○大仙市議会基本条例
平成23年9月20日
条例第49号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)
第3章 市民と議会との関係(第5条―第7条)
第4章 市長等と議会との関係(第8条―第10条)
第5章 議会運営の原則(第11条―第13条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第14条―第18条)
第7章 議員の政治倫理、身分・待遇(第19条―第21条)
第8章 議会改革(第22条)
第9章 最高規範性及び見直し手続(第23条・第24条)
附則
(前文)
日本国憲法において、「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と定められ、市長と議会は市民の直接選挙により選ばれ、ともに市民を代表する二元代表制となっている。これに基づき、市長を執行機関、議会を議決機関として独立、対等の機関とし、また議会には、政策決定と執行機関に対する監視・評価の機能を果たす使命が課せられている。
地方自治の本旨は、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本とし、国と地方公共団体が分担すべき役割の明確化と、地方公共団体の自主性と自立性を高めることが基本理念となっている。これにより地方公共団体は、自らの判断と責任において行政を運営し、議会には、市民を代表しての自己決定とそれによる自己責任が求められ、議決機関として将来にわたる責務を果たさなければならない。
大仙市議会は、このような使命と責務を重く受け止め、議会は主権者である市民の代表機関であることを常に自覚し、市民との協調と協働のもと、自立する地方公共団体の確立に向け、議員間の自由かっ達な討議を重んじ、不断の議会改革に努めることを決意し、議会の最高規範として議会基本条例をここに制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市政の情報公開と市民参加を基本とした、これからの自主自立する地方自治体にふさわしい、市民に身近な議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本事項を定めることにより、市民が安心して生活できる豊かな大仙市のまちづくりを実現することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、市民を代表する議決機関として、次に掲げる原則に基づいて活動しなければならない。
(1) 政策決定及び市長その他の執行機関の事務について、監視及び評価機能を果たすこと。
(2) 提出された議案の審議又は審査を行うほか、独自の政策立案及び政策提言を行うこと。
(3) 市民の多様な意見、要望等を的確に把握し、市政及び議会活動に反映させること。
(4) 市民への説明責任を果たすこと。
(5) 議会内での申し合わせ事項は、不断に見直しを行うこと。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会を構成する一員として、次に掲げる原則に基づいて活動しなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員相互間の自由な討議を重んじること。
(2) 市政全般についての課題及び市民の意見、要望等を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんに努め、市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 積極的に政策立案、政策提言等を行うため、調査及び研究に努めること。
(4) 個別的又は地域的な事案の解決だけでなく、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(5) 議会活動について、市民に対して説明責任を果たすこと。
(会派)
第4条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策を中心とした同一理念を共有する議員で構成し、活動する。
3 前2項に定めるもののほか、会派に関し必要な事項は、別に定める。
第3章 市民と議会との関係
(市民参加及び市民との連携)
第5条 議会は、議会活動に関する情報公開を徹底する。
2 議会は、本会議のほか、議会におけるすべての会議を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を市民からの政策提言と位置づけ、その審議において、必要に応じて提案者の意見を聴く機会を設けることができる。
5 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
(情報公開及び議会広報の充実)
第6条 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、その有する情報を常時公開し、多くの市民が議会と市政に関心を持ち、理解が得られるような議会広報活動に努めるものとする。
2 議会は、本会議又は委員会終了後、速やかに議事録を作成し、公開するよう努めるものとする。
(市政懇談会)
第7条 議会は、市政の課題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する市政懇談会を年1回以上行うものとする。
2 市政懇談会に関し必要な事項は、別に定める。
第4章 市長等と議会との関係
(市長等との関係)
第8条 議会は、市長その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」という。)との関係について、次に掲げるところにより、常に適切な緊張感のある対等な関係を保持し、事務執行の監視及び評価に努めるものとする。
(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うものとする。
(2) 議長から本会議又は委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員に対して質問趣旨の確認等のための発言をすることができる。
(3) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、議長は市長等に文書により回答を求めるものとする。
(4) 前号の文書による質問及び回答は、原則として公開するものとする。
(市長による政策等の形成過程の説明)
第9条 議会は、市長が提案する重要な政策について、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 市民参画の実施の有無とその内容
(4) 総合計画との整合性
(5) 財源措置
(6) 将来にわたるコスト計算
2 議会は、前項の政策の提案を審議するに当たっては、立案、執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
3 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
4 議会は、当初予算について、予算編成の方針及び内容等について市長等から説明を受けるため、当初予算説明会を開催するものとする。
(計画等の議決事項)
第10条 法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、次の各号に掲げるとおりとし、市政全般にわたり重要な計画等について、議会と市長等執行機関が共に市民に対する責任を担いながら、計画的かつ市民の視点に立った透明性の高い市政の運営に資するものとする。
(1) 基本構想及びこれに基づく基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、市行政の各分野における、政策及び施策の基本的な方向を定める計画、指針その他これらに類するものに関すること(以下「計画等」という。)で、次に掲げるもの
ア 人口減少、少子高齢化対策、若者定住、雇用に関する計画等
イ 財政に関する計画等
ウ 都市計画、上下水道等に関する計画等
エ 社会福祉、医療に関する計画等
オ 農林水産業、商工業その他の産業の振興に関する計画等
カ 市民生活の安全、交通、環境に関する計画等
キ 教育に関する計画等
ク 次世代育成、男女共同参画に関する計画等
(3) 市が他団体と結ぶ提携又は協定のうち、予算を伴うもの
第5章 議会運営の原則
(自由討議による合意形成)
第11条 議会は、議員による討論の場であることを十分認識し、議長は、市長等に対する会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会における議案の審議及び審査に当たり結論を出す場合にあっては、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
(議員全員協議会)
第12条 議長は、議会としての共通認識の醸成を図るため、議員全員協議会を開催することができる。
2 議員全員協議会において、政策立案、政策提案及び政策提言を推進するため、政策討論を行う場を設けることができるものとする。
(委員会の活動)
第13条 委員会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、委員会の調査研究活動を充実強化するものとする。
2 委員会での審査に当たっては、市民に対し積極的に情報公開を行うとともに、市民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
3 委員会は、市民からの要請に応じ、審査の経過の説明に努めるものとする。
4 委員会は、地域住民に関わりが深く、かつ関心の高い事案については、必要に応じて当該地域において委員会の会議を開催することができるものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第14条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、積極的に議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との研修会を開催することができるものとする。
(交流及び連携の推進)
第15条 議会は、他の地方自治体の議会と政策及び議会運営等について意見交換するため、積極的に交流及び連携を図るものとする。
(政務活動費)
第16条 政務活動費は、議員が政策立案、政策提言等を行うための調査研究その他の活動に資するために交付されるものであり、大仙市議会政務活動費の交付に関する条例(平成18年大仙市条例第38号)に定めるところにより適正に執行しなければならない。
2 政務活動費は、その透明性を確保するため、調査報告書及びその使途等を公開しなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第17条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化に努めるものとする。
2 議長は、前項の充実強化のため、専門的な知識経験を有する職員の配置に努めるとともに、職員の専門的能力の養成を行うものとする。
(議会図書室)
第18条 議会は、議会及び議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理、身分・待遇
(議員の政治倫理)
第19条 議員は、大仙市議会議員政治倫理条例(平成23年大仙市条例第43号)を規範とし、これを遵守しなければならない。
(議員定数)
第20条 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を参考に検討するものとする。
2 議員定数は、人口、面積、財政力及び事業課題等を比較検討し、決定するものとする。
3 議会は、議員定数の改正についての検討を一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに行うものとする。
4 議員定数の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、委員会又は議員が提出するものとする。
(議員報酬)
第21条 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題及びその必要性、算定の基準、類似自治体の状況等を十分に考慮するとともに、市民の意見を参考に検討するものとする。
2 議会は、議員報酬の改正についての検討を一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに行うものとする。
3 議員報酬の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、委員会又は議員が提出するものとする。
第8章 議会改革
(議会改革)
第22条 議会は、市民の意見を市政に的確に反映させるため、議会改革に積極的かつ継続的に取り組むものとする。
2 議会は、前項の議会改革に取り組むため、議員で構成する議会改革推進会議を設置するものとする。
3 前項の議会改革推進会議に関することは、別に定める。
第9章 最高規範性及び見直し手続
(見直し手続)
第24条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会改革推進会議で検討するものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合は、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成23年10月1日から施行する。
附則(平成24年12月21日条例第50号)抄
(施行期日)
1 この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)の施行の日から施行する。