農者研修施設の夏(令和7年度7月)

今年は例年より1日早い6月14日に梅雨入りを迎え、9日早い7月19日に梅雨明けが発表されました。

しかし、今年の7月は雨がほぼ降らず、1日の降水量が5mmを超えた日は僅か2日。

連日の高温と雨量不足は、長ネギの水分量の低下により細くなってしまったり、根が暑さにより傷み生育不良につながります。枝豆も花が実をつける前に落下してしまい、収穫量の減少や品質の低下を招き、露地野菜にとって過酷な環境でした。

研修生も涼しい時間を見計らって水やりを行いました。

東部新規就農者研修施設

露地作物に水をあげている研修生
トウモロコシを収穫する研修生
農作物一つ一つに丁寧に水をあげている研修生
かぼちゃのほ場を整備する研修生

西部新規就農者研修施設

トマトの脇芽を摘み取る研修生
メロンのツルを整備する研修生

7月9日  

この日は大曲農業高等学校の2年生3名がインターシップとして東部新規就農者研修施設に来ました。

ほ場見学の後、研修生と共に農作物の出荷準備を行いました。出荷する作物担当の研修生は、出荷基準となる大きさや色、タイミングなどひとつひとつ詳しく大農生に説明しました。

袋詰めの際には、上手く入らず手間取っている大農生に対し、上手く入れるコツの教えました。

インターシップの様子

トウモロコシのほ場のまわりに電柵を設置する研修生と大農生
研修生からほ場の説明を受ける大農生
研修生からツルムラサキの説明を受ける大農生
大農生に出荷伝票の記入方法を教えている研修生

大農生にトマトの出荷基準を説明する研修生
出荷に適したトマトの色について説明を受ける大農生

7月10日(1)

太田南小学校では、4年生(苗定植時3年生)が昨年植えて越冬させた秋田の伝統野菜である「横沢曲がりねぎ」の寝かせ作業が行われました。

「横沢曲がりねぎ」は、播種から定植まで2年かけて栽培をします。2年目の夏ころに、一度土から抜いて植え替えて「ねせる」ことでより柔らかく風味がよくなります。この植え替えて「ねせる」作業のことを「寝かせ」といいます。

研修生は、児童がスムーズに寝かせ作業を行えるように、空いているほ場に溝を掘る作業やネギを抜いて固まりになっているネギを一本一本分ける等、前準備を行いました。

「ねかせ」作業の様子

ネギの植え替えのために一度ネギを抜く研修生
児童が作業しやすいようにネギを分ける研修生
植え替えるためのほ場を整備する研修生
今年の春に植えたネギに土をかける研修生
児童にねぎを渡す研修生
寝かせ作業をする児童のサポートする研修生

7月10日(2)

東部研修施設の地元、太田地域の斉内集落会の皆さん約20人が視察のために来所。

地元にいながら一度も研修施設を見たことがない方が大半で、良く栽培管理されたネギやカボチャ、ニンニク、ハウス内のスイカやトマト、アスパラなどを見て「さすが研修施設、良く手入れされていて、まるで教科書を見ているようだ」との感想がありました。

また、斉内集落会には平成10年の農業振興情報センター開設時の初代所長を務めた方もおられ、「開設から25年以上経ち、果樹が大きく成長し、サクランボがあったところはシャインマスカットになっている。研修施設も少しずつ変化しながら成長していることを感じた」と話していました。

案内した所長から「旧太田町時代に開設した研修施設は、大仙市となって太田地域のみならず市内全域から研修生を受け入れ、また平成27年から隣接する仙北市、美郷町から研修生の受け入れも始めている。地元の皆さんからこうして研修施設を見ていただき、研修状況を広く紹介してもらうことが、研修生にとって大きな励みになる。ときどき研修施設を訪れ、地元から研修施設を盛り上げていただきたい」と地域農業の担い手となる研修生の応援をお願いしました。

視察の様子

ほ場を視察する斉内集落会の方々約15名
ほ場を視察する斉内集落会の方々、男女十数名程度
屋内で研修生が育てた農産物を視察する斉内集落会の方々
屋内で職員から説明を受ける斉内集落会の方々          
ハウス内のスイカのほ場を視察する斉内集落
アスパラの高畝栽培を視察する斉内集落

7月14,15日

7月に入ると気温が高くなり始め、春に植えた農作物が例年より少し早く収穫適期を迎えたものもあれば、枝豆など高温、少雨により実が肥大化せず、収穫するタイミングが難しいものもありました。

農作物は、環境の変化で急に成長するため、収穫適期を見逃さないように日々観察することが重要です。また、収穫適期を迎えた枝豆や葉物野菜などは収穫した日に調整し出荷しなければいけません。

この日も出荷時間に合わせ、朝早くから収穫をし、出荷の準備行いました。

出荷準備の様子

チンゲンサイの収穫している研修生
枝豆の選別をしている研修生
トウモロコシの調整をしている研修生
キャベツの出荷準備をしている研修生

7月25日 

夏野菜の収穫と並行して、秋に収穫するための農作物の播種を行います。

この日は、研修生みんなでスナップエンドウの播種を行いました。

育苗箱に紙製のポットを広げピンで固定します。ポットの端まで土をしっかり入れたら、固定していたピンを抜きます。土の深さ1cmから2cmほどの穴を開けて種子を播き、種子が隠れるように土を被せます。定植時期になったら、露地のほ場に植え替えます。

研修生は、育苗箱にポットを装着する人や土を入れる人、種子を播く人に役割分担をして作業を行いました。

播種の様子

育苗箱に紙製のポットを設置する研修生
ポットに土を詰める研修生
ポットに種をまく研修生
種に土を被せる研修生

7月28日 

 県仙北地域振興局農林部の農業振興普及課職員が来所し、就農準備研修会が開かれました。研修内容として、(1)就農にむけて準備すること、(2)農業経営の基本と経営計画、(3)新規就農総合対策事業、(4)夢ある園芸産地創造事業、(5)青年等就農資金関係 について学びました。

「農業経営」には・ヒト(何人がいつ、何時間働けるのか)・モノ(土地、機械、施設等)・カネ(経営資金、運転資金)の3つが必要不可欠であり、栽培技術の習得のほかにこれらを就農前に準備する必要があります。

 「農業経営」に不可欠なものを理解したうえで

  •  自分が何を栽培したいのか?
  •  何を持っているのか、何が足りないのか?
  •  これから何が必要になるのか?

について考え、「営農計画」を作成し、足りないものをどのように準備する必要があるのか明確化することが重要だと説明がありました。

また、農業で生活していくには、「自分のやりたい作物」と「儲かる作物」のバランスが大切だとも話していました。

研修の様子

補助事業について話を聞く研修生
就農準備に必要なことのメモを取る研修生
スライドを見ながら農業経営に不可欠なものについて学ぶ研修生
資料を熟読する研修生

7月29日 

研修施設で採れた農産物は、主にJA秋田おばこを通じた市場出荷を行っていますが、一品種ごとの収穫量が少ない場合などは直売所や道の駅での販売のほか、マーケティング研修の一環として市役所や各支所で出張販売を行っています。

この日は、研修生が市役所大曲庁舎を訪れ、枝豆、トマト、トウモロコシ、アスパラ、小玉スイカ、ユリなどを販売しました。長い行列が出来るほどの好調な売れ行きとなりました。

農産物の売上代金は、市の収入になっています。

農産物販売会の様子

販売会を前に長蛇の列が出来ている様子
研修生が育てた作物をたくさん抱えているお客さん
農産物をたくさん購入するお客さん
購入金額を計算している研修生

令和7年度6月の研修活動報告はこちらをご覧ください。

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