新規就農者研修施設の冬(2月)

 2月前半の「立春寒波」は、幸い研修施設に影響はありませんでした。

 2月後半の寒波(20日ごろから)では、20日から5日間の降雪量が、東部研修施設がある太田地域で82センチ(最大積雪深109センチ)、西部研修施設がある西仙北地域は61センチ(最大積雪深108センチ)に。この積雪によって今シーズンの消雪日見込みが3月半ばから3月末となりました。

 春早々に苗(ソラマメ)を定植するほ場や植え付けしたニンニクの畝には、消雪を促すためにくん炭をまき散らしました。(降雪量、積雪深データは市建設部調べ)

 東部、西部とも研修施設のハウス内では、4月最初に定植するソラマメの苗づくりを2月中旬から始めています。

東部でソラマメの発栽培準備をしている様子東部でソラマメの栽培準備をしている様子

2名の西部研修生がソラマメの栽培準備している様子2名の西部研修生がでソラマメの栽培準備をしている様子

燻炭をまいた後のほ場の雪の様子燻炭をまいた後のほ場の雪の様子

2月4日  農業基礎講座(4)  

地元銀行営業支援部の協力を得て、スマホを活用した営農支援アプリについて

 スマホは97%の普及率(2024年1月時点)で、今やパソコンに代わってスマホで対応できることがどんどん増えています。

 農業分野でも、スマホによる遠隔操作で自動かん水や養液(液体肥料)を流すことが可能などスマホの活用が進んできています。

 スマホに取り込んだ営農支援アプリで、自動かん水などの作業指示、ほ場ごとの肥料等の散布、使用実績などの作業内容、作物の生育状況、収穫、出荷の情報などが記録できることの説明を受けました。こうした記録を蓄積することで品種ごと、ほ場ごとのコストを算出し、また肥料等や資材の散布、使用実績を作付けごとに集計して次の購入計画の検討に活用するほか、栽培状況をリアルタイムに把握して良品質の作物生産につながるなど、スマホで栽培と経営状況を可視化できました。また、複数人の各自のスマホで確認して、情報を共有することもできました。

 スマート農業は、多額の初期投資や維持費がかかると思われがちですが、安価に導入できるスマホを活用したこれからの時代に対応したスマート農業の研修となりました。

営農支援アプリの講習の様子

講師の説明を真剣に聞いている研修生講師の説明のメモとる研修生

男性研修生がスマホを操作スマホ画面の写真

2月5日、6日

 研修生は、県と市による研修奨励金または国の研修奨励金のどちらかを受給しています(研修修了後の就農形態等によって県・市または国の奨励金を選択)。この奨励金は「雑所得」に該当して所得税の申告をする必要があり、研修生には電子申告を推奨しています。

 1月29日、30日に引き続き、昨年度まで当施設の農業専門指導員だった木村先生を講師に電子申告の研修。国税庁のホームページから申告入力のサイトを開き、マイナンバーカードまたはI Dとパスワードを用い、収入や経費等の入力、データ保存、国税庁へ電子データを送信する方法について学びました。

 また修了生も訪れ、就農後の経営状況や申告等について木村先生に報告し、今後の営農についてアドバイスを受けていました。

パソコン簿記研修会の様子

講師が修了生へアドバイスしている様子講師が女性の修了生へアドバイスをしている

講師が研修生へ指導してい様子講師が研修生へ指導している様子

2月7日

市農業ビジネス塾の視察研修に参加

 今回は仙北市西木の農家民宿「農家の宿 星雪館」と、農家レストランのデリカテッセンkimotoへ。

 仙北市の農家民宿は50年以上の歴史があるとのこと。昭和46年に旧田沢湖町が冬季国体の会場となり、関係者の宿泊ニーズが生まれたことや、同時期に劇団わらび座が農業体験の受け入れをスタートしたこと等がきっかけとなり、民間レベルでの農村と都市の交流が始まったそうです。以来、農家民宿を営む農家が少しずつ増えて、現在は仙北市全域で30軒を超える農家民宿があるそうです。また、農家民宿に関連する形で農家レストランを開業した方も何人かいるそうです。

 視察では、これまでの経緯を含めて次のようなお話しがありました。

 星雪館の門脇さんは「1995年から1年ほど中国へ語学留学し、帰国するまで農業に興味はなかったが、農業の手伝いをするうちに農家になりたいと思うようになり、27歳から自宅の野菜を使って農家レストランを始め、31歳の時に就農し、やがて農家民宿を開業。当初は1か月に10人程度の宿泊者だったが、現在は年間400人以上となり、2/3が外国人。ほとんどが台湾の方で、過去の語学留学の経験が役に立っている。大きな観光地とは違い、自分なりの考えを持って泊りに来る人が多く、桜の花や紅葉の季節は、毎日宿泊者がいる。しかし経営の柱は農業。水稲のほか通年でホウレンソウとコマツナ、シュンギク、ソバを栽培している。農業は働いた分だけお金になるが、欲が出ると苦しくなる。規模拡大は難しいため、栽培する作物を増やしたり変えたりしながら農業収入を確保している」

 デリカテッセンkimotoの木元さんは「最初は肉屋から始まり、現在は少量多品目で作物を栽培し、収穫した作物を利用してレストランを経営している。レストランの周囲でガーデニングを行い、暖かい季節にガーデンコンサートを開いている。農家レストランと並行して出来ることは無いかと考え、最近、レストランの裏に外国人限定の農家民宿を開業した。生野菜に抵抗がある国から来た人も、畑で一緒に収穫すると、おいしいと食べてくれる」

 農業を柱に、しっかりした経営理念を持って農家民宿、農家レストランを経営する方の姿は、研修生に良い刺激となったようです。

視察の様子

星雪館の入り口にて記念写真(研修生4名と星雪館の代表)研修生が星雪館にて代表から話を聞いている様子

デリカテッセンkimotoの外観デリカテッセンkimotoの料理の写真

2月18日 農業基礎講座(5)

県仙北地域振興局農業普及課の職員を講師に野菜栽培について

 今回は、ネギとアスパラガスの栽培方法を学びました。

 ネギは品種は同じでも9月までに出荷する「夏どりネギ」と、10月から出荷する「秋冬ネギ」に区分されています。また、夏どりネギは白い部分が25センチ、秋冬ネギは30センチの規格になっています。

 ネギは5年産で秋田県全体で93億円の出荷額、うち29億円が能代山本地域の「あきた白神ネギ」、次いでJAこまち管内(主に雄勝羽後地域)の17億円、そして地元のJA秋田おばこ管内2億円となっており、出荷額はかなり異なりますがJA秋田おばこ管内もネギの産地となっているとのこと。

 アスパラは、これまで露地栽培が主体でしたが、全県的に露地栽培のアスパラの病気が蔓延しており、最近はハウスでの栽培が推奨されています。ハウス栽培では、腰を曲げなくても収穫できる「枠板式高畝栽培」が導入されつつあり、またアスパラは比較的安定した単価となっていることから、県では「あきたのアスパラ総合推進プロジェクト」として推進しています。

ネギ、アスパラガスの栽培基礎講座の様子

栽培基礎講座を受けている研修生とその他参加者栽培基礎講座で講師が説明している様子

真剣にメモをとる研修生真剣にメモをとる研修生

2月19日

 JA秋田おばこの広報担当者が、研修生を取材のため来所。 

 広報の表紙に登場する研修生の推薦依頼があり、一番若い研修生(19歳)を紹介。彼は2年間の新規就農者研修を終えて、この4月から農業法人へ就農予定。 

 JA秋田おばこの広報紙史上、最も若い農業後継者の取材だと広報担当者は少し緊張?ぎみの様子。若いながら農業を志したきっかけや、就農に対する意気込み等について取材し、近い将来、間違いなく地域の農業をけん引する人材になるだろうと期待を込めて広報で紹介してくれるそうです。

取材の様子

JA広報担当者から取材を受けている男性研修生JA広報担当者が作業中の研修生の様子を撮影している様子

JA広報担当者が作業中の研修生の様子を撮影している様子JA広報担当者が野菜をかかげポーズをとる研修生を撮影している様子

2月25日 農業基礎講座(6)

 1月14日から毎週火曜日に開催してきた農業基礎講座も最終回。

 今回は、研修生と一般参加者合わせて22名がコメの加工品である太巻き寿司づくりに挑戦。講師は長年にわたって市健康文化活動拠点センター・ペアーレで郷土料理の講師を務めてこられた太田地域の野中さん。

 2時間の研修時間のため、あらかじめご飯を炊いておき、酢飯をつくるところから始め、渦巻き模様と梅の花の2種類の太巻きの巻き方を学びました。

 講師の野中さんは、「今回は卵焼きや野沢菜、柴漬けなどを使ったが、中に入れる材料は何でもいい。繰り返し太巻き寿司をつくって、米どころ秋田のコメの消費拡大と郷土料理の技を習得して、みんなに伝えて欲しい」と願いをこめて話してくれました。

太巻き寿司の講習を受けている様子

指導をうけながら太巻き寿司を作っている研修生野中さんの話を真剣に聞く研修生

指導をうけながら太巻き寿司を作っている研修生野中さんが太巻き寿司の断面を見せている様子

太巻き寿司のレシピ酢飯のレシピ

2月28日

太田地域の認定新規就農者審査会

 農家が農業用機械などを導入する際、基本的に「認定農家」でなければ国や県などの助成事業を活用することが出来ません。

 新たに就農する後継者は、各自治体で定めた5年後の所得目標(大仙市は225万円)を達成する営農計画(青年等就農計画)を立て、認定農家に代わる「認定新規就農者」として認められることで国や県などの助成事業が活用できます。

 市太田支所で認定新規就農者の審査会が開かれました。

今回は、農業法人で働きながらトマト栽培の技術を習得し、この春から独立営農を目指す後継者と、東部研修施設で2年間の研修を終えて夫婦で就農する研修生の2件の営農計画が、本人たちと面談しながら審査されました。

 審査会では、就農をめざすに至った経緯や就農後の営農概要、営農に対する意気込みなどについて問われ、無事、認定新規就農者として承認されました。 

 太田地域、やがては大仙市農業をけん引する農家となることを願っています。

審査会の様子

審査委員に囲まれて審査を受ける研修生審査委員に囲まれて審査を受ける研修生

1月の研修活動報告はこちらをご覧ください。

  • 新規就農者研修施設の冬(1月)- 大仙市農業振興情報センター

https://www.city.daisen.lg.jp/archive/p20250213101944