新規就農者研修施設の秋……9月編

 トラック輸送のドライバー(運転手)をはじめとする社会全体の働き方改革により、例えば作物によってはJA出荷所への搬入時間が午後4時までから3時までに早まるなど、結局において農家にしわ寄せが生じています。

 研修施設で生産された作物の大半はJAを通じて市場出荷していますが、出荷時間が早まったことで、収穫最盛期には朝8時30分から作業(収穫、調整、出荷)を始めても間に合わず、研修生は自主的に早朝に来て担当する作物の収穫を終え、8時30分には研修生全員で調整(大きさ、重さ、形、傷の有無などA品、B品、規格外に選別する)、袋詰め、箱詰めする姿が毎日のように見られました。

 4月から始まった新規就農者研修は半年過ぎました。研修を受けるまで、ほとんど農作業をしたことがない1年目研修生も日焼けしてたくましくなり、農業者の顔つきになってきました。

9月2日 研修施設情報交換会

 県内には、大仙市のほかに秋田県農業研修センター、秋田市園芸振興センター、横手市園芸振興拠点センター、能代市農業技術センターと、北秋田市のJA秋田たかのす営農研修センター、由利本荘市のJA秋田しんせい研修施設の7か所の農業研修施設があり、年1回、会場を持ち回りで情報交換会を開いています。

 今回は能代市が開催当番で、能代市農業技術センターへ。

 どこの研修施設も、毎年の安定した研修希望者数の確保が大きな課題となっています。

 また、新規就農者研修は、制度上(研修奨励金の受給や就農する際に国または県の補助事業を活用する等)、就農時49歳以下までとなっていますが、最近は50歳以上の方(ミドルエイジ)から研修を受けたいという相談が、どこの研修施設にもあるようです(大仙市も相談がある)。

そこで今回は、「ミドル就農者向け研修」が情報交換のテーマとなりました。

 農業の担い手確保のためには、年齢を問わず研修の受け入れをしたいところですが、現在のところ就農時50歳を超える方には、研修期間中も就農時も支援策がほとんど無く、受け入れするか否か、どこの研修施設も悩んでいるとのことでした。

 山形県、福井県、島根県、山口県などでは、県事業として50歳以上の方の就農支援(研修奨励金等)を行っており、秋田県でも支援策を講じてもらいたいとお願いして散会となりました。

情報交換会の様子、テーブルを囲み概要の説明や意見を述べている
情報交換会の様子、メモを取る人の姿もある
情報交換会の資料
情報交換会の資料

9月9日 エダマメ選別機械実演会

 大仙市と「スマート農業等に関する連携協定」を結んでいる農機具メーカーの(株)秋田クボタの協力を得て、東部研修施設でエダマメ選別機械の実演会を開催。

 風力でエダマメの葉くずを飛ばし、一粒さや、未熟さやなどを形状選別する「粗(あら)選別機」と、粗選別されたエダマメの変色さや、黒点さやなどを2台のカメラで高精度に選別する「色彩選別機」に、修了生が持って来てくれたエダマメを流し込みました。色彩選別された後のエダマメは、ベルトコンベアに流れてきますが、割れたさや等は人の目と手で選別になります。

 これらの機械は全国販売されていますが、秋田県農業試験場の協力を得て開発した製品だそうです。

 この日は、仙北地域と西仙北地域の農業法人の方がたの参加もあり、「コメ価格が乱高下するので、コメだけではやっていけない。エダマメの導入も検討している」と各機械の性能や精度を確認していました。

 研修生は、機械の性能が良くなればなるほど、品質の良いエダマメを作らなければ機械にはじかれることを実感したようです。

実演会の様子、ハウス内で講師の説明を聞く参加者たち
粗選別を行っている様子、機械の動きを確認する参会者たち
講師が色彩選別機の説明をしている
研修生と修了生で手選別を行っている

9月24日 ぶどう狩り体験

 東部研修施設近くの小学校の1年生が、ぶどう狩り体験に来所。

 ぶどうは大粒、中粒、小粒とある、種があるぶどうと無いぶどうがある、色は黒と白(実際は黄緑)と赤(実際は赤ワイン色)があること等の説明を聞いた後、研修生のサポートを受けてぶどう狩りをしました。

 ぶどう狩りの後に、子どもたちから質問がありました。

【質問】ぶどうは、どうしてハサミでつるを切るんですか?

【答え】りんごや梨は、実を手で持って少しひねれば簡単に採れますが、ぶどうは一粒ひとつぶの実を守るために、つるが丈夫で手では切れないので、ハサミでつるを切ります。

【質問】ぶどうに袋がかけられているのはなぜですか?

【答え】害虫が付かないようにすることと、病気を防ぐためです。

【質問】ぶどうの皮がすべるのはどうしてですか?

【答え】すべる?つるつるしているってこと?ん~どうしてでしょうね……(答えに詰まる)梨の皮はざらざら、桃は細かい毛がはえていますね。どうしてかなぁ?

と、子どもたちの疑問に明快な答えを出せない場面も。

 たわわにぶどうが実っている様子を見て、収穫し、大人にはない疑問を持ってくれたことは、体験を受け入れた成果だと感じました。

小学生がぶどう園に入っていく様子
ぶどうの採り方の説明を受けている様子
小学生が実際にぶどうを採っている様子
ぶどうについての質問をしている様子

9月24日&25日 大学生のインターン

 24日は大学院生(農業経済について勉学中)、25日は大学3年生(生産環境コースで食物全般について勉学中)の女子学生が来訪。

 研修施設でミニトマトの収穫やハウス内の除塩(作物栽培で使った肥料等に含まれる塩分を水で流す)作業、出荷調整作業のほか出張販売に同行、そして市の農業施策の説明を受けるなど、短い時間で盛りだくさんの体験をしてもらいました。

 後日、届いた礼状には、

  • 新規就農のための研修を生産から販売まで幅広く見学、体験させてもらい、大仙市の農業において、多様な事業や手厚い研修によって持続可能性が保たれていることを実感した
  • 農業研修現場での実際の取り組みを知り、新しいことだけでなく、基礎を大切にすることの重要性をあらためて理解することが出来た

と記されていました。

 ふたりとも2年後には農業関連の仕事に就くことを希望しており、どのような形でも農業に深い関心を持つ女子学生がいることは嬉しい限りです。

研修生とインターン生が挨拶している
インターン生がミニトマトの収穫をしている
インターン生が直売所へ出荷体験しているところ
協力して選定している
土壌の様子を確認している
畝を作るためほ場を計測している

9月25日 ネギ目ぞろい会

 市場においてネギは、品種が同じでも9月30日までは軟白(白い部分)の長さが25センチの「夏ネギ」、10月1日からは軟白の長さが30センチ以上の「秋冬ネギ」の扱いになります。秋冬ネギの出荷に向けた目ぞろい会が開催されました。

 目ぞろい会では、JA秋田おばこのネギ部会長から「品質の安定が市場から信頼され、単価の安定にもつながる。品質向上を目的に10月15日まで品質向上期間を設けるので、出荷規格を良く確認し、個人間の格差、品質のばらつきを無くそう」とあいさつがあり、部会員から持ち込まれたネギをサンプルに、JA担当者から出荷規格の説明がありました。

 西部研修施設の修了生2名(就農1年目と6年目)も参加しており、うち今春ネギで就農した修了生に状況を聞いたところ「8月26日から夏ネギの収獲を始めたが、県事業を活用して導入したネギの調整機械が9月4日に納品となり、機械が届くまで西部研修施設の調整機械を借りることが出来てとても助かった。調整機械が入ってからJAの担当者が見に来てくれ、作業効率が悪いと先進農家へ連れて行ってもらい、調整機械、コンテナ等の配列を変えたら作業効率が2倍近く上がった」とのこと。ネギ農家として地道に努力している様子がうかがえました。

※就農の走り出しを支援するため、昨年から貸出要綱を定めて、研修施設にある農業用機械等を修了生に貸す事業を行っています。

目揃い会の様子
JAからネギ農家への注意喚起看板、10月1日からは秋冬ねぎになる、白い部分は30センチメートル以上の確保を
講師がネギを手に取って参加者に説明
机に並べられた複数のネギを目視や手に取って確認する参加者

令和8年度8月の研修活動報告はこちら

君も農業をやらないか(8月編)