新規就農者研修施設の秋(10月)- 大仙市農業振興情報センター
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新規就農者研修施設の秋(10月)
今年の出来秋は穏やかな天候が続き、農作業がはかどりました。
米価が上昇し、稲作農家にとっては久しぶりに喜びの多い秋となったかと思います。
研修施設の作物も例年より品質が良く、みんなで収穫の喜びを味わいました。
東部研修施設の様子
西部研修施設の様子
10月1日
新規就農者研修は、希望があれば10月から半年間の冬期研修の受け入れも行っており、この日から東部研修施設に研修生が一人加わりました。冬場は農地が雪に閉ざされるため、露地作物の研修は限られますが、ハウス栽培と並行して栽培技術の習得を行います。
冬期研修生は、さっそくカブの種を蒔き、先輩研修生と一緒にトマトの葉かき作業などを行いました。
自己紹介の様子
10月3日
農業に限らず「経営」は、収支や先々の資金繰り等をしっかり押え、経営の現状を正確に把握することが求められます。その基礎となるのは、簿記記帳です。
研修生は就農後、青色申告を選択し、簿記記帳を行って複式で損益計算書と貸借対照表を作成することを目標としています。
こうしたことから研修施設では、「農業簿記3級」の受験を義務付けており、11月24日の試験に向けて、今月から集中して農業簿記の学習が始まりました。休憩時間もテキストを開き、すでに合格している先輩研修生の指導を仰ぐ姿も。
農業簿記を勉強している様子
10月9日
東部研修施設近くの子ども園の園児たちが来所し、リンゴの収穫体験。
東部研修施設ではブドウやリンゴの収穫、西部研修施設ではジャガイモとサツマイモの定植と収穫を、それぞれの施設近くの小学校や保育園、子ども園の子どもたちと研修生が一緒に行い、季節の恵みを感じながら農業に関心を持ってもらう機会としています。
研修施設には、9月に収穫する「つがる」から始まり、千秋、やたか等々、11月収穫の「ふじ」までさまざな品種のリンゴが植えられていること、品種によってリンゴの収穫時期や色、形、味などが少しずつ異なることなどを子供たちが学習しました。
収穫体験の様子
10月11日
今春、4人の修了生が就農しました。就農にあたり取り組んでいる作物は、花き、ニンニク、スイカ+エダマメ、施設トマト+露地野菜と4人それぞれ。
就農から半年が過ぎ、仙北地域振興局農業振興普及課やJA秋田おばこ、地元農業委員、市職員などで構成するサポートチームで巡回し、初年度の作物の出来具合や出荷状況について確認とアドバイスを行いました。
出荷額については目標に到達したが地力が強すぎて栽培に苦労している、出荷額は目標には届かなかったが経費は計画より抑えられたので所得は概ね計画どおり、施設(ハウス)と露地(畑)の作業が重なり、露地野菜になかなか手をかけられなかった等々、それぞれ苦労している様子が伺えましたが、まずは無事就農していることに安堵しました。
ほ場巡回の様子
10月19日
2日間にわたる大仙市秋の稔りフェアが開会。会場では、写真や研修生のレポート、研修生の栽培した野菜などを展示し、新規就農者研修施設を紹介。
同じ会場の入口には、令和5年度の「大仙農業元気賞」の受賞者紹介コーナーがあり、受賞者の一人は研修修了生で、これも研修施設のPRに一役買いました。
展示ブースの様子
同期間、隣の美郷町でも美郷フェスタが開催されており、東部研修施設の修了生がパネルディスカッションのパネリストとして登場すると聞き、美郷フェスタへ足を延ばしました。
パネルディスカッションのテーマは「将来の地域農業の発展について」。美郷町内の3人の若手農業者が、現在の農業経営の状況と将来展望を語りました。
修了生は「花を栽培している。ヒマワリから始まりリンドウ、ケイトウ、ラナンキュラスなど通年で毎月、花を出荷することが私の目標。出荷最盛期も別の花の病害虫防除を3日に1度行うなど、初夏から秋にかけては早朝から深夜まで寝る間も惜しんで作業している。近い将来、ハウス栽培を拡大したい」
理事として農業法人を経営している方は「毎年、大枠の計画をしっかり立てている。土地の貸し手に少しでも多くの地代を還元したいと、次年度のことも計算し、経費節減を図るために法人の従業員は少人数で所得向上を目指している」
小菊の栽培に取り組んでいる方は「自分のほ場にあった品種を選び、防除や施肥など基本的なことを適期に行っている。きょうでなく明日やろうなどと妥協すると良いものが取れない。人件費が一番高い。盆前などの出荷時は作業小屋で朝を迎えるなど、この時期に頑張れば儲かると体力の極限、自分を追い込んででも作業している」
そして地域農業の発展のためには、
「若い農業者を増やすこと。農業を始めるには借金からのスタート、いかに投資を抑えるか。しかし『農業は儲かる』ということを私たちが示したい」と力強い発言がありました。
(写真掲載にあたっては、美郷町およびそれぞれのパネリストの了解を得ています)
パネルディスカッションの様子
10月24日
将来的には農業に従事もしくは農業に関した職業に就きたいと希望している大曲農業高校の1、2年生18名が東部研修施設に来所。研修施設や研修制度の説明を受け、研修生と情報交換を行いました。
「いつ、農業をやりたいと思ったか」という問いに研修生は、
- 高校時代は農業をやりたいとは全く思わなかった。大学卒業後に就職し、仕事で各地へ行ったが、だんだん自分のふるさとが良く思えてきて、関東圏から戻ってきて家の農業を継ぐために研修を受けている。
- 家が稲作農家なので、子どものころから何となく農業を継ぐだろうなとは思っていた。種苗会社に勤務し、さまざまな農家を訪れ、多くの農家の方々と話すうちに、農業をやるなら早いうち(若いうち)に取り組んだ方がいいなと思い、会社を辞めて研修を受け、再来年の就農準備を今から進めている。
- 家は農家ではないが、自然相手に外で働くことが好きなので、研修を受けて農業法人へ就農する予定。
- 関東圏から移住し、たまたま研修施設が自宅のすぐ近くにあったので農業に興味を持ち、農業の知識は全くないゼロからのスタートで研修を受けている。
研修生は農家出身もいれば非農家も、また年齢も10代から40代まで。それぞれ農業をやろう、あるいは研修を受けようとしたきっかけを高校生に伝えました。
情報交換の後は研修ほ場へ行き、自分が担当する作物について研修生が説明しました。
交流会の様子
10月25日
国の農業次世代人材投資事業の研修奨励金(就農準備資金)を受給している研修生と、国から制度運用の委託を受けている県農業公社の面談。
1年目研修生には、研修半年経過しての感想や就農後に取り組む作物や営農計画などのビジョンを、2年目研修生には来春の就農に向けた準備状況などについて確認やアドバイスがありました。今回の面談や書面で提出した研修状況などで総合的に判断し、後期分の研修奨励金が支払われることになります。