新規就農者研修施設の秋(11月)- 大仙市農業振興情報センター
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新規就農者研修施設の秋(11月)
研修施設で初めて緑色のカメムシ(ツヤアオカメムシ)を見かけました。
カメムシが多いと大雪になる(他に、カマキリが産んだ卵が高い位置なら大雪、柿が豊作の年は大雪等)と言い伝えがあります。今冬は日本海側が大雪との予報。
日常生活では雪が少ないと助かりますが、少雪だと困る方々も多く、ほどほどの雪であってくれればと願いたいところです。
11月1日
2年目研修生は研修期間残り5か月となり、来春の就農に向けて本格的な準備が始まっています。
昨今の農業資材の高騰、中でもビニールハウスの高騰で新たに園芸作物に取り組もうとする研修生は、収益を得るために非常に苦労します。そこで中古ハウスを安価で譲り受け、就農に備えようとする研修生が10月下旬からハウスを解体し、自分の就農予定地に中古ハウスを運び出す作業をしました。初期経費を抑えて、少しでも収益を得るための工夫です。
ハウス解体の様子
また、「いぶりがっこ」用ダイコンで就農を予定している研修生は、自宅プロジェクトとして8月22日に自宅のほ場に植えたダイコンが収穫適期を迎え、他の研修生の協力をもらってダイコンの収穫。収穫したダイコンは、東部研修施設の修了生宅の設備を借りて機械で洗浄し、「いぶし」のために棚にダイコンを並べ、3泊4日のいぶし作業は修了生にお願いしました。研修生は、出荷できるダイコンの割合や生ダイコンをいぶすと重量がいくら減少するか等を実践を通して把握できました。
ダイコンの収穫からいぶし準備まで行っている様子
11月3日
第147回秋田県種苗交換会が鹿角市を会場に1日から5日間の日程で開幕し、研修生が栽培したネギ、ニンジンを出品(研修施設の農作物は参考出品のため審査外)。
今回は、県内各地から各部門合わせて1,209点の作物が出品され、審査の結果300点弱が入賞。
うれしいことに研修施設の修了生が積極的に出品し、切花(リンドウ)で2等賞(西部研修施設令和4年度生)、ネギ(東部研修施設令和4年度生)と切花(輪ギク 東部研修施設平成25年度生)で3等賞と3人が入賞しました。
主会場の様子と研修生及び修了生が出品した農作物
11月13日
栃木市議会の会派が、新規就農者研修施設の取り組みについて視察のために来所。
栃木市は、米と麦の二毛作による土地利用型農業とイチゴの一大産地。大仙市は、米と大豆による土地利用型農業で、新潟市に次ぐ全国2番目の米の産地と農業構造が大きく異なりますが、農業者の高齢化や後継者不足など課題は共通。
栃木市では、イチゴに特化した新規就農者研修や、法人就農を推進して若手農業者の確保に努めているとのこと。共通する課題を解決するためには、新規就農者研修だけではなく、若手の農業者等が、農業を営みやすい環境をさまざまな面で支援していくことが大事だと認識しあいました。
視察の様子
11月15日
花きで就農を予定している研修生が、県雄勝地域振興局及び仙北地域振興局の協力を得て、JAうご(主に羽後町)、JAこまち(湯沢市ほか)管内のストック栽培を視察。
JA秋田おばこ管内でストックを栽培している農家はわずかですが、湯沢雄勝地域では昭和50年代からストック栽培が始まっており、40年以上の歴史があるそうです。面白いことにJAうご管内はスタンダードストック(1本の茎に小さい花をいくつも付け、花束などに利用される)、JAこまち管内はスプレーストック(茎の先に3~5本の枝がスプレー状に広がり花をたくさん付け、フラワーアレンジメントに利用される)が主に栽培されているとのこと。
ストックは7月に種を蒔き、8月に定植して11月頃から出荷できるため、ハウス内に長期間暖房を入れる必要がなく、晩秋から冬にかけての花が少ない時期に出荷することから比較的単価も良く、収益性が見込めます。
最初にJAうご管内の「足田営農組合」へ。
ここは水稲35haのほか、トルコギキョウを主体にスタンダードストック、小ギク等の花き類やオクラ、ふくたち等の野菜による周年農業を行っています。
ストックは昨年、高温により開花抑制がかかり年内にほとんど咲かず、出荷を諦めたり、温かい地域のストックと出荷がかぶり単価安になるなど、高温による悪影響を受けたことから、今年は高温対策として電照を試したとのこと。高温を避けるため、遅い定植のものに赤色光を電照することで、暖房コストを抑え、一斉開花が狙えるという可能性を見出すことができたそうです。
「足田営農組合」のほ場巡回の様子
次に、JAこまち管内の藤原さんへ。藤原さんもトルコギキョウとスプレーストックを組み合わせて、年間を通じてハウスを利用する周年農業を行っています。
藤原さんは、「特に気をつけているのは、フラワーネットの網上げを細かく細かく行うこと。父の代からストックを栽培しているが、栽培方法を父から教わったわけではなく、仲間同士の情報交換が何よりの勉強になる」と話してくれました。
「藤原さん」のほ場巡回の様子
11月18日
10月1日から研修を始めた冬期研修生が、研修初日に種蒔きしたカブの初収穫。自分で手掛けた作物の収穫の喜びを感じた様子。さっそく直売所にて1袋150円で販売。農家は、野菜1袋、花1本が100円あるいは130円、150円…(この金額から出荷手数料や輸送費等が20~30%差し引かれる)の積み重ねで収入を得ていくことを実感したかと思います。
カブの収穫から調整を行っている様子
11月19日
県農業研修センターで座学。午前中は原価計算と労務管理、午後は農業所得の申告について。
企業では、製造する前に原価計算し、原価に利益を加えた金額を販売価格としています。農業経営でも、例えば米1俵当たり、労働時間1時間当たり、10a当たりなどを県の指標をもとに標準原価を設定し、実際の生産原価と比較する、あるいは前年と今年の生産原価を比較することで、次の生産管理に生かすことが大切なことを学びました。
労務管理では、人を雇用する場合は、農業であっても最低賃金など労働基準法で定められた労働条件が適用されること、ただし農業に関しては、自然に左右され、また農繁期は日の出から日没まで作業しなければならないことなどから、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となっていることを学びました。
座学の様子
11月24日
農業簿記3級検定試験日。大仙市は3級簿記検定の受検を義務づけ、研修生全員が受けてきたことなどが評価され、県内新規就農者研修施設では唯一、研修施設内での試験会場の開設が認められています(他の研修施設の研修生は、県農業研修センターで受検)。
検定に備えて10月から集中して農業簿記について学んで来ました。合格発表は2週間後。全員の合格を願うばかりです。
試験日の様子
11月25日
11月も残り1週間。これからは晴れの日がとても貴重で、小春日和のこの日、東部、西部施設とも急いで冬支度。ほ場に残っている作物を全採りし、ハウスのビニールをはがすなど降雪に備えました。
冬支度の様子
11月11日から
乗用の農業機械(トラクタ、田植え機、コンバイン等)が大型化し、長さ4.7m、幅1.7m、高さ2.0m、最高速度時速15kmのいずれかを超える農業機械を運転するためには「大型特殊免許」が必要です。トラクタで田植え機やコンバイン等をけん引する場合もあり、「けん引免許」もあればなお可です。
研修生が就農するにあたり、大型特殊免許は必須になりつつあります。
昨年度までは、大型特殊免許を取得するために自動車学校へ通う時間は「休暇」扱いでしたが、今年度から県の方針で「研修時間」に認められ、西部研修施設の研修生一人が自動車学校へ通って大型特殊免許を取得しました。引き続き「けん引免許」取得のために自動車学校へ通っています。
(写真は、8月20日に(株)秋田クボタ指導員の指導のもと研修生がトラクタを運転し、ダイコンの播種作業を行った時のものです)
トラクタを運転している様子
10月の研修活動報告はこちらをご覧ください。
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