新規就農者研修施設の冬(令和7年度2月)

2月上旬の秋田県は1月下旬から強い気圧配置による記録的な大雪に見舞われ、各地では観測史上1位の積雪量となる地域もありましたが、研修施設に大きな影響はありませんでした。

研修施設では、冬期野菜の収穫作業のほかに4月に定植するソラマメの芽だし作業を行いました。ソラマメは発芽した種子を発砲スチロール箱に入れ、25日間ほど雪中に埋めて強制的に低温にさらす低温処理を行うことで実をつけやすくします。

ソラマメの芽出し作業様子

ソラマメから芽が出ているか確認する研修生
発芽していたソラマメを発泡スチロールに移動する研修生
発芽していないソラマメを温床に戻す研修生
発芽したソラマメが入った発泡スチロールを低温にさらすために雪に埋める研修生

2月6日 農業基礎講座(4)

仙北地域振興局農業普及課職員を講師に花き栽培について学びました。

始めに「花き」について「鑑賞の用に供される植物をいう」と定義されており、具体的には(1)切り花、(2)鉢もの類、(3)花木類、(4)球根類、(5)花壇用苗もの類、(6)芝類、(7)地被植物類 に分類されると説明がありました。

花きは「需要はあるが生産者が減っている」というのが現状で、輸入の花が増えつつあり、彼岸には造花と生花のハイブリット花束が用いられることもあるそうです。

秋田県内の出荷額は令和6年で約20億円であり、1位キク類(38%)、2位リンドウ(21%)、トルコギキョウ(15%)となっています。仙北地域でもこの上位3品種が主に生産されています。

特にリンドウは、今後関西での需要増加が見込まれ、特に彼岸やお盆用のブルー系の品種は需要もまだまだあるため、今後も推進していくと話されていました。

花きの基礎講座の様子

基礎講座の様子、研修室にスクリーンが設置されていて、約20人程度の参加者
花きの生産労力について学ぶ様子、スクリーンに映し出された資料を説明する講師
花きの資料を熱心に読む研修生と研修修了生
研修生からの質問に答える講師の様子

2月9日

研修生は、研修終了後の就農形態に合わせて、県と市による研修奨励金、または国の研修奨励金のどちらかを選択し受給しています。この奨励金は「雑所得」に該当し、所得税の申告をする必要があります。

研修生には電子申告を推奨しており、この日は農業技術指導員を講師に、電子申告の研修をしました。国税庁のホームページから申告入力のサイトを開き、マイナンバーカードまたはIDとパスワードを用い、収入や経費等の入力、データ保存、国税庁へ電子データを送信する方法について学びました。

電子申告の座学の様子

研修室で電子申告の例題を入力する研修生
申告について学ぶ研修生、講師がスクリーンの資料を説明

2月13日 農業基礎講座(5)

この日は研修生と一般参加者合わせて20名が秋田の伝統料理である寒天づくりに挑戦し、講師は市健康文化活動拠点センター・ペアーレで郷土料理の講師を務めている照井さんに教えていただきました。

今回は、比較的簡単かつ若い人でも食べやすいということで「ココア寒天」と「リンゴ寒天」の2種類を学びました。

寒天を火にかけて煮溶かす工程では、照井さんから「鍋のまわりについている部分が焦げないように、鍋のふちを気にしながら混ぜる」とアドバイスされ、研修生も慣れない作業に戸惑いながらも火加減を見て混ぜていました。

また、ココア寒天は次の日がバレンタインということで、ケーキのように切り分けた後、ホイップクリームを絞り、東部研修施設で栽培しているイチゴをのせてデコレーションしました。

かわいい寒天に研修生も写真撮影をしながら楽しんでいました。

寒天教室の様子

寒天を焦げないように煮詰める研修生、格好は三角巾・マスク・エプロン
講師の寒天の混ぜ方のお手本を見る研修生

研修生に寒天の固め方をアドバイスする先生

ココア寒天をデコレーションする研修生          

2月18日、19日

当研修施設では栽培技術の他、自分達が生産した作物の流通経路を学ぶために、研修2年目生を対象に東京都にある東京中央卸売市場を視察しました。

1日目は花きの流通について学ぶために大田区にある「株式会社大田花き」を訪問させていただきました。大田花きは大田市場を拠点とする日本最大の花き卸売会社となっています。

初めに競り場などの市場内を見学させていただきました。競りは、現在はすべてコンピューターで行われており、競り場でなく自宅や店舗でも入札できるようになっていると説明がありました。

その後、会議室に移動し、執行役営業本部長の大西さんに話を伺うと

  • 市場ニーズを意識した品種選定が必要。
  • 安定かつ同じ品質のものを出荷できるような技術力を持つことが大切。
  • 1本の単価が高いもののみを選択するのではなく、箱単価を見る。
  • 箱単価(入り数等)、運賃、資材費等も含めた経営力が必要。
  • 適地適作が大切。(秋田県:輪菊、小菊、リンドウ等)
  • 市場としては、モノがあるのに出荷できないという集荷難民を無くしていきたい。

と話していました。

株式会社大田花きの視察の様子

大田花きの競りパネルを見る研修生
市場に出荷されている鉢物を見る研修生

大田花きの営業本部長に質問する研修生

競り場を見学する研修生

2日目は青果の流通について学ぶために豊洲にある「東京シティ青果株式会社」を訪問しました。

初めに市場内を見学させていただき、実際に競りの現場を視察することができました。競りは、大田花きとは違い、卸売り業者が直接品物を確認し入札していく方法で、花きは最高値から徐々に下げていく入札方法ですが、青果は最低値から上げて入札する方法になります。また、流通について問題になっている近年ですが、豊洲市場はトラックが一方通行で走行できる造りになっており、待ち時間を短縮できると説明がありました。

その後、野菜第3部長の二宮さんと1課長の福田さんに話を伺うと、

  • 市場での販売方法は、競り10%、相対90%(前日にJA等から出荷明細を貰う)
  • ピーク時に安定した出荷をして、品薄時にも出荷できる栽培技術が重要。
  • 大切なことは品質であり、主要産地がある場合は比較されないよう高品質が重要。
  • 産地リレーが上手く行くような出荷が大切。
  • 店舗に行ったときにいつもある野菜が求められている。
  • いろんな作物に手を出すのではなく、既存の作物をしっかり作ることが重要。

と話していました。

関東圏の市場視察研修は令和元年度を最後にコロナ禍により中止されていましたが、今年度7年ぶりに再開しました。秋田県内にある市場等を視察する機会はこれまでもありましたが、世界や全国各地からさまざまな農作物が届く市場への視察や話を伺う機会は研修生にとって大きな刺激となりました。

東京シティ青果株式会社の視察の様子

出荷された青果をPRするブースを視察する研修生
ナマの競りの現場を視察する研修生
豊洲市場青果棟の模型を見ながら物流について説明する担当職員
秋田県産の青果について質問する研修生

2月20日農業基礎講座(6)

1月16日から開催してきた農業基礎講座も最終回となりました。

この日は、「先進農家の事例について」と題し、大綱の里生産者協議会会長の田村さんを講師に営農事例について学びました。

田村さんは、就農当初はハウス内で、メロン、キュウリを栽培していましたが、ハウスのある強首地域の雄物川沿いは水害が多く、栽培するには難しかったため、苗づくりに移行しました。10月から7月まで苗を作り、その後、ミニトマトとインゲンマメを作付けし、8月末に出荷しています。

苗は、主に種苗店に卸していますが、売れ残った苗を直売所に販売するようになったことがきっかけで、栽培している野菜なども直売所で売るようになりました。

田村さんは、「直売所で売る場合でも、スーパーに並ぶような品質が必要。珍しい野菜を作っても食べ方が分からないため買ってもらえない。みんなが食べる野菜が良い。」と話していました。

最後に研修生に対して、「最初の忙しくない時期は何をやればいいか不安になるが、閑散期は最初のうちしか暇は無いことだから、自分の好きなことをする。好きなことをするために農業をしたらよい。人に言われてやっても芽は出ないから自分からの行動が大事」と話してくれました。

研修生も実際の営農事例の話を聞くことで、自分たちの営農計画を考えるための良いアドバイスとなりました。

営農研修の様子

営農事例について説明する田村さん
研修生にアドバイスする田村さん
田村さんの話を熱心に聞く研修生
田村さんに質問する研修生

令和7年度1月の研修活動報告はこちらをご覧ください。