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太田産あきたこまちが大嘗祭へ

令和元年も12月に入りました。令和元年ならではの喜ばしいニュースをお知らせします。
天皇の代替わりに伴う重要な祭祀(さいし)として、11月14日・15日に大嘗祭(だいじょうさい)が催されました。大嘗祭とは、皇祖である天照大神をもてなし、平和や豊作を祈願する儀式です。天皇は毎年11月に新嘗祭(にいなめさい)を行い、その年の新穀を皇祖はじめ神々に供え、自らも食べて豊作を祈願します。皇位継承後の最初の新嘗祭が、大嘗祭です。毎年行われる新嘗祭と違い、儀式を執り行うために大嘗宮という建物が建てられ、儀式後には取り壊されてしまいます。谷口太田支所長が、10月6日に建設中の大嘗宮を偶然にもカメラにおさめていましたが、この場所で太田の喜ばしいニュースが生まれることは、そのずっと後に知ることになります。

大嘗祭は豊作を祈る儀式であるため、中心儀式となる「大嘗宮の儀」では、全国から特産品が供えられます。これは、「庭積の机代物(にわづみのつくえしろもの)」と呼ばれ、秋田県からは、米・粟・大豆・セリ・リンゴ・マイタケ・ハタハタの7品目が供納されました。そのうち、お米は、なんと太田産のあきたこまちが選ばれました!米どころ秋田県の代表としてお米を供納できるとは、なんとも名誉なことです。
この名誉あるお米の生産者は農業歴50年以上の佐々木信尾さん(上南)です。信尾さんのお米が選ばれたと知った時、「すごい!」の次に私は「やっぱり~、さすが信尾さん」という想いがありました。私だけでなく、信尾さんを知る人にとっては皆が納得できる快挙ではないかなと思います。信尾さんは、JA秋田おばこ主催のおいしいお米コンクールで、5回も入賞しており「おばこの匠」に認定されています。そのうち金賞を受賞したこともある米づくりの名人なのです。

大嘗祭への供納について、信尾さんにお話を伺いました。
信尾さんに第一報が入ったのは、9月6日。全農秋田県本部米穀部参与さんと米穀部販売課の担当者のお二方が見え、信尾さんに供納について打診がありました。宮内庁から8月30日付けで中央会宛てに供納者の推薦依頼が届いたとのこと。それを受けて、信尾さんに白羽の矢がたったというわけです。信尾さんは、第一に驚きと「私でいいの?」という想いがあったそうです。そんな奥ゆかしい人柄もまた、適任だと思われた要素ではないかなと私は思います。信尾さんは、JA秋田おばこが高品質良質米の生産に積極的に取り組み、実証圃となっていることも選ばれた要因の一つではないかと思っているそうです。

推薦を受けることを決め、その後10月1日付けで信尾さんに宮内庁式部職から通知が届き、正式決定を実感したそうです。精米1.5キロを供納する方法としては、郵送・託送・持参の3種類が選べ、信尾さんは持参での供納を即決しました。せっかくの機会だと、家族も持参を後押ししてくれたと言います。
宮内庁への持参は、10月30日午前中でした。全国各地からの供納のため、午前中は悠紀(ゆき)地方(東日本)、午後が主基(すき)地方(西日本)と指定がされたそうです。信尾さんは、奥様と一緒に前日から東京に向かいました。当日は、皇居の坂下門を通り、宮内庁の建物の中へと入ったそうです。赤じゅうたんが敷かれた講堂に入ると、県ごとにテーブルが設置されており、秋田県の席につきます。式部長官がテーブルごとにお声をかけてくださり、信尾さんも「大変だったでしょう」と労いの言葉をかけていただいたそうです。当日供納者がいただいたお菓子の写真や、天皇皇后両陛下がパレードされた同じ通りでご夫妻で撮った写真などをみせてもらい、貴重な体験の裏側まで教えていただきました。貴重で有難い体験を、生の声として聞けるとは、こちらまで有難い気持ちになります。

信尾さんに、美味しいお米を作る秘訣を聞くと、水の管理とチッソ成分の抑制、そして乾燥調製の最後まで気を抜かないこととお話ししてくれました。水田の水管理では、無駄な分けつをなくすため6月下旬には15㎝の水位を保つなど、細かい管理を心がけているそうです。

信尾さんの米作りのモットーは「自然と調和し よりおいしいものを」だそうです。自然と調和し寄り添っているからこそ、自然の力を味方につけて旨味を引き出せているのだと思います。そしてもう一つ気づいたのは「調和」というフレーズは、まさしく信尾さんの人となりを表す言葉ということ。自然とだけでなく、信尾さんは地域とも人とも調和を実践しています。今回の名誉ある大嘗祭への供納も、信尾さんが築きあげた「調和」から引き寄せたものでないかなと感じました。

信尾さんから、「この経験をいかし、これからの心の糧としていきたいと思います。ここまでお導きいただいた関係各位様に感謝を申し上げますとともに、今後ともご指導くださいますようお願い申し上げます」と感謝の言葉がありました。この機会に、ぜひとも皆さんに感謝を伝えたいとのこと。
そして「地域に喜んでもらえたことが、一番うれしい」ともお話ししてくれました。
やっぱり「調和」の人ですね。こんなにうれしいニュースを地域にもたらしてくださった信尾さんのためにも、地域みんなでこの良いニュースを喜び合いましょう!
信尾さん、本当におめでとうございます。太田が元気になるニュースをありがとうございます。取材協力ありがとうございました。