新規就農者研修施設の秋(9月)- 大仙市農業振興情報センター
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新規就農者研修施設の秋(9月)
今年の夏の期間(6月~8月)の日本の平均気温は、速報値で昨年と並んで過去最高だったと気象庁から発表がありました。
記録的な冷夏に起因した1993(平成5)年の「平成の米騒動」、そして今年は「令和の米騒動」。米の消費増や買いだめ、昨年の記録的な夏の暑さによる高温障害で不作となったことなど複合的要因による米不足ですが、30年間の気象の変化を示す出来事でもあります。
東部研修施設の様子
西部研修施設の様子
9月4日
「リンドウ」で就農を予定している研修生3人が、岩手県花巻市の(株)T&Gバイオナーサリーを視察。岩手県はリンドウの生産量日本一で、全国の約6割を占めています。T&Gはリンドウの品種開発や苗の販売などを行っている種苗会社で、バイオによる品種開発に力を入れています。リンドウは仏花として用いられることが多いのですが、バイオによっておめでたいセレモニーや結婚披露宴等にも利用してもらえるような華やかな雰囲気のリンドウの開発に取り組んでいました。
リンドウの苗を作っているほ場は、水田跡地を活用して畦(うね)を高くし、周囲に水を回すなど、さまざまな工夫がされていました。
視察研修の様子
9月9日ほか
市の新規就農者研修は、施設やほ場、農業機械の都合もあり園芸作物と花きが主(水稲は行っていない)ですが、東部研修施設にはリンゴ、ナシ、ブドウ畑もあり、果樹栽培の研修も可能です。JA秋田おばこ管内の果樹農家は少ないのですが、最近はシャインマスカットなどの種無しブドウ系を栽培する方が少しずつ増えてきています。
今年は、ブドウで就農をめざす研修生が果樹全般について学んでいます。
9月はJA秋田おばこのシャインマスカットの目揃え会に参加し、また太田地域の農家で苗の新植の体験、そして研修施設で収穫、調整作業を行いました。
今後は、来年に向けて剪定などの作業があります。
ぶどうの定植から販売準備までの様子
9月11日
秋田市方面へ場外研修。
最初に秋田市中央卸売市場の秋田生花(株)へ。朝9時半過ぎに市場に着いた時は、花の集荷作業のピーク時でした。トラックドライバーの働き方改革の一環で、早朝に市場へ花の入荷が厳しくなったため、昨年度まで「競り」は朝8時から行われていましたが、今年度から11時開始とのこと。
秋田生花の橋本社長は、「コロナ禍で花の位置が大きく変わった。婚礼も葬儀も少人数で行われることが増えて花の需要が落ちたが、家に花を飾る巣ごもり需要が増えた。現在はコロナ前に戻りつつあるが、家に花を飾る習慣は根付いた感がある。花の需要はあるが、高齢化や後継者不足で花の生産者が減っている。秋田生花の取り扱いは、季節にもよるが年間通じると県内産の花が25%ほど。台湾等の海外産が15%程度、半分以上が愛知県や九州、沖縄等の県外産。できるだけ多くの秋田の花が欲しいので、花をつくってください」と話がありました。
11時から花の競りを視察。市場担当者と仲卸との軽快なやり取りを見ながら、花が消費者へ届くまでの過程の一部を学びました。
秋田生花の市場見学の様子
次は、ガイアガーデンへ。ここは農作物の市場出荷を行わず、年間を通じて直売所やスーパー、飲食店等への直接販売で経営を成り立たせています。需要を見極めて少量多品目を栽培し、今後は仙台圏への販売も考えているとのこと。大消費地を抱えている秋田市という地の利を最大限生かした経営戦略は参考になりました。
ガイアガーデンのほ場見学の様子
3か所目は、新規就農研修を行っている秋田市園芸振興センターへ。開設にあたって大仙市の東部新規就農者研修施設の運営や研修内容を参考にしたそうで、開設から10年ほど。
新技術を導入したトマトとキュウリ栽培が試行されており、高収益を目指した取り組みも。しかしながら施設導入の費用がかさみ、研修後、すぐに施設園芸に向かう研修生は少なく、悩みに悩んで露地野菜のネギで就農する研修生が多いとのことでした。
秋田市園芸振興センターの見学の様子
9月17日
来春就農予定の研修生は、就農準備行為として自宅のほ場で研修する自宅プロジェクトを行っています。
「いぶりがっこ」用として利用される大根で就農を予定している研修生が、8月22日に試験的に自宅のほ場に1回目の大根の播種をし(2回目9月4日)、この日は出た芽の「間引き」作業。
「いぶりがっこ」は、市で産地化形成を目指しており、その原料となる大根は市の振興作物になっています。研修施設では、本人の希望にもよりますが、県や市で推進している作物をメインに研修を行っています。
自宅プロジェクトの様子
9月24日
西部研修施設で、研修生が保育園の子どもたちと一緒にサツマイモを収獲。保護者とおばあちゃんも手伝いに来てくれました。
サツマイモは、冬に焼き芋として食べるイメージがありますが、最近は夏でも冷やし焼き芋や冷凍焼き芋など、焼き芋人気となっています。
この日は18人の子どもたちが、軍手をはめた小さな手で、たわわになったサツマイモを収穫し、焼き芋?大学イモ?スイートポテト?どうやって食べようか?と食べることを楽しみに作業を行っていました。