取材日記① ~株式会社今野商店さん編~

公開日 2020年12月01日

更新日 2020年12月01日

日本酒を作るためには、米のデンプンやブドウ糖を分解する麹菌や酵母菌が欠かせません。これらの微生物を生産する企業が大仙市にあることを知っていますか?

 西仙北地域にある「(株)秋田今野商店」は「総合微生物スターターメーカー」として発酵に必要な麹菌・酵母菌だけではなく、その他の微生物も広く取り扱っています。今回は生産・技術部長の佐藤勉さんにお話を聞きました。

 

今野商店さん1

発酵に必要な「こうじ」のもとを作る会社 

 

 突然ですが、「もやし」と聞くと何を想像しますか。多くの人は野菜を想像すると思いますが、私たちのように微生物を扱う仕事に携わる人たちの中では、麹菌を作るために必要な「種たねこうじ麹」を指します。

 秋田今野商店ではこの種麹を製造しており、全国の酒造会社やみそなどの製造会社で麹菌を作るために使用されています。実は種麹を製造する会社は全国でも10社しかなく、その中でもお酒・みそ・しょうゆなど全ての発酵食品に使用できるものを製造している会社は4社しかありません。

 

今野商店さん2

秋田県と「発酵」の深い関わり 

 米どころである秋田県では米が毎年多く獲れることから、主食として食べるだけでなく加工用としても利用されてきました。白米に麹菌を繁殖させて米麹を作り、その米麹を使ってみそやしょうえゆ、漬物、日本酒、甘酒などの発酵食品が作られました。これらは現在でも私たちになじみの深いものではないでしょうか。国内有数の穀倉地帯・仙北平野がある県南地域は、特に発酵文化が発展していると考えます。県南地域に醸造元が多いのも、米の生産量の多さが関係していると思います。

 

日本酒作りの奥深さ 

 発酵食品の中でも特に日本酒は、作り手の高度な知識や感覚が発揮されているといえます。

 同じ品種の米でも、毎年気候が違うと、硬さなどに違いが生じます。毎年違う原料を使って同じ味の日本酒を作るには、蔵人が作り方を変えるしかありません。米の特徴を捉えたり、特徴をもとに作り方を変えられる蔵人の感覚は、まさに匠といえるでしょう。このような職人が多くいることは、秋田の強みになるのではないかと思っています。

 

 

今野商店さん3取材を終えて

 お話をいただいた佐藤部長からは、会社や製品にとても誇りを持っている印象を受け、秋田だけではなく日本の発酵文化を支えてきた企業としての責任感や影響力を感じました。

 長年培ってきた技術力と、日本だけでなく海外への広いシェアを持っている素晴らしい会社が大仙市にあることをもっと多くの人に知ってほしいと思います。来月号では、酒蔵への取材の様子を紹介します。

 

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