新規就農者研修施設の夏……8月編

 8月のある日の新聞のコラムに

「『たがやす(耕す)』は古語で『たかえす(田返す)』という。クワなどで、土をひっくり返す作業が目に浮かぶ。土をほぐせば、空気や水、作物の根が通りやすくなる。農業は土づくりに始まって、収穫を迎えるまで土の状態への目配りが欠かせない。(中略)田返す……額の汗なくば成り立たない農業という仕事」とありました。

 現在はトラクターや管理機があるので、クワで耕す作業はほとんど無くなりましたが、地球温暖化で、ますます額に汗して働く農業です。

 実りの秋を迎え、額の汗にねぎらいの豊作となることを願います。

8月1日&8日 オープンキャンパス開催

 新規就農者研修施設のオープンキャンパス(参観デー)を開催。

 1日は東部研修施設。少し強い雨が降ったりやんだりであいにくの天気でしたが、雨具を身に着けて開場を待っている家族連れが何組かおり、オープンキャンパスを楽しみにしていたとのこと。ブルーベリーの摘み取りやペットボトルを活用したエディブルフラワー(食用花)のプランターづくりなどを体験し、「孫たちが喜んでいた。食べられる花を初めて知った。私たち(大人)も楽しめた」そうです。

参加者の様子、孫2人と手をつないで施設ないを見学するおじいさん
雨の中ブルーベリー収穫体験をしている参加者
ペットボトル菜園体験をしている参加者
ペットボトル菜園体験をしている参加者

 

 8日は西部研修施設。朝からとても暑い日でしたが、家族連れなどのほかに西部研修施設近くの方々が多く来場してくれました。地元なんだから、みんなで見に行こうと声をかけあってくれたそうです。「研修生が研修に励んでいる姿を毎日のように見ていたが、地元にいながら研修施設を一度も見たことが無かった。畑もハウスもさまざまな作物が植えられ、きれいに管理されていて、研修生が一生懸命頑張っていることが良く分かった。良いものを見せてもらった」と夫婦で訪れた方が話してくれました。

 子ども用ドローンの体験コーナーでは、研修ほ場の上にドローンを飛ばしながら「農業用ドローンは、この5倍くらい大きく、大きな田んぼなどに種を播いたり、薬を散布したりするんだよ」と(株)秋田クボタの担当者から説明を受けていました。

 今回で4回目となるオープンキャンパスは、年々、訪れる人たちが増えてきており、市民の方々から研修施設の存在が少しずつ認知されてきています。

ドローン体験をしている参加者、指導を受けながらリモコン操作する男児
トマト収穫体験をしている参加者の様子
ねぎ収穫体験をしている母と娘たち
ねぎの皮むき体験をしている男性の参加者

8月5日 ジャガイモ収穫

 ある調味料メーカーの調査によれば、子どもの好きな野菜の第1位はトマト、2位はジャガイモとなっています(ちなみに嫌いな野菜第1位はピーマン)。また、学校給食によく出る野菜のトップ3は人参、玉ねぎ、ジャガイモだそうです。

 西部研修施設近くの保育園の子どもたちが5月に植えたジャガイモの収穫時期を迎え、研修生と一緒に収穫作業を行いました。

 「ジャガイモが好きな人!」と聞いたら、全員が「はい!」と手を挙げ、フライドポテトやカレー、シチュー、肉じゃが、ポテトサラダとジャガイモを使った料理がスラスラと出てきました。

 数日前の雨で一部のジャガイモが腐っており、独特の腐臭に子どもたちは「くしゃい、くしゃい」と言いながらも「大きなジャガイモばかり腐っている。おいしいから腐ったんだよ」と子どもの観察力?に感心しました。

じゃがいも収穫の様子、園児達が一生懸命じゃがいもを掘っている
じゃがいも収穫の様子、先生と園児が共同でじゃがいも堀りしている

8月5日&19日 市役所で出張販売

 研修施設で収穫された野菜や花などは、JA秋田おばこを通して市場出荷しているほか、直売所や道の駅などでも販売しています。また、研修生がお客さんとの対面販売を経験するために、市役所や市の各地域の支所、仙北市役所、事業所などで出張販売も行っています。

 今回は市役所本庁で出張販売。5日はスイカ、スイートコーン、アスパラ、ブルーべりー、小菊、ユリ等、19日はメロン、トマト、ツルムラサキ等。昼休みの短い時間でしたが、おかげさまでほぼ完売。研修生は「混雑してお客さんと会話する余裕が無かった」と話していました。

 出張販売を行うには、早朝から短時間で複数の作物の収穫、調整(選別、計量、袋詰め等)をするなど準備が大変ですが、こうした積み重ねで収益を得ることを体験しています。

市役所大曲庁舎の正面玄関にお客さんの長蛇の列
並べられたコンテナに入っている野菜の品定めをする客
作物の調整をしている研修生
スイカの調整をしている研修生

8月21日 県農業試験場参観デー&農家レストラン視察

 参観デーの農業資材展では、最新の農薬、肥料等のほか、クマ被害防止の展示やクマ避けスプレー、電気柵等の紹介がありました。公開ほ場では、「キュウリの長期どり栽培に向けた樹形管理の検討」「トマトの通路かん水が生育・収量に及ぼす影響調査」「NAMAHAGE(ナマハゲ)ダリア候補の品種選抜試験」など15種類の試験研究が行われており、研修生が興味深く見ていました。

ダリアの説明を聞いている研修生
資料を見ている研修生
ほ場見学をしている研修生
ハウスなどの設備見学をしている研修生

 参観デー視察の後は、昼食を兼ねて由利本荘市大内にあるカフェへ。

 カフェの店主は元県職員(生活改良普及員)で、現在も秋田の伝統野菜と食文化の研究をライフワークとして活動中です。定年退職後、地域の人々が集い、ほっと安らげる拠点をつくりたいという想いから自宅半分をリノベーション(改装)し、カフェと花苗販売や寄せ植え教室を開業。初年度は従業員4人から始め、9,000人ものお客さんの来訪があっても大赤字。5年目の昨年、従業員2人となり赤字を脱却し、6年目の現在も月600人(年間5~6,000人、カフェの営業は金曜日~月曜日の週4日)が集まる地域の一大拠点となっているそうです。

 カフェではローストビーフ丼、ドライカレー、冷製桃パスタの3種からそれぞれ選び、秋田県産の食材を使ったランチを味わいました。

 「地方で生きることは、豊かな自然や食に恵まれる一方、過疎化や経済、家族の課題など多くの現実と向き合うことでもある。それでもこの地の人々は、たくましく優しく日々の営みを重ねている。農業は作物の生産だけではなく農家レストランや民宿などで地産地消を行うことにより、地域や農家とお金の循環を図ることも出来る。秋田の未来を拓く次世代の担い手の皆さん、さまざまなことに挑戦して」と店主からエールが送られました。

花苗販売の様子
カフェ店内の様子
カフェで食事を楽しむ研修生
カフェのカウンターで食事を楽しむ研修生

8月27日 園芸品目ほ場視察会

 今年6月、仙北地域における園芸品目の生産者確保や異常気象への対応力向上などを目的に、県仙北地域振興局と大仙市、仙北市、美郷町、JA、生産者団体等で「仙北地域園芸産地共創会議」が設立されました。共創会議主催による園芸品目ほ場視察会に参加。

 午前はきゅうり、エダマメ、リンドウ、午後はアスパラガス、ネギ、トマトの合計6品目のJA秋田おばこの部会長のほ場へ。

 視察会では、JA秋田おばこの担当者から地域における取組状況やおすすめポイント、一般的な作型、収益性について説明を受け、部会長から取り組んで感じるメリットと取り組む際の注意点が話されました。

 きゅうり部会長は栽培経験41年、エダマメ部会長は15年、リンドウ部会長は17年、アスパラ部会長は21年、ネギ部会長は22年、そしてトマト部会長は40年と長く取り組んでおり、「新月(月明りがない暗い夜)の1週間後あたりにエダマメの害虫が卵を産むので、新月の2~3日後に防除するといいと先輩農家からアドバイスを受け、その通りにしたら虫が付かなかった。本当かどうかは分かりませんよ(笑)」など経験に裏打ちされたコツ(栽培マニュアルにはない)なども披露してくれました。

 ほ場はどの部会長とも雑草がほとんど見えず、とてもきれいで、除草対策も含めて栽培管理がしっかりされているからこそ収益も上げていることが良く分かりました。

他の参加者とともに説明を聞く研修生
きゅうりほ場
青々としげったほ場の前で、他の参加者とともに説明を聞く研修生
エダマメほ場
露地栽培されているリンドウのほ場前で説明を聞く研修生
リンドウほ場
ハウス内に人の背丈ほどに成長したアスパラ
アスパラほ場
路地栽培されているネギのほ場の前で説明を聞く研修生
ネギほ場
ハウス前で説明を聞く研修生
トマトほ場

8月28日 稲作の座学

 5月から月1回のペースで始めた稲作の座学、間もなく稲刈りの時期を迎えることから、稲刈りまでの水管理や刈り取り適期の見分け方、籾の乾燥作業などについて学びました。

 気温上昇に伴って、年々稲刈り適期が早まっています。あきたこまちの場合、出穂からおよそ40日後、出穂後の積算温度(出稲日から毎日の平均気温の合計)で900度が刈り取り開始。収穫した生籾は、高温で火力乾燥すると食味が低下するので、ゆっくり乾燥と仕上げ乾燥の二段階が望ましいことなどの説明を受けました。

 8月末の大雨で、稲が倒伏した田んぼがちらほら見えます。以前、「大曲の花火」は8月の第3土曜日(20日前後)に開催されており、大曲の花火前に稲がつぶれれば(倒伏すれば)収量減となったため、農家は大曲の花火まではつぶさないように努力したそうです。「大曲の花火」は8月最終土曜日開催となり、また稲刈り時期が早まってきていることから、今年の収穫は倒伏した田んぼでも平年作が期待できそうです。

 またこの日は、全農あきたが米の概算金について検討し、概算金額が発表されることとなり、米価や生産費のことも話題となりました。

座学の様子、真剣に資料を確認する研修生
担当者の説明を資料を見ながら真剣に聞く研修生

令和8年度7月の研修活動報告はこちら

君も農業をやらないか(7月編)