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秋田県大仙市公式ブログ

太田町新田で念仏講

太田地域の新田地区では、毎年2月の上旬に老人クラブの皆さんが集まり、念仏講を行っています。
今年は、2月7日(火)に新田生活改善センターで行われました。

例年なら、近くの若木様を祀ったお堂(通称:ちょうろう様)の前で、吹雪の日でも外で行われていたようですが、風があまりに強かったため今年はセンターの中で行われました。ちょうろう様は、天然痘が流行した時代、この地区に天然痘が入ってこないように願って祀られたそうです。小正月のこの時期に、健康を願い古くから行われていたことが推察されます。

今回、念仏講に集まったのは15人。新田地区の老人クラブの皆さんは、「この時期はこれ。夏はグラウンド・ゴルフ。みんなで集まるのが楽しい」と、念仏講を冬の楽しみにしているようです。

長さ10mほどある大きな数珠を皆で持ち「南無阿弥陀仏」と唱えながら、回します。中央に鐘を鳴らしながら音頭をとる方が一人入ります。IMG_3422

ここ数年、この役を務めているのは髙橋イトさん(81歳)。皆さんに大ベテランと言われるイトさんは、「本当だばおらも珠さいっぱい触りでんだども」と愛嬌たっぷりに話します。イトさんが「南無阿弥陀仏」と先導し、そのあとに全員で「南無阿弥陀仏」と声を揃え唱えます。大きな数珠には、等間隔に大きな珠が3つあり、それが回ってくると、ありがたさを思い少し持ち上げます。IMG_3430

念仏は何度も繰り返され、そのうちすっと隙間を作ってくださり、取材に訪れた私を「かだれ」と誘ってくださいました。遠慮なく、早速かだらせてもらいました。数珠の木製の珠はつやつやと手触りがよく、声を揃え念仏を唱えると、一体感から心穏やかになります。これは、やはりありがたさが沁みます。毎年楽しみに集まることも納得です。IMG_3445

休憩中に話を伺うと、新田地区では、昔は人が亡くなると、その家を訪れ念仏講を行っていたそうです。隣近所の方が集まり、念仏を唱え数珠を回すことで悲しいことを良いことに変えようという思いがあったようです。数珠の大きな珠がちょうど止まった方には、いいことが起こると言われたそうです。

現在使用している数珠には「昭和28年」と表記がありました。それ以前に使用していたものが火事で焼失したため、この年に新しくしたということです。以来、この地区の健康と安泰を願い多くの方の手で回されてきたのだろうと思うと、ありがたみが増します。

今回集まった15人の最年長は85歳。念仏を唱える間ずっと立っていても疲れ知らず。見渡せば、15人とも元気そのもの!毎年、この念仏講により健康の恩恵を受けているのだろうと思わずにいられません。

太田地域では、新田地区のほかにも、時期は違いますが、斉内地区や小曽野地区でも人形道祖神(通称:おにょさま)の前で、念仏講が行われています。秋田県内では山内地域の百万遍念仏講が有名ですが、実は小曽野地区の念仏講の映像が、宮城県多賀城市の「東北歴史博物館」の映像展示室で映し出されており、太田の念仏講も知名度では負けていません。

新田の老人クラブの皆さんは「若い人だば仕事あるべ。おらだがやれねぐなれば、誰もやらねぐなるがもな」と遠慮がちですが、きっと若い世代の参加と継承を待っているはずです。地域の大先輩である高齢者の話を聞けば、まだまだ知らない地域の伝統があるかもしれません。耳を傾け、足を運んでみると、きっと大先輩たちはいつだって優しく「かだれ」と言ってくれると思いますよ。

まだまだ知らない太田があるかも知れない!皆さんもいろいろな地域行事にかだってみてください。そして太田支所への情報提供、お待ちしています♪

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