などが、法曹になりうる道を事実上閉ざしてしまうことになりかねない危険がある。

 以上の点から、有為で多様な人材を法律家として社会に送り出し、また、地方出身者が経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、司法修習生の給費制を存続させるための裁判所法の改正を要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

意見書第13号 「最低保障年金制度の制定を求める意見書」

 高齢化がすすむなかで、お年寄りの年金は引き下げられ、税金も年々増えるなど、安心して老後を送ることができなくなっています。無年金者や低年金者はますます増えており、生活保護受給者を含め、これらの人々に憲法で保障された最低生活を保障することは緊急の課題となっています。

 民主党政権が基本7項目を中心とした新年金制度構想を提起し、国民からの意見を求めています。しかし、現在の無年金者や低年金者は制度の埒外に置くことや、財源を消費税増税に求めるなど、多くの問題点を含んでいます。

 年金の財源は、高齢者や所得の低い人にもっとも負担が重くなる消費税に財源を求めるのでなく、無駄な公共事業費や防衛予算を削減し、大企業、大資産家からの税負担を増やしまかなうことが強く求められています。

 以上の趣旨をご理解いただき、全額国庫負担による最低保障年金制度をただちに制定するよう強く要求します。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

意見書第14号 「免税軽油制度の継続を求める意見書」

 これまで農家の経営に貢献してきた免税軽油制度が、地方税法の改正によって、このままでは2012年(平成24年)3月末で廃止される状況にあります。

 免税軽油とは、道路を走らない機械に使う軽油については軽油引取税(1リットルあたり32円10銭)を免税するという制度で、農業用の機械(耕耘機、トラクター、コンバイン、栽培管理用機械、畜産用機械など)や船舶、倉庫で使うフォークリフト、重機など、道路を使用しない機械燃料の軽油は、申請すれば免税が認められてきました。

 免税軽油制度がなくなれば、いまでさえ困難な農業経営への負担は避けられず、軽油を大量に使う畜産農家や野菜・園芸農家をはじめ、農業経営への影響は深刻です。制度の継続は、地域農業の振興と食料自給率を向上させる観点からも有効であり、その継続が強く望まれています。

 以上の趣旨から下記の事項について、地方自治法第99条に基づき意見書を提出します。

  1. 免税軽油の制度を継続していただくこと。

意見書第15号 「米価の大暴落に歯止めをかけるための意見書」

 昨年、わずかな米の過剰ではじまった需給のゆるみが、政府が適切な対策をとらなかったために雪だるま式に広がり、米価は9カ月連続で下落し、ついに6月の相対取引価格は史上最低まで落ち込んでいます。

 この間、政府の需要予測の狂いもあり6月末在庫は316万トンにもふくれ上がる一方、豊作が予想される今年の作柄とも相まって、「米過剰」は一層、深刻化しようとしています。

 超早場米の出荷がはじまりましたが、宮崎県のコシヒカリの生産者概算金は前年より2,000円も低い10,000円となり、それに続く早場米地帯の概算金も千葉県、大分県などで10,000円と報じられるなど、深刻な事態になっています。

 市中相場は新米で12,500円程度といわれ、売れ残っている09年産米は、さらにそれ以下の価格にならざるを得ません。現状を放置すれば、米の需給の混乱も米価の下落もかつて経験したことのない異常事態になることは必至と思われます。

 この数年来、生産費を大幅に下回る米価が続いている中で、生産者の努力は限界を超えており、さらなる米価の下落は、日本農業の大黒柱である稲作の存続を危うくするものです。それはまた、国民への主食の安定供給を困難にし、政府が進めている米戸別所得補償モデル事業さえも台なしにするものと考えます。

 私たちは、米の需給を引き締めて価格を安定・回復させるためには、政府が年産にかかわらず、過剰米を40万トン程度、緊急に買い入れることが最も効果的であると考えます。

 以上の趣旨から下記の事項について、地方自治法第99条に基づき意見書を提出します。

  1. 年産にかかわらず40万トン程度の買い入れを緊急に行うこと。
  2. 米価の下落対策を直ちに講ずること。

意見書第16号 「雇用と生活をまもる施策強化を求める意見書」

 労働者・国民の雇用悪化が社会問題となっています。いわゆる「派遣切り」や、有期雇用労働者の雇いどめ、違法な解雇が相次ぎ雇用不安は増大しています。派遣・請負、パート・臨時などの雇用が拡大し、「働いても、働いても生活がなお苦しい」ワーキング・プアの解消も進んでいません。

 労働者の雇用問題では、昨年・一昨年に行われた「年越し派遣村」に象徴されるように、派遣切り、雇用破壊がいっそう深刻化しており、それにストップをかけることが緊急課題となっています。また、いわゆる「派遣切り」や違法な「解雇」を止めさせるため、法的整備を進めるとともに、労働基準行政を強化することが求められます。

 長引く不況の影響を受け、売り上げの減少や下請け単価の切り下げなどによって、中小零細企業の経営や経営者の生活はきわめて厳しい状況となっています。新規採用はおろか、雇用の維持が困難になっているところも少なくありません。地域最低賃金が改定されましたが、この制度をしっかりと守っていくためにも、中小零細企業への支援策を早急に具体化することが大切です。

 以上、労働者の雇用と生活を守る施策の強化を求め、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

意見書第17号 「大幅増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護を求める意見書」

 長寿世界一を誇る日本の医療は、長年にわたる社会保障費抑制政策の下でも、医師、看護師などの懸命な努力で支えられてきました。

 しかし、医療現場は、長時間・過密労働に加え、医療技術の進歩や医療安全への期待の高まりなどで、看護職員などの労働環境は厳しさを増し、離職者も多く深刻な人手不足になっています。医療現場の実態はかつてなく過酷になっており、全国各地で医師や看護師等の不足が深刻化しています。

 看護師など夜勤交替制労働者の労働条件を抜本的に改善し、人手を大幅に増やして、安全・安心の医療・介護を実現することが大切になっています。医療・社会保障予算を先進国並みに増やし、国民が安心して暮らしていける制度が求められています。

 看護師等の大幅増員を実現し、安全でゆきとどいた医療・看護・介護の拡充を図るための対策を講じられるよう、下記の事項について要望します。

    1. ILO看護職員条約に基づき、看護師など夜勤交替制労働者の労働時間を1日8時間、週32時間以内、勤務間隔を12時間以上とすること。
    2. 医療、社会保障予算を先進国(OECD)並みに増やし、医師・看護師・介護職員等を大幅に増やすこと。
    3. 国民(患者・利用者)の負担を減らし、安全・安心の医療・介護を実現すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

意見書第18号 「最低賃金の大幅引き上げと中小企業支援の拡充を求める意見書

 働いても貧困から抜け出せない「ワーキング・プア(働く貧困層)」の増加が社会問題となっています。年収200万円以下の労働者は2009年には1,099万人と、5年前よりも120万人も増えています(国税庁調査・民間)。自営業者でも14%にあたる172万世帯が貧困生活を送っているとの推計もあります。生活保護受給世帯は130万を超え、貧困は歯止めのない広がりを見せています。そのことが、内需を冷え込ませ、地域の商店街の衰退や中小企業の経営難を招き、失業を増やし、少子化を進め、社会の根幹を揺るがせています。

 貧困と不況から決別するには、賃金の底上げ政策が不可欠です。最低賃金の大幅引き上げは、消費購買力を向上させ、暮らしの改善と地域経済の活性化をもたらします。このことは労使双方に認識され、2010年夏には政府の立会いのもと、労働者代表委員と財界代表が、最低賃金の大幅引き上げに合意しています。全国の最低賃金を早急に時間額800円以上とし、さらに1,000円への到達を目指すという内容です。日本以外の先進諸国では最低賃金に地域格差をつけず、全国一律で1,000円以上の水準に設定することが一般的で、そのことが不況の中での消費の急減を止めています。日本の最低賃金もそうした制度へと発展させることが望まれます。

 同時に、最低賃金の引き上げには経済効果が上がるまでのコスト負担が、中小企業に及ぼす影響について十分に配慮することが必要です。政府は、中小企業予算の増加と支援策の拡充、公正取引確立に向けた中小下請け企業関連の法改正や、運用改善を大胆に進めるべきです。これらのことは与野党問わず公約に掲げられ、「ワーキング・プアは放置できない」と明言し、さらには中小企業対策の重要性が指摘されています。

 以上をふまえ、下記事項につきまして、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

      1. 地域最低賃金を大幅に引き上げること。
      2. 全国一律最低賃金制度確立に向け、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
      3. 最低賃金の引き上げが進むよう、中小零細企業予算を増やし、経営支援策を拡充するとともに中小零細業者の生活支援策を十分に講じること。

意見書第19号 「後期高齢者医療制度の廃止に関する意見書」

 厚生労働省は高齢者医療制度の改革について「中間とりまとめ」を発表しました。会社などで働く高齢者や、会社員などの扶養家族になっているものを除いて、高齢者は基本的に国民健康保険に加入することになり、保険料は世帯主が払うというものです。

 しかし、65歳以上(または75歳以上)の高齢者の医療費は現在の後期高齢者医療制度と同じように「別勘定」とし、都道府県単位で財政運営するとしています。しかも医療給付費の1割負担を高齢者自身の保険料でまかなうとしていますから、高齢者の医療費の増加によって際限なく保険料が上がるしくみが残ることとなり、医療費の抑制を迫るものになっています。

  1.  現に崩壊の危機にある医療と国保制度の解決の見通しがなんら示されず、高齢者の差別を複雑な形で温存する意図が見え隠れするこの「中間とりまとめ」は、国民に医療の安心を保障するものとなっていません。マスコミもいっせいに「拙速」としてこの医療制度改定案を批判しています。

 大仙市議会は、下記により後期高齢者医療制度をすみやかに廃止し、将来の医療制度の設計については、十分国民の意見を聞き、ていねいな議論をすすめることを求めます。

  1. 後期高齢者医療制度はすみやかに廃止し、もとの老人保健制度に戻すこと。
  2. 保険料の負担増が生じないよう、国民健康保険への国庫負担金を増やすことなど必要な財政措置を講ずること。
  3. 70歳から74歳の高齢者の医療費窓口負担を原則1割にすること。
  4. 国庫負担を増やし、75歳以上高齢者の医療負担の医療費窓口負担をなくすこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

意見書第20号 「地方消費者行政充実のための国による支援に関する意見書」

 現在、国による地方消費者行政の充実策が検討されているが、他方で地域主権改革の議論が進む中で、地方消費者行政に対する国の役割・責任が不明確となることが懸念される。

 もとより地方自治体が独自の工夫・努力によって消費者行政を充実させることは当然であるが、これまで消費者行政を推進する中央官庁が存在しなかったこともあり、消費者行政に対する地方自治体の意識や体制はあまりにも格差がある。加えて、地方自治体が担っている消費者行政の業務の中には、相談情報を国に集約するパイオ・ネットシステムヘの入力作業や、違法業者に対する行政処分等、国全体の利益のために行っているものも少なからず存在する。現在、国からの支援として、地方消費者行政活性化交付金、住民生活に光を注ぐ交付金が存在するが、いずれも期間限定の支援に留まっており、相談員や正規職員の増員による人的体制強化等継続的な経費への活用には自ずと限界がある。

 したがって、国は地方消費者行政充実のために継続的かつ実効的な財政支援を行うべきである。

 あわせて、国は、小規模な市町村がよりスムーズに消費者行政の強化を行うことができるよう、都道府県と市町村とが広域的に連携する取り組み例を推進するなど、地方自治体にとって取り組みやすい制度設計を具体的に示すべきである。

 さらに、消費生活相談窓口を現場で担っている消費生活相談員の地位・待遇も、期限付きの非常勤職員の扱いが大半でありその地位の安定と専門性の向上を図ることが困難な状況にある。その待遇も、消費生活相談業務の専門性に見合ったものとは言い難い現状にある。住民が安心して相談できる消費生活相談窓口を実現するためには、消費生活相談員の専門性の向上とともに、その地位の安定、待遇の改善に向けた制度の整備も重要である。

 よって、下記事項を要請し、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

1.〔実効的な財政措置〕

 国は、地方自治体の消費者行政の充実に確実につながるよう、地方消費者行政活性化基金等の延長も視野に入れつつ、一定の幅を持たせながらも使途を消費者行政と明示した継続的かつ実効的な財政支援を行うこと。

2.〔地方自治体にとって利用しやすい制度枠組みの提示〕

 すべての地方自治体が身近で専門性の高い消費生活相談窓口を消費者に提供するという観点から、国は、あるべき相談窓口の姿について一定の目安を提示するとともに、これを単独で実現することが困難な小規模自治体も多数存在することから、都道府県と市町村とが広域的に連携して相談窓口を設置する方策など、地方自治体にとって利用しやすい制度枠組みを提示すること。

3.〔消費生活相談員の地位・待遇の向上を可能とすることができる任用制度の創設〕

 消費者が安心して相談できる消費生活相談窓口の充実・強化を図るため、相談を担う専門家である消費生活相談員を含め、常勤はもちろん非常勤の立場であっても、専門性に見合った待遇のもとで安定して勤務できる専門職任用制度の整備を行うこと。

お問い合わせ

議会事務局
住所:秋田県大仙市大曲花園町1-1
TEL:0187-63-1111
FAX:0187-63-1119
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