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秋田県大仙市公式ブログ

早春を告げる「ひろっこ」

新しい年が始まりました。今年も地域の話題を伝えるためがんばっていきます。どうぞ、よろしくお願いします。

新しい年の1回目の投稿は、早春を告げる太田産の「ひろっこ」を紹介します。

太田町斉内の門脇一男さんは、30年以上「ひろっこ」栽培に取り組んでいます。
取材に伺いたいと電話すると一男さんは「地味だど~。インスタ映えしないぞ~」と念を押します(笑)
ご心配いただきましたが、ブログでは「良い写真」を紹介したいのではなくて、「太田の良いところ」を紹介したいので、充分映えましたよ♪

「ひろっこ」は「アサツキ」の若芽です。にんにくやネギなどは食べるとヒリっとすることから、古語で「蒜(ひる)」と言われたそうです。そして、秋田県の方言では、小さくてかわいいものの語尾に「こ」をつけることがあるので、「ひるっこ」→「ひろっこ」となったのではないかと言われています。
私の中で「ひろっこ」は、春を告げる野菜、そしてちょっと値が張る高級野菜というイメージがあります。一男さんの「ひろっこ」は、今シーズンは12月10日が初出荷で、3月いっぱい出荷されるそうです。県内では湯沢が有名な産地ですが、一男さんの「ひろっこ」は他地域より早く出荷を開始しています。他地域では畑の土の中から「ひろっこ」を掘り起こしますが、一男さんの「ひろっこ」はもみがらの発酵熱を利用した栽培方法をとっているため、一足早い出荷が可能です。雪が降る直前から、夏に種を蒔いておいた箱(水稲の育苗箱のような感じの箱です)を、畑から掘り起こしてきます。その箱をビニールハウス内に移し、1メートルほど敷き詰めたもみがらの上に並べます。水と肥料をかけ、ハウス内で一週間ほど加温すると芽が出るそうです。それを毎日出荷できるように、3月まで繰り返します。

このもみがらの発酵熱で、「ひろっこ」に春になったと思わせているとのこと。ビニールハウス一面の1メートルの厚さのもみがらは、およそ田んぼ30町歩分、近所の農家さんからいただいてこれだけの量を集めているそうです。

加温に電熱を使用したことがあるそうですが、もみがら加温の発芽力には敵わなく、この方法を続けているそうです。もみがらからは、発酵の熱だけでなく発芽に必要な酵素や二酸化炭素などさまざまなプラスの要因が発せられているのだろうと一男さんは分析しています。さらに、このもみがらは再利用され、お盆過ぎに箱に種を蒔きますが、種を蒔いた箱を畑に並べる時にもみがらをたっぷりかけるそうです。すると草が生えず、たい肥にもなり、除草剤と肥料の削減になるとのこと、エコな資材でさらにリサイクルとは驚きです。

発芽した「ひろっこ」は洗い場で箱ごとザブザブするうちに、土が洗い流されて姿を現してきます。

こちらを今度はベテランお母さんたちのところに運び、根っこを切り落としてもらいます。

この風景も30年来ずっと変わりません。ちなみに1993年2月の「広報おおた」の表紙にもなりましたが、その時の表紙はこちら。

変わらない風景ですね。あえて違いを探すとしたら、足を長めての作業になったことぐらいですかね。「前の時だば、オラなまだ生まれてなかった~(笑)」などと冗談を言いながら和気あいあいと作業を続けます。根っこを切り落とした「ひろっこ」はこの後、もう一度水洗いをしてパック詰めとなるそうです。
この手間のかかる行程を知り、少し値が張っても今度からはどんどん「ひろっこ」を食べようと思ったところです。

一男さんの「ひろっこ」の出荷先は、県内と県外(東京・名古屋・石川金沢)の市場出荷となっています。地元では、タカヤナギ系列のお店で「門脇さん家のひろっこ」として販売されています。ぜひ手に取ってご賞味ください。一男さんから、「子どもには、オムレツにいれると簡単で良く食べるよ」とおススメしてもらいました。ついつい大人のための「ひろっこ」料理にしがちですが、子どもにも地域の伝統野菜を食べさせたいですよね。いいアドバイスをもらいました。
「ひろっこ」は春になったと思ってそのおいしい姿を現す、私たちはそれを口にして春になったと感じる。太田産の「ひろっこ」を食べて、皆さんもいち早く春を感じてみてはいかがでしょうか。

Posted under: 太田地域

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