今年の春、この「ふるさとこんにちは」欄で①太田庁舎前の桜(4月25日)、②「壱本木の種蒔桜」(4月28日)、③「作エンの桜」④「戊辰戦争史跡しだれ桜」(5月2日)と太田地域にある4か所の桜の古木を紹介しました。
この中の「壱本木の種蒔桜」が、9月17日から18日にかけての台風18号により壊滅的な状態となってしまいました。
10月13日、倒れた幹や枝葉の除去作業が行われました。
作業を請け負った造園会社の社長によれば、「木は自分の寿命がわかるようだ。寿命が尽きるときは、いつもよりも多くの花を咲かせるとか、命を次へつなげるためにひこばえ(若い芽)が生えてくるなど、自分の最後のエネルギーをふりしぼっている」とのこと。
確かに種蒔桜の根元から「ひこばえ」(若い木)が生えており、まだ細い枝に青々とした葉がつき、これから大きくなろうとする生命力が感じられました。
所有者の髙橋昭彦さんは「昨年はたったの5輪しか花が咲かなかったが、今年の春はたくさんの花が咲いた。今思えば、最後の力をしぼり出して一生懸命に花を咲かせたのかも知れないな…」と残念そうに種蒔桜を眺めていました。
今年の春は、最後の雄姿を見せてくれたようです。「ふるさとこんにちは」でその姿を広くお知らせできて、引退に花を添えることができた気がします。
幹回り3.5m、推定樹齢230年のこの種蒔桜は、江戸時代の後期からこの地に立ち、「花が咲いたら水苗代に種もみを蒔く時期」として農耕の指標とされてきました。
これまで様々な苦難を乗り越えながら、地域農業の安泰を見守ってきてくれた種蒔桜。今までありがとうございました。
これからは、命をつないだ「ひこばえ」から見守ってもらいますね。