新規就農者研修施設の春(令和7年度4月)

 4月1日に農業振興情報センターで令和7年度新規就農者研修施設の入所式を行い、新たに2名の研修生を迎えました。

 今年度の研修生は東部新規就農者研修施設7名(1年目2名、2年目5名)、西部新規就農者研修施設3名(2年目3名)。出身地域別では神岡2名、西仙北1名、中仙2名、仙北1名、そして美郷町3名、仙北市1名となっています。

入所式の様子

入所式の様子(所長のあいさつに真剣に耳を傾ける新入生と在校生)オリエンテーションの様子(担当者から今後の流れなどの説明を受ける新入生2人)

4月2日  

 入所式を行った次の日には、研修1回目の農作業としてソラマメの苗をほ場に植える定植作業が恒例となっています。この苗は2月に種を播き、芽が出た種を3月にポットに移し育苗しました。

 1年目の研修生は初めての作業に慣れないながらも、指導員の先生や先輩研修生に教えてもらいながら定植をしていました。

ソラマメの定植の様子

研修生が苗を定植している研修生(定植専用の道具でマルチを張った畝に穴を開けながら苗を植えていく)研修生が苗を定植を行っている様子(定植専用の道具でマルチを張った畝に穴を開けながら苗を植えていく)先生に定植の方法を聞いている研修生(定植専用の道具を使用したあとの苗に優しく土をかけている)植えた苗に覆土する研修生(定植専用の道具を使用したあとの苗に優しく土をかけている)

4月7日

 今年の4月は雨の日が多く、ほ場の土が乾かないため機械等が入れず、露地栽培の作物を植える準備が遅れていますが、ハウス内では栽培や苗づくりの作業が進められています。

5月下旬から6月上旬の出荷を目指して3月下旬に種をまいたヒマワリの発芽が確認されました。まだ、根が短く安定していないため、水を上げるときも水圧を調整しながら一つひとつ丁寧に行う必要があります。

ヒマワリへ水をあげている様子

ホースシャワーでヒマワリの芽一つ一つ丁寧に水をあげている研修生ホースシャワーでヒマワリの芽一つ一つ丁寧に水をあげている研修生

4月10日

 秋に収穫する長ネギの苗を育てるために、種子をチェーンポット(紙製の育苗資材で複数の小さな容器が帯状につながっているもの)に播く作業を。

 育苗箱にチェーンポットを装着しポットに土を詰めます。土を詰めたポットの上に凸のある板を置き上から圧をかけることで、ポットに凹みができます。その上に種まき用の板を置き、コーティングされた種子をセットすることで、一気に播くことが出来ます。

 研修生も初めて使用する器具に、感動しながら作業を行っていました。

ネギの播種の様子

チェーンポットを育苗箱にセッティングする研修生チェーンポットに土を詰める研修生

凹凸のある板を使用しで土に凹みを作る研修生種まき用の板を使用して種子をまく研修生

チェーンポット一つ一つに種が入った写真播いた種に覆土している研修生

秋田の伝統野菜『横沢曲がりネギ』の播種

 東部新規就農者研修施設では、秋田の伝統野菜の保存、継承として、地元太田地域の伝統野菜である横沢曲がりネギの栽培も行っています。

 通常、ネギは1年で収穫されますが、横沢曲がりネギは2年余りの期間をかけて栽培します。途中で植え替えを行うことで、通常のネギよりも柔らかく風味のよいネギになります。

 この日は、通常のネギの播種をした後、横沢曲がりネギの播種をしました。

横沢曲がりネギの種を殻から取り出す作業

横沢曲がりネギの種を殻から採取する研修生横沢曲がりネギの種を殻から採取する研修生

4月15日 

農業機械・農作業安全講習会

 株式会社秋田クボタの協力のもと、農業振興情報センターで研修生及び農業近代化ゼミナール生(大曲仙北地域の若手農業者の組織)を対象とした、農業機械・安全講習会。

 初めに座学として、

  • 農業従事者10万人あたりの死亡者数は増加傾向にあり、年間300名近くの方が亡くなっている。うち、30%が乗用トラクターによる転落、転倒による事故である。
  • 事故を未然に防ぐには、(1)安全フレーム等をついたものを正しく使用する。(2)シートベルトとヘルメットを装着すること。(3)ほ場から出る際や路上走行時は、左右ブレーキを連結すること。が重要である。
  • 歩行式の耕うん機を使用する際は、(1)変速を正しい方向に確実に操作する。(2)周囲の壁や障害物に余裕があるか確認する。(3)耕うん機の爪と自分の足の距離をしっかりとる。に注意する。

 などの説明がありました。

 座学後は、屋外の研修場に移動し、実際に乗用トラクターに乗りほ場にて耕起作業を行いながら実技演習を行う予定でしたが、雨天によりほ場に入ることが出来なかったため、施設内の路上を秋田クボタの職員についてもらいながら、実際に運転することで安全な運転方法を学びました。

講習会を受けている様子

座学にて農業機械の安全について学ぶ研修生座学にて農業機械の安全についてメモを取る研修生

実際にトラクターを見ながら安全ついて学んでいる様子実際にトラクターを運転し安全について学ぶ研修生

土壌分析研修会

 午後からは、農業近代化ゼミナール生とともに、秋田県立大学金田名誉教授より土壌に関する研修会。

 金田名誉教授は、「国も県も市もスマート農業の推進に力を入れており、土壌診断を行う際もスマート農業機器を通して数値的に診断することが可能だが、まだ不十分。スマート農業はツールのひとつであり、やはり自分で見て触れることが重要だ」と強調していました。

 そこで、実際に東部研修施設の7号ハウス内の土壌の断面調査を行いました。

 土壌を診断するには、10~20cmの深さまで斜めに掘り、表面の土を1cm除いて一定の幅で下まで土を採取します。掘った土壌の断面を見ると層になっており、下の層の断面を親指で押し土壌の硬さを確認します。植物に適した硬さは『力を入れると指の根本まで入る』硬さです。研修生も実際に土を触れながら、ハウス内の土壌の状態を確認していました。

土壌分析研修会の様子

プロジェクターを使用して説明する講師から土壌分析の重要性を学ぶ研修生白板を使用して土壌の説明をする金田名誉教授

研修施設7号ハウスで硬度計を使用し土壌の硬度を調査している様子土壌診断を行うために穴を掘る研修生

採取した土の色を調べる金田名誉教授実際に触れて土の硬さを確認する研修生

4月23日 

 西部新規就農者研修施設の近くにある保育園の4、5歳の園児が研修施設を訪れ、じゃがいもを植えました。研修生の力を借りながら小さな手で一つひとつ丁寧に種芋に土をかけていました。

 作業の途中、3歳以下の園児たちが散歩を兼ねて応援に来てくれ、「がんばれ!がんばれ!」のかわいいエールが届き、最後はみんなで「おいしいじゃがいもなぁ~れ」と願いました。

じゃがいもを植えている様子

保育園児と研修生が力を合わせてじゃがいもを植えている様子園児達にじゃがいもの植え方を教えている研修生

農業指導員の説明を聞く保育園児と研修生大きくなるようにおまじないをかける保育園児たち

令和6年度3月の研修活動報告はこちらをご覧ください。