新規就農者研修施設の秋(令和7年度10月)

今年の10月は、各地でクマの出没が相次ぎ、農業被害や人的被害が多発しています。

クマは従来山奥に生息し、ブナの実等の木の実が少ない年に里山に降りてくることがときどきありましたが、近年は、山林にとどまらず、市街地などの人の生活圏内にも多く出没しています。

研修施設の近隣での被害やほ場にも足跡が残っていることがあるため、作業所の出入りの際は扉をしっかり閉めることやラジオを大音量で流しての作業など、研修生も注意して農作業を行っています。

東部新規就農者研修施設の様子

リンゴの選別をする研修生
リンゴの収穫をする指導員と研修生
一輪車でネギの残渣を運ぶ研修生
機械を使用して畝に被覆する研修生
ほ場の整備をする研修生
調整室の片付けをする研修生

10月6日

この日は、東部研修施設近くの子ども園の園児たちが来所し、リンゴの収穫を体験しました。

当研修施設では、地域の子どもたちへの食育の一環として、農作物の定植や収穫を子どもたちと研修生が一緒に行い、季節の恵みを感じながら農業に関心を持ってもらう機会としています。

果樹担当の先生から、「りんごは、早い時期に収穫できる『つがる』という品種から寒くなってから収穫する『ふじ』という品種までたくさんの種類があります。今日は、甘くてあまり酸っぱくない『やたか』というりんごを収穫してもらいます」と説明がありました。

園児たちは、研修生の手を借りながら、大きくて真っ赤なりんごを選んで収穫を楽しんでいました。

リンゴ狩りの様子

リンゴの収穫のやり方を説明する先生
真剣に先生の話を聞く園児たち
収穫したリンゴを研修生に見せる園児
研修生と一緒にリンゴを選ぶ園児

10月9日

ニンニクは、秋に種球を植付け、越冬をして翌年の6月末に収穫を行います。

当研修施設でも今年の6月末に収穫をしたニンニクを出荷販売用と種球用に分けており、この日は、来年6月末の収穫に向けた植付けを行いました。

研修生は、来年のニンニク担当を中心に、指導員の指示のもと肥料播き、畝立てから水やりまで、役割分担をしながら作業を行いました。

ニンニクは寒冷地での栽培に適しており、収益性も高く、収穫後に適切な乾燥を行うことで長期的な保存が可能となり、価格の変動に合わせて出荷、販売が出来るため、秋田県でも生産者が増加傾向にあります。

植付けの様子

役割分担をしながらニンニクを植付ける研修生たち
肥料をまく研修生
植付けしたニンニクが土に隠れるように整備する研修生
役割分担をしながら同時並行で植付けを行う研修生

10月18~19日

2日間の稔りフェアが開催され、会場では、写真や研修生のレポート、研修生の栽培した野菜などを展示し、新規就農者研修施設を紹介しました。

今年のテーマとして、自分名義で生産物の出荷・取引を行う独立・自営就農(夫婦型含む)、農業法人などに就職して働く雇用就農について展示。研修修了生の頑張りについて紹介し、来場者から興味を持ってもらいました。

また、今年は例年の展示に加え、夏のオープンキャンパスの際に行った、ペットボトルを活用したエディブルフラワーのペットボトルプランターの展示とともに、研修生が育てたエディブルフラワー用のキンギョソウ苗の配布を行ったところ、大変好評でした。

稔りフェアの様子

研修施設について説明する職員
研修修了生の展示物を見る来場者

ペットボトルプランターに興味津々な来場者

掲示物を熱心に読む来場者          

10月24日

この日は、将来的に農業に従事もしくは農業に関した職業に就きたいと希望している大曲農業高校の生徒20名が東部研修施設に来所。研修施設や研修制度の説明を受け、研修生と情報交換を行いました。

生徒からの「研修を受けてみて大変だったことやうれしかったことは何ですか」という質問に研修生は、

  • 研修中はあまり大変だとは感じなかったが、就農計画などを立ててみるとお金がとても必要だということが分かり、就農後の大変さを感じた。
  • その時の環境や生育状況に応じて、対応をしなければいけないことが大変だった。
  • 自分が育てた作物をお客さんが購入して喜んでくれた時、うれしかった。その笑顔を見るために研修を頑張っている。また、お客さんが喜んでくれる農家になりたい。
  • 研修を受けてみて、農業で生活していくためには、需要があり地域の環境にあった作物を栽培しなければいけないということが分かった。

と答えていました。

所長から高校生へ、「将来、農業と関係ない職業や大学に行ったとしても、いつか、また農業をやりたいと思ったときにこの研修施設があることを覚えていてほしい。いつでも歓迎いたします」と呼びかけました。

情報交換の後は研修ほ場へ行き、自分が担当する作物について研修生が説明し、コミュニケーションを取りながら楽しくほ場見学を行いました。

交流会の様子

高校生に説明する所長
高校生に研修していて楽しかったことを話す研修生
高校生からの質問に答える研修生
高校生と話をする研修生
ほ場を見学する高校生
高校生と交流する研修生

10月25日 

当研修施設では、大仙市のほかに仙北地域管内である仙北市と美郷町からも研修生を受け入れており、今年は仙北市から1名と美郷町から3名が研修をおこなっています。

時折、研修施設で収穫された農作物を大仙市内のほかに仙北市や美郷町にも売りに伺っている関係で、この日は、仙北市の産業祭である「秋フェスタSemboku」にお招きいただき、仙北市の研修生と共に農産物の販売を行いました。

午前中のみの参加でしたが、たくさんの方に購入していただき、完売することが出来ました。

大仙市の稔りフェアと同様に研修生が育てたエディブルフラワー用のキンギョソウ苗の配布や研修の様子の写真の展示をし、大仙市には新たに農業を始めたいと考えている人のための研修施設があるということを仙北市の方々に知っていただくより良い機会となりました。

仙北市も、担い手の確保に同様の悩みを抱えており、当研修施設にいる仙北市の研修生に対しても手厚い支援をしていただいています。

今後も仙北市や美郷町と協力し合いながら、地域の担い手の確保に努めていきたいと思います。

秋フェスタSembokuの様子

農産物販売や研修の様子の写真を展示している新規就農者研修施設コーナー
研修生が育てた農作物
農産物を選ぶお客さん
お客さんの対応をする研修生

10月31日 

第148回秋田県種苗交換会が湯沢市を会場に10月31日から11月3日の5日間の日程で開幕。

主会場では、秋田県内各地の農家や農業法人が農林水産大臣賞を目指して、自慢の農作物を出品しており、今年は各部門合わせて1096点が出品されました。

当研修施設でも参考出品のため審査対象外ですが、研修生が栽培したネギやツルムラサキ、ストックを出品しました。

この日は、県内各地から集まった品質の良い農作物を見て、どのような作物を目指して栽培に取り組めばよいのか学ぶために、現地視察を行いました。

研修生は、自分が出品した作物と一等の農作物との違いを見比べて、「自分が育てている作物の色味や太さが全然違う」など、自分との力量の差を感じていました。

また、第2会場では農機具メーカーの展示が行われており、将来就農予定の作物や水稲に使用する機械を見学し、メーカーの職員に従来の製品との違いについて質問したり、カタログを貰ったりしていました。

種苗交換会視察の様子

種苗交換会主会場
地元小学生が農作物で作成したモニュメント
研修生が出品したネギ
研修生が出品したツルムラサキ
研修生が出品したストック
表彰されているリンドウを見る研修生
出品されているトルコの写真を撮る研修生
トマトを熱心に見る研修生
自分が出品したネギと一等のネギを見比べて先生と話をする研修生たち
水稲の播種をする機械を見学する研修生

令和7年度9月の研修活動報告はこちらをご覧ください。

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