• 題名を新たに!新規就農者研修施設の研修状況を紹介する連載を継続しますので、ご注目ください!

新規就農者施設の春 4月編

 この春、7人の研修生が就農しました。3月27日の修了式では所長から「農業を職業として選んでくれたことに、大仙市民のみならず秋田県民、そして日本国民を代表して深く深く感謝したい。昨年、市場視察でみなさんと一緒に秋田中央青果の株式会社秋印を訪れたとき、秋印の会長から『人の口に入れるものを作っている人たちがいなくなると、日本はつぶれる。農家の方々に国民はもっともっと尊敬の念を持たなければならない』と言われたが、本当にそのとおりだと思う。土に立つ者は倒れず、仮に転んでも立ち上がり、粘り強く、へこたれずに自分の農業の道を歩んで欲しい」とエールが贈られました。 

 さて、今年の春はぽかぽか陽気が続き、気持ち良く過ごしていますが、農業ではこの陽気が必ずしも良いとは限りません。夏野菜の種まきや育苗の時期ですが、気温が上昇すると作物の成長が早まって作業が予定通りにならなかったり、ハウス内の温度が上がり過ぎるため、外気を入れる換気扇が稼働して電気料のかかり増しが心配になるなど、さまざまな面で支障が出てきます。

谷口所長から修了生に激励の言葉を送っている様子
修了生と研修施設職員の集合写真

4月1日 入所式

 男子3名、女子2名の研修生を迎え、2年目研修生3名とともに今年度の研修が始まりました。

 入所式では所長から「農業を学びたい、学ぼうと思っていただきありがとう。皆さんが目指すは、もうける農業。加えて楽しい農業をやってほしい。土を耕し心をたがやしながら、一つでも多く覚え、経験値を高めて欲しい」とあいさつ。

5名の研修生のうち2名は東部、3名は西部研修施設に分かれ、2年間の新規就農者育成研修に臨みます。

谷口所長から新規研修生に歓迎の言葉を送っている様子
新規研修生がオリエンテーションを受けている

4月2日 土詰め作業

 東部研修施設は、入所式翌日にソラマメを定植するのが恒例ですが、あいにくの雨。そこで育苗ハウスで、トマト苗用のポットに土を詰める作業を行いました。

 2年目研修生から

  • ポットは直径のサイズがあり、土が入っている袋に、1袋当たりのポットの個数の目安が記されている
  • 土は水を含ませてからポットに詰めた方が良い。詰めた後だと水分にムラが出る
  • 土を山のように盛り上げ、頂上に火口のような穴を作って水を含ませ、まんべんなく土を混ぜる。もんじゃ焼きの要領で
  • 土はポットにふんわり詰めて、ポットの底をテーブルにトントンと振り安定させる

といった説明があり、最初の実践研修となる1年目生に分かりやすい説明がありました。

ハウス内で、ブルーシートの上で土に水を含ませている
水を含ませた土を混ぜている
混ぜた土をポットに詰めている
土を詰めたポットをトレーに並べている

4月6日 育苗スペースの貸し出し

 就農しても農業機械やハウス等をすぐには準備できません。そこで就農の走り出しを支援するため、研修施設にある管理機、マルチャー、防除機など小型農業機械や、育苗スペースの貸し出しを行っています。

 この4月に就農した修了生は、さっそくビニールハウスの育苗スペースを借りてソラマメ、メロン、ネギを育苗し、定植までの間は研修施設に来て苗を管理し、それぞれ自宅のほ場に定植しました。

ハウス内で修了生がメロンの育苗について研修施設の先生に聞いている
修了生がハウス内の育苗スペースでネギの育苗をしている

4月6日&15日 先輩に聞く

来春に就農する2年目生は、就農する品目を決めて、栽培技術のほか栽培面積に応じた労働力、作業の段取り、売り先など、さまざまなことをより掘り下げて学びます。研修修了生から経験に基づいた話を聞くことは、とても参考になります。

ネギで就農を予定している研修生は太田地域の修了生を、ニンニクを就農品目の一つに考えている研修生は大曲地域の修了生を訪れて、これまでの経験や失敗談を聞き、アドバイスを受けました。

ほ場を訪れ、研修生が修了生にニンニク栽培について聞いている
ハウス施設内で研修生が修了生にネギ栽培について聞いている

4月8日 JA秋田おばこ育苗センターの視察

美郷町千畑にある育苗センターを訪問。ここではトマト11万本、キュウリ3万5千本のほか、ブロッコリー、キャベツ、ハクサイ、レタス、メロン等の苗を育てています。

トマトやキュウリを出荷している農家は、病害に強く、スタミナがあって長期間収穫できる台木に接ぎ木した苗を使っています。

トマトは、接ぎ木した苗を室内温度25度、湿度90%に保たれた「接ぎ木苗活着促進装置」に4日間入れて安定させ、その後2週間程度で出荷。以前はここの育苗センターで接ぎ木していましたが、ベテランの女性たちが高齢化し、自前で出来なくなり、現在は接ぎ木した幼い苗を岩手県の業者から購入して育てているそうです。

トマトの台木はキングバリアという台木専用品種、キュウリは同じウリ科のカボチャを台木にしていると説明があり、研修生はメモだけではなくスマホで動画を撮るなど熱心に聞き入っていました。 

育苗されている苗のメモを取ったりスマホのカメラで撮影したりしている
接ぎ木苗を近くで見て観察している
トマトの接ぎ木苗
土の成分について話を聞いている
メモを取っている
接ぎ木苗活着促進装置を見せてもらっている

4月15日 農業機械安全研修会

 株式会社秋田クボタの協力を得て、午前は座学、午後はトラクタに乗って実践での安全研修会となりました。今回は研修生と農事組合花館の2人の従業員など一般の方含めて20数名の参加がありました。

 農林水産省のホームページで確認すると、令和7年の農作業事故は全国で393件発生し、157名の方が亡くなっており、就業者10万人当たりの死亡者数は、建設業の2.5倍とのこと。

 座学では「農作業事故が非常に多いため、厚生労働省が事故対策に乗り出している。来年4月からは個人事業主への安全衛生義務が拡大され、機械の安全フレーム使用、シートベルトや保護具の着用が必須となり、また法人等の事業者には労働者に安全衛生教育が昨年4月から義務化されている」と講師から説明がありました。

 午後の安全操作研修では、「トラクタは、誤ってアクセルを踏まないために常に運転席左側から乗り降りすること。自動車はハンドルから手を離すと自動的に直進方向に戻るが、トラクタや田植機、コンバインなどの乗用農業機械はハンドルが戻らず、自動車と感覚が異なる」などの注意事項が説明されました。

その後、研修生を含めた参加者全員が指導員と共に自動操舵機能付きの80馬力、60馬力のトラクタに乗り、研修ほ場を耕起。農事組合法人花館の従業員の方から「安全研修を受ける機会はなかなかなく、座学もトラクタの安全操作も学ぶことができて良かった」という感想がありました。

座学を受けている
座学の様子、スクリーンの資料を見ながら説明を受けている
実際にトラクターを見て講習を受けている
実際にトラクターを見て構造や操作方法の説明を受けている
トラクターに乗ってほ場を耕起する研修生
トラクターに乗ってほ場を耕起する研修生、他の研修生や講師陣から見守らている
トラクターに乗ってほ場を耕起する研修生
トラクターに乗ってほ場を耕起する研修生、運転席で講師から説明を受けながらの運転

4月22日&23日

 私(筆者)は、刈払機や管理機など、ロープを引っ張ってエンジンをかける作業が未だにおっかない(怖い)のですが、農業を営むには農業用機械や機器を使いこなし、機械や機器のメンテナンスを覚える必要があります。

 東部研修施設では、エダマメのほ場にマルチを施すため、1年目生に2年目生がマルチャーの幅やうねの高さの調整方法を指導し、ほ場に入って初めてマルチャーを操作する1年目研修生にフォローしていました。

西部研修施設では、タマネギを定植するため黒マルチにネットを張り、ガスバーナーでマルチに穴を開ける作業をして、ガス量を調整しながら、リズミカルに穴を開ける感覚をつかんでいました。

一年生にマルチャーの調整方法を教える二年生
教わったとおりに調整にチャレンジする一年生
二年生の指導の下、マルチャーを操作し、ほ場にマルチを張る一年生
一年生のサポートをする二年生、マルチを張った前後に飛ばないよう鍬で土をかけて重しにしている
バーナーでマルチに穴を開ける、格子状のネットを置き網目に沿って穴を開けている
バーナーでマルチに穴を開けている